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僕に恋する人  作者: 音夢
第0章 番外編
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番外編 ある朝の出来事


空はまだ所々に暗闇があり、時刻で言えば6時に成ろうとしているそんな朝。未だに、少なくとも大多数の学生は寝て居る者も居るだろうと言う時間、この恋と言う青少年はそう言った眠気がある様な仕草は全く見せずに、身体を動かし続けた。

朝に身体を動かすと聞けば、誰もが先ず最初にランニングなどの軽い物を想像し、次に腕立てや腹筋などの物を想像するだろう。だが、その何方も今恋が行っている動きとは多少ながらにしか、関係性などは無い。


ならば恋がやって居る『動き』とは、答えは武術や格闘技などと言った自衛手段の為の動きだ。

ゆっくりと右足を引き、体を横に向け右足を前に出す瞬間、右手で目の前を突く。そして左右反対になった体を同じ様に、左足を出しながら左手で目の前を突く。

とても地味な動きだが、1時間もしかもただ漠然とでは無く、しっかりと意思を持ちながらやれば、それは絶大なる運動量へとなり、その証拠に恋の額には汗が大量に滲み出ている。



大量の滲み出た汗は徐々に滴り落ちて行き、床に落ち少しずつ

溜まって行く。

庭などでも出来なくも無いが恋が鍛錬を行っている場所、そこは言わば道場だ。もちろん床には畳などを置いたタイプの道場では無い。木などで出来た空手や合気道、剣道などで使われる道場。

するとそんな道場に1人の美男、いやこの場合は1人のイケメンパパ、略してイケパパ的な反応が正しいのだろう。舞川 省吾それがこのイケパパさんの名前であり、恋とは似てもに付かない『父』と言う名を持つ省吾が、真っ白な道着を着て入って来た。


「準備運動は出来た様だね。それじゃあお父さんと模擬戦でもしようか。ルールは何時も通りにね」そう省吾は言うと、恋の汗を見ながら軽く休ませ様かとも考えたが、直ぐに恋が「分かった」と簡易的に、完結的にとかなり分かりやすい返事をしたので気にしなかった。

2人は道場の中心よりも少しズレだ場所に省吾と対面する形で並ぶ。省吾との距離は2mと言っただろうか。だが、二人が構え出した瞬間、その距離はズレた。いや、何か大きな壁がある様な感じ。

ついさっきまでは親子の目をしていた2人だが、今はもうそんな生易しい物では無い。


獲物を狙う狩人の目、例え何れだけ息が荒れ脳にしっかりと酸素が行かない状況下でも、冷静にただ獲物に対して自分が以下に有利に立てるか、それだけを考えている目。

恋は普段掛けて居るメガネを外し、より一層影の薄い平均くん?普通くんに成って居たが、今は無意識の内に避け、身を震わす程の恐怖を放つ者へと成り変わっている。



そして先ず2人がやる事、それは雰囲気から感じ取られる隙を探る事だ。

幾ら名門や最強と唄われる者だろうと、決して隙が無いわけでは無い。一瞬、それこそ瞬きをした瞬間や呼吸の途切れ、集中し神経を極限まで研ぎ澄ませば何かしらの隙が探し出される。だが、それは同時に体力を湯水のように使い、消費させて行く事に変わらない。

だからこそ、2人はほぼ同時と言っても過言ではないタイミングで互いに向かって近づいた。


踏み込む足、身体の軸を倒しながら膝を軽く曲げ、それをバネの様に体重を乗せながら足首と共に放つ。ある程度の距離を早く移動し、尚且つ相手に軸を潰される事無く移動出来る歩法。この歩法を自由自在に使う事により、ある程度有利には成れるが、軸を自ら押し倒している為そのままカウンターで投げや蹴りなどを決められば、自滅しているのと大差ない。

確かに弱点は存在する。だがそれをさせる程2人は弱い訳では無く、すれば逆カウンターを決められてしまうだけだ。


そうなれば、この歩法から2人に取って利益に成る事、それは間合いを図り自分が何れだけ踏み込めるか、たったそれだけの事。

『たったそれだけの事』が、勝負に置いて勝敗を大きく左右する事となる。


勝負に置いて重要な事、それは自分の力量やセンス、場慣れ、経験だろうが、それ以上に対戦なのは相手の状態。

相手よりも自分が強いが、だが負けた場合、それは自分が油断していた場合か、相手が自分の苦手な組み方や攻撃方法、得意な組み方などを知っていた場合が多い。


それはそうだ。自分の苦手な場所を攻め続けられれば、いつかは落ちてしまう。また逆に自分の得意な所に持ち込まれ無い様にされれば、何れだけ闘いにくい相手だろうか。

その為、この2つの情報を知った事で相手よりも有利な状態になる事が可能となる、が2人にその情報が行き渡った場合は振り出しに戻るだけとなり、あまり意味がない。



2人の間合いは1m程と成り、ここまでくれば先に仕掛けるか、あとから仕掛けるかのせめぎ合いとなり、立っているだけで神経を擦り減らし、体力を消耗させて行く。


口から息を吸い鼻から出す、この呼吸法をしっかり守れば脳に酸素が行き、冷静な判断が出来る筈だが、精神や神経を擦り減らす様に荒く使えば酸素は消えて行き故に筋肉も硬くなり、先に痺れを切らした方が攻めに出る。

今回は年の功と言った所だろうか、恋から先に攻め出した。


左足に体重を乗せ軸を作り、右半身を回す様にしながら右手で拳を放つ。練習の時と同じ様に、だが威力やスピーカーは筋肉をバネの様に圧縮させたのを、一気に離す様なイメージを持ちながら、突き刺す様に省吾の左胸を狙った。

正確に、それで持って確かな攻撃力を見込まれた拳、そんな良い殴りだろうと初めに攻めた後、返って来るのはカウンターか払い、投げなどが主になり、当たる事などは先ずあり得ない。


もちろん恋の拳を見た省吾は少しだけ動き、右肩を入れる様に恋と全く同じ形をしながら拳を放ち、体を横にする事で最小限の速度で回避と反撃を繰り出した。

一瞬で返って来た省吾の拳を恋が回避するのは、極めて困難だろう。何個かは危なっかしいが方法が無い訳では無く、ダメージを喰らうのであれば、と冷静に情報判断をすると、体の軸となっている左足をズラし、体を後ろに倒す様にして省吾の拳が届くよりも早く、右足で弱いながらも蹴りを腹に入れた。


恋の右足首に伝わって来るのは、薄っすらと省吾の腹を蹴る様な感覚でしか無く、実際省吾の腹にも威力を無くした弾丸、ジャイロ回転をせずに貫通力がほぼ皆無の弾丸を受けた様な感覚が、体に主に腹に届く。

生憎そこまで弱い蹴りを喰らった所で、多少ダメージを受け間合いを開く程度にしか成らず、省吾と恋の距離が4mと少し長く成った程度。


2人の力の差は現段階では五分五分と言った所だろうが、勝率自体は若干省吾の方が高い。

相手に合わせた動きを主体としている2人に取って、自分から攻める事などはほぼ無い事だ。とすれば、2人が取る行動もまた自ずと似て来る。


怒涛の攻撃、相手に交わされ様が早く威力を持った正確な拳を突き、反撃を全て交わす。一瞬気を緩めれば攻撃を喰らう、そう分かっていても2人は互いに拳を向け、先ほどと同じ様に近づき、拳を放つ。

だが2人の拳は同時に空を舞い、それすらも無かった事の様に軸をズラし、2人は回し蹴り入れ、2人の足が何かにぶつかり合うのが分かった。


確かな威力だが、ほぼ同じ蹴りがぶつかれば相殺されてしまう。

これを0に戻し、また一から形成を作り直すとなれば間合いをもう一度取るだろうが、恋は直ぐ様空中でぶつかり合っている足に軸を移動させ、地面に着いている足で強く地面を蹴り上げ、そのまま空中を回る様な形で、腰を回す様に再度回し蹴りを放つ。

止まる事無く繰り出された蹴り、しかも自分の斜め上からの蹴りなど交わす事などは出来る訳が無い。省吾は蹴りの威力に流される様に避けながらも、蹴りを首に入れられ、斜め下の地面に向かって吹き飛んでしまった。

一方恋も蹴りの反動からか、空中でバランスを崩し背中から倒れた様な形で地面にぶつかり、省吾程では無いが軽くダメージを負う。



普通ならば何が起こっているのか、それを理解するのに時間が掛かるのだろうが、 直ぐ様立ち上がり再び構え始める2人。その顔には今の感情が慣れている者ならば読み取れる程度に、表情として現れている。

(まさか、恋が彼処まで強く成っているとは。そろそろ子供と言う考えよりも、同じ武術を極めし者として考えた方が良いのかな?いや、だがそうなると恋を甘やかせなくなるし、それだとあまり恋の為にならない。しかし、父親と言う物は少しながら長男には甘い者だ。少なく共私は今でも恋の事を甘やかしたい。でも、いやしかし鍛錬や修行中は私が教えられる事を教えよう。そうすればある程度は甘やかす事が出来る)何か、とてつもなく長い感情だったが、しっかりと締めか着いた様なのて『良し』としよう。


で、省吾の感情の主役として居た恋は(今の一撃、もう少し腰を入れれば威力が上がったかな?まぁもうあんな危ないのは遣らないだろうし、頭の中に留めておくぐらいでいっか)と、以下にも鍛錬してます、修行してます的な感情が入っていた。良く言っても悪く言っても『真面眼鏡(マジメガネ)君』だ。



そうすると省吾の構え方が先ほどの様な体をリラックスさせながら、殴りや突きなどを基本とした両手を胸の前で構える方法では無くなり、左足を前にだし、右足を外に開きながら左足に体重を乗せて行き、前傾姿勢になった。そして手はダランと下ろす様に形になる。

それに対して恋は構えるのを辞め、身体を身軽にさせて左右にゆっくりと体を揺らしながら、省吾の呼吸や予備動作などをしっかりと見て行く。


刹那、そんな言葉が似合う程速く、そして今までとは明らかに次元が違う戦いが始まった。

人間の身体はリラックスしているとそれに応じた分だけ、リミッターが外れて行く。それを利用し、省吾は常人では目先で追うのも不可能な程の速度で、一瞬と言う時間の中で恋の前に移動し、そのまま恋の腹に突きを入れようとした。

が、恋もまた軸を作らずリラックスをさせて居た。そのおかげで省吾までとは行かないが、それでも常人には不可能な速度でそれを交わし、省吾同様に腹に突きを入れようとする。


繰り返し、ただそれが1秒間の間に少なくとも6回は起きた。だが、どれ1つと残像では見えはしたがはっきりと動きは理解出来ない。

それは2人も同じ事だ。2人は予備動作や経験などを使い、予測と言う形で交わす。だが、それも絶対と言う訳では無い。パターンやリズムが変われば合わせるまでの時間、経験した事が無い場合もあり得る。特に2人の場合はお互いがお互いの癖をある程度して居る状態。となれば、勝手な先入観や思い込みなどが働き、リズムやパターン以外にも、戦い方その物を変えられてしまうと太刀打ち出来なくなる。幾ら技量が上だろうとも。


恋の体が唐突に揺れるのを辞め、威力を捨てた完全スピード型の蹴りを入れて行く。普段の恋ならば手堅くオールラウンダーとして方やリズムを取るが、今は確実に近接戦闘や銃などでの中距離戦を目的としたフォームになっている。

それは省吾に取っては半分驚きだったが、残り半分は自分がどう言った型をすれば分かった、と言う喜びでもあった。


省吾は恋とは違いスピードはある程度しか無いが、恋の攻撃を確実に抑える。つまり守備に転じた。

恋もそれに驚き、恋がどのタイミングで仕掛けると計ろうとした瞬間、省吾の突きが完全に腹にも入る。


だが、不思議な事に恋には痛みなどは無く、ただ道場の床に倒れた。

床は少しばかり冷たく、同時に恋が負けたと言う事を分からせてくれた。


これが舞川恋と舞川省吾の日常的な朝であり、普通とは懸け離れた朝だ。

はい、音夢です。北海道ではもう雪が降り始めたのでメチャクチャ寒いです。

まぁ、そんな雑談は置いて置き、次回は来週の月曜日に投稿です。それと感想や誤字脱字などがあれば報告お願いします。


では、また来週!

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