3 月夜に奏でる旋律は 下
すっごく更新が遅れてしまいました!すいません!
では、はりきってどうぞ!
そんな様子の中、パンパンッと手を叩く音が響いた。
「お前らー静かにしろー教官様の登場だぞー」
けだるそうな声とともに太い剣を担いだ女が現れる。
「あら、アンジー教官。相変わらず偉そうですわねぇ。ごきげんよう」
にこっと微笑むキュルアにファイがすかさずつっこみを入れる。
「お前も十分エラそうだけどな」
それにキュルアはなぜか得意げにふふっと笑う。
アンジー教官。フルネームはアンジェル・徨・イェアリ。この学校には珍しい女教官の一人である。そして、ファイらのパーティの顧問教官だ。しかし、女教官といえどなめることはできないほどの強さで、成績上位の生徒も太刀打ちするのが難しいほどの剣の腕前である。気だるそうでありながら、それでいてすべてを見通していそうなワインレッドの瞳と、肩のところで切り揃えられた黒髪が特徴。そして、
「教官、まだタバコ吸ってるんですか?休み前、注意されていたじゃないですか」
「黙れトール。これは棒付きの飴だ。アタシみたいな教官様もちっとは努力してんだよ」
「要するになにかくわえていたいわけですね」
タバコが止められず、いつも飴をくわえているのも特徴である。
そんなアンジー教官は再び手をパンパンと叩いて、
「はいはい、休みは終わりだ。今日からまた思いきり扱いてやるよ。…と、その前に、このパーティに新入生を紹介する」
「新入生?このパーティに?」
全員が怪訝そうな顔をする。
それもそのはず。この、ファイたちのパーティは現在4人…新入生を含めば5人だが、それでもかなりの少数しかいない小さなパーティだ。なぜか。それは、このパーティはいろいろと訳ありの人たちが集まっているからである。訳ありの…周りに馴染むことのできない、協調性がない、特別な境遇である…それでいて能力だけは特別に高い人が集まるパーティ…。そんなパーティに新入生が入るのだ。
「こっち来い」
アンジー教官が呼ぶ。すると、アンジー教官の後ろから小柄な少女が顔を出した。
ダボッとしたフードを深く被り、顔を隠した少女。フードの下から微かに覗く肌はまるで雪のように白く、透き通っていた。
「ぁ、あの、ゎ、わたしの名前、喜々(きき)、って、言うんです。喜々・鈴・シャルネ…。ょ、よろしく、お願い、し、ます」
リン、と。まるで鈴を奏でるかのような小さく、儚げで美しい声が響く。オドオドしており、多少聞き取りにくいが、もう一度聞きたくなってしまうような…そんな声。
「戦うことは得意ではないみたいだが、今日からこのパーティで情報収集を担当することになった。少々人と触れ合うのが苦手らしいこともあり、このパーティに入る。まぁ他にもいろいろ理由はあるがな」
アンジー教官が説明を終えると、セーナが真っ先に彼女に声をかけた。
「やぁ、喜々。オレはセーナ・イェン・キャスティス。3年生。よろしくね」
どこからか、赤色のバラを一本取りだして差し出す。
それを、恐る恐る手を伸ばして受け取る喜々。
「えと…。ぁ、ありが、とう、ございま、す…?」
それに、キュルアはセーナを馬鹿にしたように
「やぁねぇ、疑問形じゃないの。また凝りもせずに口説こうとするから…。それに、バラの花なんてくさいにもほどがあるわよ、ふふふっ。私の名前はキュルア・ローリエン・ルイミネード。同じく3年生よ。よろしくね、喜々」
続いてリィーア。
「あたしはリィーア・憐・トール、2年生。よろしく」
「俺はファイ・ファルデリア。2年だ。よろしくな」
ファイが握手しようと手を差し出す。しかし、
「ひゃ…あ、の、ゎ、わたし、握手は、ちょっと…」
それを見たリィーアは、こちらも馬鹿にしたように笑った。
「うーわ。ファイあんたダッサー」
「まったく、うちの男子共はロクな奴がいないわねぇ。ふふふっ」
それを見ていた喜々は、不思議そうにある1点を指差した。
それを皆目で追う。
「ぁ、あの、この方は……?」
彼女が指差したのは、ファイが連れてきた機械人形。エルエリストだった。
それに、アンジー教官は
「そうそれ、アタシも気になってた。なに?機械人形か?どっから手に入れてきたんだ?ん?」
ニヤニヤとした瞳で聞いた。それは、これから起こることを楽しみにしているかのようだった。
「はい。私は空白機械人形でございます。先ほどファイ様にも申しました通り、通常の軍事用機械人形に変わりわないと思われます」
「…へぇ?」
この2はまだ続きます。
また更新が遅れるかもしれませんが、またよろしくお願いしますね!!
ありがこうございます!