第3話
修斗は、来都に言われたチームメイトの直した方が良い所や練習方法などを伝えひたすらに練習に打ち込んだ。
そして迎えたこの日を……
インターハイ地区予選1回戦――
「いや〜、こんなに練習したの子供の頃ぶりだ……絶対、今日動けないわ〜……」
「俺も身体バキバキっす……」
克也と陣は、そう話しているがどこか自信に満ちている表情をしていた。
「よし、みんな今日まで俺のワガママみたいに練習付き合わせて悪かったな――」
修斗は、いや来都は最後の仕上げとチームメイトを鼓舞する。
もう、来都とは普通に会話出来る様になっていた修斗。
「来都、今日は最初から変わってくれるの?」
(は?そんな訳ないじゃん)
自分の成仏がかかって要るのに……
負けてやろうかな……
…………いやいやいや、それは勘弁。
楠 来都。
サッカー選手としては凄く尊敬に値する人物ではあったが……
思い出すだけで、早く成仏して欲しいと心から思える……
(おい!負けようかなとか思っただろ……)
「そ、そんな訳無いでしょ!」
「おい、みんな集まれ。」
須賀監督から集合がかかる。
最近、チームの調子が上がりやる気を取り戻してくれたのか……試合前にアドバイスなどをくれるようになっていた。
そして時々……俺の方を見つめて目を細める時がある……
俺、何かしたかな?
「――って事だ。ら……修斗。今日も頑張れよ。」
「はい!……ん、ら?」
キックオフ――
地区予選1回戦の相手はベスト4常連校の白峰高校。
以前は練習試合で17-0で負けた相手である。
「今日は20点取らせて貰うよ!」
相手FW3年の高柳。
ムカつくヤツだが実力は間違いない。
高柳はボールを貰い、スルスルとコートを駆け上がる。
が、「通しませんよ!」守備的MF1年の田崎がピタリと高柳を止めた。
「邪魔だよ!お前」
高柳は田崎を抜こうと仕掛けるも、田崎の動きがいつもと違う。
「通しませんっ、て!」
バシッ!
「なっ……」
田崎は、高柳の足元からボールを蹴り出した。
転がるボールは修斗の元へと転がる。
「キャプテン、お願いします。」
「ああ……」
転がってきたボールを修斗は拾い前を向いた。
あれ?今日は来都と変わってないよな……視界が広い。
修斗は走り出した。
来る……
ザザッ!
田崎にボールを奪われた高柳が後ろからスライディングタックルを仕掛けてきた。
しかし、修斗はまるでそこに高柳が来るのを分かっていたかのように躱す。
なおも、上がり続ける。
あと少しでペナルティエリアという所で相手DF2に阻まれた。
「涼太!頼む」
パシッ!
「オーライ!」
右へ上がっていた
坂井 兄へとパスが綺麗に通る。
しかし相手も強豪。
それを読み詰める。
一気に逆サイド――弟の陣へとノールックでサイドチェンジ。
さすが兄弟と言った見事な連携。
陣は涼太からの無言のパスを上手く処理しサイドを駆け上がる。
サイドに集中が逸れた……今なら行ける。
修斗はマークされていた相手DFの裏へと抜け手を挙げた。
「来い!陣!」
「もう、行ってますよ!」
陣は修斗の動き出しを見てパスを送っていた。
来都に言われ実践していた練習の成果が発揮される。
前はガラ空き……直接決める!
――バンッ!
陣からのセンタリングを修斗はノートラップで右脚に合わせた。
ピピッ!
「ゴール!」
「やった……」
(やるじゃねーか!修斗)
来都のアドバイスのおかげなのは少し癪だが。
強豪にも引けを取らないチームへと変化していた。
「まだまだ点取るぞ!目標20点だ!」
――試合終了のホイッスルが響き渡った
10-1……信じられない。
俺が入部して以来、2桁得点なんて初めてだ……しかもベスト4常連校相手に。
「おかしい!なんなんだよ、お前ら……」
高柳はコチラを睨みながら喚いていた。
ベンチに戻ると、監督は修斗を呼び……
そっと耳打ちをする。
「修斗……いや来都なんだろ。」
見えている訳が無い。
しかし、長年 監督と言う物をやっていた感と言うやつなのか……
修斗は来都へと話しかける。
「どうする?信じて貰えないと思うけど……話す?」
(……いや、今はまだ黙っておいてくれ)
来都の言葉を受け、修斗は監督へと上手く誤魔化した。
地区予選を順調に勝ち進める金沢南イレブン。
ついに、決勝戦へと駒を進めた。
「あと1つ……ここを勝てば全国か……」
チームメイト達も試合を積み重ねる事に顔つきが変わって行くのがハッキリと分かる。
「行くぞ!全国大会、インターハイの舞台へ!」
「おぉ〜!!」
――――――――
(いや〜!惜しかったなぁ〜!まさか、あそこで俺がミスるとは……ブランクだな!)
「来都……ワザとだろ……」
(ギクッ!)
《金沢南高校サッカー部 インターハイ準優勝》
(って事でもう少しよろしくな!修斗!)
「もう、いい加減成仏しろよ〜!」
〜~完~~




