第3話:カニだけど、前にも行けます
――痛い。とても痛い。
ハゼとの激闘の果てに、俺の歩脚は2本お亡くなりになった。
今、俺は砂に沈みながら、微動だにできずにいる。
でも、勝った。俺は勝ったんだ。
(そう……これが“狩り”ってやつか)
満身創痍の状態ながら、俺の目には、そこに転がるハゼの亡骸が見えている。
――ごめん。ハゼ。
でも君の栄養と魔力、全力でいただくッッ!
ガブッ、モグモグ、ジュルルル……
完全に干潟のホラーだけど、今はそんなこと言ってられない。
そして、ハゼの体を食い尽くしたその瞬間――
(うっ!?)
まただ。
体内を駆け巡る熱、皮膚の内側から突き破ってくる圧力。
これは――来るぞ……!
(第二進化ッッ!!)
バキバキバキッ!
俺の甲殻が一気に弾け飛び、新たな殻がその下から現れる。
小さなハサミは巨大化し、左右非対称に育った片方は――
(あれ、やたらでっかいぞ!?)
そう、俺は――シオマネキに進化した!!
でも、ここで終わらない。
体の芯に、何かが響く。
それは、人間だった頃の記憶。
走り回り、ジャンプし、階段を登ったあの記憶。
(なんでカニって横にしか歩けないの? 前に行けた方が絶対便利じゃね?)
そんな幼稚な疑問が、今、奇跡を起こす。
(行ける……俺、前にも……後ろにも行けるッ!!)
新たなシオマネキボディで、俺は試す。
前進! 後退! 斜めも!
縦横無尽に干潟を駆ける俺の姿は、もはやただのカニではない。
そう、俺は異世界干潟の機動戦士。
いや、カニ戦車かもしれない。
(見てろよ世界……この足で、俺は次の頂に登る!)
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