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第10話:イボルブ!海底カニ・リボーン

 深海、静寂、酸素ほぼゼロ。




 ――死んだかと思った。




 マグロ、いやあいつ、“虚無の先兵”とでも呼ぼう、ラスボス感マシマシの魚。


 おそろしくデカくて、おそろしく硬くて、おそろしく問答無用だった。




 俺の必殺・ハサミクラッシュも通じず、ハサミは片方粉砕、脚は何本かポッキリ、甲羅にはヒビ。




 「俺、けっこう頑丈だったはずなんだけどなぁ……?」




 などと考える余裕もなく、ズルズルと海底へ――




 そして、目覚めたら。




 「おい、コイツ……生きてるぞ!?」


 「呼吸してる、ハァハァって……いやカニって呼吸するんだっけ?」


 「おい誰か!ハサミくっつける魔法班ー!」




 わちゃわちゃしていた。


 俺のまわり、ズワイガニでぎっしりだった。




 ──そう、深海のズワイタウンに運び込まれていたのだ。




 「だ、大丈夫か兄ちゃん!?」


 「なんかすっげぇオーラ出してんぞコイツ……!」


 「こいつ……ただのカニじゃねえ!!」




 あー、やっぱりわかっちゃう?


 俺、いろいろ吸収しちゃっててさ。




 ――ドクン。




 体内に残っていた、カジキの魔力が反応を始めた。


 あの高速遊泳。音すら置き去りにするスピード。


 俺は思い出す……いや、身体が再現を始めていた!




 「ふん……泳げるカニって、すごくね?」




 そしてもう一つ。


 シャコ。そう、モンハナシャコ。


 あの“地球最強のパンチ”と名高い、超高速ぶっ飛ばしパンチ。


 人間すら水槽ごと割られるあのパンチが、俺の右腕に再構築されていた!




 「なんだこれ……右腕にビンタ用ジェットエンジンでもついてんのか!?」




 とどめはヤシガニ。


 カニ界きってのマッスル族。あいつのハサミを模した新装備が、俺の左腕にドンッ!




 「ふふ……左右非対称の浪漫兵装、来たな……!」




 さらにボディはズワイガニたちの協力により、タカアシガニの軽量高機動骨格に改装済み。


 速度、威力、頑丈さ――全部乗せのチート仕様。




 長老ズワイが震えながら呟いた。




 「……あれは、まさか。“深海完全体オーバークラブフォーム”……伝説の……!」




 伝説? いやまあ、よくわかんねえけど――




 「いっちょ、仕返しに行くかァ!!」




 深海を蹴って、俺は再び泳ぎ出す。


 マグロ? 虚無? んなもん関係ねえ!




 「次にハサむのは、お前の運命さだめだッ!!」

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