27話 21の日
結局、野菜も花も植えることになった。館の真ん中に玄関があり、その玄関と門を石畳のアプローチが繋いでいる。石畳を境界にして、半分野菜や果物など食べられるものを、もう半分に花を植えることになった。花はとりあえず様々な色の薔薇を植えることに決まった。……始め私に似合いそうだとマリーベルがピンクの薔薇にしようと言ったら、師匠が白も似合いそうだと言い始め、その後も黄色やオレンジもいいと赤以外の薔薇になりそうだった。でも私は赤い薔薇がマリーベルに似合いそうだから植えたいと言った結果、様々な色の薔薇を少しずつ植えるということになったのだった。
監視の目もあるので、前回同様師匠が買い物に行く21の日に、師匠のお兄様にガーデニングに必要なものを送ってもらうことになった。
……師匠のお兄様にお世話になりまくりだね。何かでお礼できたらいいな。食べ物はすぐに送れるかわからないから難しいかもしれないけど、薔薇だったらポプリにしたら受け取ってくれるかしら。また何か考えよう。
私は21の日が楽しみでもあり、師匠が襲われたらという不安を抱えながら日々を過ごす。
魔術講義はずっと魔術陣を描く練習をした。私専用の魔術ペンを師匠が作ってくれたので、それを使ってひたすら練習した。師匠が言う通り自分専用とそうじゃない魔術ペンは魔力の調整のしやすさが全然違った。紙に描く時の抵抗感が圧倒的に少ない。それでもまだまだきちんと魔術が発動するには程遠い。
……ちなみにマリーベルは自分専用の魔術ペンを使い出してから上達が早く、描いた魔術陣の半分はきちんと発動するようになった。
……私は私のペースで頑張るもん。大事だからまた言った。
そうしてついに21の日になった。師匠は特に変わった様子はなくいつも通りだった。朝食を食べた後は師匠のお兄様と通信の魔道具を使って、土やら苗やら他にも色々送ってもらった。何でわざわざ土を送ってもらうのかと思ったら、その土は土の属性のものだった。この館は金の属性の土地になるので、作物を育てるなら土の属性の土を取り寄せる必要があったのだ。
金の属性の土でも作物を育てることは可能だが、収穫までの期間は他の土で育てた作物と同様に必要でも、季節に関係なく育ち、病気や害虫にも強いので、入手できるなら土の属性の土を使った方が断然いいとのことだ。
土の属性の土すごい。本で見る飢饉とは無縁じゃない?そりゃ金の属性の次に狙われるよね。
送ってもらったものをガーデニングに必要なものは庭に置き、他の木箱に入った荷物は師匠が頼んだものらしく、これは師匠が自室に運んでいた。その中に本が数冊入っていたようで、私にと渡してくれた。久しぶりに本が読めることに興奮する。しかしその前にマリーベルの検閲が入ることになり、すぐに読めない。ガッカリしたが、ここでは本を読む以外にもやりたいことがあるので、城にいた頃のように暇を持て余すことはないからゆっくり待とう。
「師匠、本当に本当に気をつけてくださいね」
師匠は小さく微笑んで私の頭を撫でる。その後で少し表情を引き締めた。
「メルたちも気をつけるように。一応庭に出ずに館の中にいること。訪問者は無視すること。外が騒がしくても……」
「わかりましたから!」
それでもまだ言足りなさそうな師匠は、チラチラ私を見ながら門に向かう。門の結界を通り抜け、師匠だけが結界の外に出た。見送ろうとしたら館の中に入るように言われた。
心配性すぎない!?
そう思っても師匠は私たちが館の中に入るのを待っているので、仕方なく見送りを諦めた。館に入り、すぐに近くの部屋の窓から門を見たけど、すでに師匠の姿はなく、転移の魔術陣が消える所だった。




