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オモチャを買って帰っていると女神に恥をかかされたんだが

作者: 英賀要

 今日は、いわゆるアダルトショップというやつに来ていた。何をしに来たかはもちろん言うまでもないだろう。オ〇ホールを買いに来たのだ。

 店の前で少し周りを見渡してから少し猫背になりながら帽子を深く被り直す。一歩踏み出す。こういういざという時、ここまで俺が小心者だったというのはとても悲しい発見だった。

 店に入ると歩き回ってから目的の場所まで行き、我が子のように慎重に手に取り、買うとすぐに店の出口へと向かった。

 それでも、望みのもののオ○ホを手に入れられて少し気分が上がっていた。俺が買ったのはスタンダードなやつだ。

 店を出るとその店の前で周りを見渡しながら、さながら下着泥棒のように足早に帰り道を歩いていった。 ニヤニヤしながら歩いていると、後ろからブゥゥゥンとエンジン音が聞こえて来たかと思えば、俺の真横をものすごい勢いで走り抜けていった。

 それを飛ぶように橋の手摺りの方へ避ける。


「あっ。おい!危ないな」


 避けた勢いで俺の手に握られていたオ○ホの入った袋は空中を泳いで川の中にジャポンと音を立てて沈んでいってしまった……。

 オーノー。

 なんてことだ。俺にオ○ホまだ早いっていう神からのお達しなのか。いや、神様なんて信じていないが。

 なんてことを考えて項垂れながらそのまま帰ろうする。

 すると、オ○ホを落としたあたりが光だすと次第にぶくぶくと泡が出てきた。その泡も大きくなってくると、川の中から10メートルはある美しい女性のような巨人が出てきた。


「な、なんだこれ……」


 いや、川の中から出てくる巨人を人と呼べないだろう。なんなんだこれは。

 その川の中から出てきた巨人のような何かは神々しいオーラを放っていた。そう、それは女神の如く……。


「私は女神です」

「女神……」


 その女神は金髪で長い髪のいかにもギリシャっぽい服を着て慈愛の表情を浮かべている。

 俺は基本神様を信じていなかったのだが、流石に目の前に出てきてまで信じないほど頑なに認めたくないわけではない。だがそんな神の有無よりも、この女神は何の目的で現れたのか、こいつは俺に話しかけてきているのか。そして俺だけでなく他の人にも見えているのかということが気になる。まあ、そもそも俺の日頃の欲求不満が災して幻覚を見ていると言う線もないでもないが。


「こんにちは」


 そう言うと、その女神は柔和な笑みを俺に向け浮かべ周りを見渡す。

 なんだろうかと思い俺も周りを見渡すと小さな人だかりができていた。

 ほほう、ということは少なくともこの女神は俺だけに見えるのではないという事になる。幻覚でなくて本当に良かった。


「こ、こんにちは、俺になんのようでせうか……」


 俺は、この巨人のような女神に正直なところビビっていた。

 なに? 俺何か悪いことした?


「はい、私はいわゆる泉の女神という女神なんです」


 泉の女神? あのものを泉に落としたら、どちらが自分が落としたか二択で問題を出されてどちらも違うやつ? よくよく考えてみたら、わざわざそんなことをするって女神の方が性格歪んでるよな。

 ていうか、なんで川から泉の女神が出てくるんだよ。水だったらなんでもいいのか?

 それにしても、落としたもの?

 …………落としたもの!?


「泉の女神ってあの?」

「そうですね。恐らくあなたの思い浮かべるもので大方あっていると思います。知っているなら、説明の必要はないですね。それに、話すより見てもらう方が早いでしょうし」


 と言いながら水の中におもむろに手を突っ込み何かを取り出そうとしている。

 嫌な予感がする……。


「め、女神様!? 何をしていらっしゃるのでしょうか。もしかして、公衆の面前であんなもんを取り出しやがるんでしょうか?!」

「どういうことですか?」


 こちらを向いてコテンと首を傾げて言った。

 純粋過ぎる眼差しだ! なんかこちらが申し訳なくなってきた。


「女神は性格歪んでるなんて言ったこと謝るから! ホントにそれは許してください」

「そもそも、怒っていませんから謝らないでください」


 そう、優しい顔で俺を諭すととうとうその時はやってきた。

 オ○ホを両手に二つ持ち、元ネタから考えるとあまりに下品だったが、かの有名なセリフを言う。


「あなたが落としたものはこの電動のオ○ホですか? それともこの、スペシャルなオ○ホですか?」


 あ、終わった……。

 まじかよ。俺の後ろの人だかりからは俺を軽蔑するような視線や、俺を笑う声が聞こえてくる。


「そ、そんなオ○ホ? ていうんですか? と、とにかくそんなもの買ってませんよ」

「…………あなたは正直ものですね。」

「は?……あ!」


 俺が買ったのはスペシャルなやつでも電動のやつでもない! スタンダードなオ○ホだった! 貧乏なことがこんなところで役に立とうとは……。

 というか忘れていたが、泉の女神のこの二択はどちらも間違いなんだった。

 なんにせよ。後ろの人々の誤解(全く誤解ではない)を解くことができた。


「正直ものなあなたには、このスペシャルなオ○ホと電動のオ○ホを差し上げましょう」

「い、いやそんなもの入りませんよ。で、でもそこまでいうなら貰っておきます」


 全然そこまで言うならというほど言われてはいないのだが、何も言わないでほしい。察せ。


「あ、そうだった! あなたが落とした。スタンダードなオ○ホも返し――」

「あああああああ‼︎ 」




 貰ったオ○ホは最高だった。

読んでくださりありがとうございます!


「おもしろい!」と思ってくださった方は、ぜひ★★★★★とブックマークいいねをしてくださると、幸いです。

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