表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

76/81

ドラゴンメイドの咆哮、火炎。

 感激を示す私の声が通路に響く!

 給仕服を着た影は、私の大声に一瞬怯むような動きを見せて身体を止めた。


(正解か?それともただ驚いただけか?)


「まったく人間はおかしな生き物だ、こんなひらひらの格好がそんなに良いのか?

マスターを讃えられるのは悪い気はしないが、仕える者に必要なのは形・格好では無く、機能だと思うのだが、う~~~ん不可解」

 影は首をかしげ、腕組みをして悩む感じ。


「いえいえ、違うんです!

 メイド姿とは機能美と造形美、二つの美を兼ね備えられた素晴らしい物なのですわ!

 良いですか>働くだけなら作業着を着ればよく、美しいだけならドレスやスーツがあります・・・が。 ですが!その二つを融合させる事は至難なのです!

 機能と造形の両立!それは文明が生んだ、解く事の難しい超難問なのですわ!!

 その答えの一つこそ・・・メイド服!そして可愛いメイドさんなのです!」

 つまりメイドさんは素晴らしい!とても良い、と言う事なのです。


「お?・・おお??・・そうか?」

「そうなのです!」断言!


(すごく早口で話してまいました)ですが、私の想いは伝わったはず!

 メイド服の素晴らしさ、可愛さ、美しさ、きっと解って貰えたはずですよね??!


「えっと、アルシア様?」「お姉ぇ様?」

「しっ!いまはワタクシに任せて下さいませ」

 交渉では、最初は敵意が無い事を示す事が重要!

 次ぎに、この交渉にメリットのある事を相手に理解してもらう事でしゅ。


 相手の利益を先に伝え、その後に僅かな不利益[相手の大きな不利益は隠す]を示し、契約を結ぶ。

 交渉の基本です。


(メイドさんが竜殺しなのか、竜の力を取り込んだのかは不明。

 そんな相手を目の前にして、こちらは小声の相談とか絶対に怪しまれますから。

 なのでここは、私の交渉術で戦闘を回避できれば。)


「もっとメイドさんの素晴らしさを語り続けたい所ですが、なにぶん私達は、その・・・今から出口に向かわなければなりません。

 なので、申しわけございませんが、今日の所は先に行かせてはいただけ無いでしょうか」

 押して参る、ってわけには行きません。


「ん~~ん、まぁいいか。

 お前ら、敵ってわけでも無さそうだし・・・でも、う~~うん?そうだなぁ。

そこのお前!名前は?」

「私ですか?アルシア D ブラットリー、王国にある学園の生徒ですわ」

 公爵家の者とかは言う必要は無いでしょう。

 権力者の子息とか、普通に恨まれるか妬まれるか、敵視されるか・さらわれるかですから。


 金持ちと権力者は面倒事に巻き込まれたくない、なので基本、社交界以外の場所では名前を言いふらしません。公爵とか子爵とか、一般の方達には『金持ちの貴族!』くらいの認識しかないのですから。


「D?・・お前、まさか!あの!?Dの血族なのか?!」

「えっと、、我が家の曾祖父が国王様から賜った家名[ダイアン]の頭文字です。

 王国がブラットリー家の忠誠の証しとして与えて下さった、当時の国王様のお名前の一部を戴いたと聞かされておりますわ」


 Dの血族、あのDとは別の物だと思いたい。

(この家に与えられたD、この[D]が、あの神様達の悪戯の一部で無ければ。

 ですが・・・)


「そうか、よかった。

 お前があのDなら、私は竜の本当の名に賭けて、お前と敵対しなければならなかったぞ」

 良かった良かった。


 (ん~~~私、ひょっとして結構ヤバイ家系の子?)

 まさか・・・ねぇ?

 ですが、今回はなんとか戦いは回避できた、みたいですよ。


「では私達、先に行かせて貰いますね」

「ああ、いいぞ。行ってヨシ!だ!」

 不思議な動き[ヘルメット猫?のポーズ]で帰り道を指すメイドさん。

 安全確認良し!って感じ。


(すごい笑顔の気配・・・笑顔でチラチラと見てますね、メイドさん)

 私は突っ込みませんよ!


“あっ、と!ごめん言い忘れてた!”

「あ、マスターの声だ」

 飛んで来た言霊に反応するメイドさん。

 この声は、先ほどのダンジョンマスター?

 

“きみ、アルシア?私さ、メイドにお使いを頼んでるからダンジョンで・・”

「は・・ハッ・・ハクション!!!」

 メイドさんのクシャミ!それはドラゴンの咆哮!

 

 ダンジョンの通路が一瞬で赤く染まり、竜の吐く高熱の[ブレス]吐息が全てを焼き尽くす!!!


(え?!やばっ!)

 EXゴットスキル![忍術、超!石畳み返し!]


 視界が赤の閃光で染まる瞬間、アルシアは両手でダンジョンの床を叩き、石畳みを作る。

 そして素早く、身を守る壁にします!


「二人ともこちらへ!早く!」反応が遅れた二人を壁に引き込んで、更に!!

[忍術 土遁!土かまくらの術]ダンジョンの石床にチャクラを通し、石でかまくらを作る。


 ゴワッ!!!!

 空気が燃え石壁の表面が溶け、沸騰した風が通路全ての水分を蒸発させ煙が上がった。


"・・・・・会っても戦わないでね、一応人型をしてるけど中身、ドラゴンだから”


 炎が全てを燃やし尽くし、私達が土かまくらに隠れた直後、メイドさんと私達にダンジョンマスターの言霊が飛んで来きました。


(この声は、ダンジョンマスター??)遅いですよ!!

 それに型をしたドラゴン?メイドさんですか???

 私、ドラゴンとか神獣を人型[女の子]にして使役するの、良くないと思います。


ニンジャとドラゴン?

勇者とメイド?

二つの運命が、いま交差する!!!ような、そうで無いような話。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ