いま!キュアキュアの力を一つに!!
次々と集まってくる猛禽類に似た魔物、その後に続くように飛んで来る虫型のモンスター。
魔物を呼ぶ声の欠点、それはどの程度の数の魔物が集まって来るのか解らない事。
範囲スキル[魔物を呼ぶ声]その声に呼ばれた魔物が数匹としても、その魔物に釣られて他の魔物も集まって来る、その魔物に釣られて他の魔物も・・・って感じに魔物の群れが出来上がる。
そして魔物は数集まると興奮し、暴走が始まる事があって。
なので適当に数を減らした後は即時撤収、集団暴走[スタンピード]が始まる前に逃げましょう。
火刃火刃火刃火刃火刃火刃!!!!
次々と赤い剣閃が空を飛び、刃に焼かれた魔物が地面に落ちる。
火刃のコツを掴んだレイピアの剣は、より鋭くより速くより連続に刃を飛ばし、新たな技に昇華されようとしていた。
[連火飛剣!] ファイヤーバード!
(焼き鳥?・・・まぁいいか)
翼を拡げたように広がる朱色の剣閃、飛ぶ斬撃が魔物を焦し撃墜数を上げて行く。
(範囲攻撃を閃きましたか、、、ではそろそろ魔力切れを起こすまえに撤退しましょう)
基本攻撃の火刃ですら使えるようになったのは2日前、そこから新しい技に昇華させたとなると身体の成長が追い付かない。
倒れるまで魔力を消耗させて魔力量を増やす方法もありますが、そこまでしなくてもレイピアは十分強くなれるはず。
( こは無理せず安全、事故を起こさす堅実に)
「レイピア、そろそろ潮時です。撤退の準備を」
はぁはぁはぁはぁ・・・「まだいけます!戦わせて下さい!」
瞳孔を開き口元を上げるレイピア、急速なレベルアップで興奮状態を起こしています。
(やる気は十分伝わって来きますが、興奮してるだけでは本当の強者には勝てませんし・なれませんよ)
なので・・・
「レイピア!魔物の数が増え続けてます。ここは2人、協力技で!」
『天に掛る虹の光りよ!』切っ先を空に、フォルシオンに7色の光りが集まって光りを放つ。
「えっ!あ!『正義を導く紅き炎よ!』」
レイピアが燃え上がり、赤い刀身が赤水晶の光を放つ!
「「今、キュアキュアの力を一つに!」」
レイピアの左手を繋ぐフォルシオンの右手、虹色に光る剣と赤色に光る剣が2人の前で重なり、虹の光りが螺旋を描く。
『キュアキュア!レインボートルネード!』
雲霞の如く魔物が舞う空に浮かぶ7色の放物線!
キュアキュアの、ピュアな心が作り出す虹が魔物の群れを包む時、魔物達は力を失って『きゅあきゅあ~~』幸せの表情を浮かべて堕ちるのだ。
「吸収!!」「いただきます!」
力と戦意を失った魔物を待っていたのは、二匹の不気味動物の吸収。
契約したキュア少女が倒し殺した魔物を食料とし、その身体に[マジカル=エナジー?]として溜め込むらしい。
レイピアの剣に貫かれ、絶命した魔物の身体が灰のように崩れて消えているように見えたのはその為だ。
私達が戦っている間、怪鳥・ペリー[翼を含めた全長が約2mのペリカン]は、その大口を開けて次々と魔物を吸収し喉を鳴らし。
私のパートナー、針ネズミのような生物は、戦場の真ん中でイガ栗のような背中をバリッと割り、その中から伸ばした黒く霞む長い手で力尽きた魔物を掴み、イガの中に取り込んで吸収しているようだった。
「本当に、何度見ても慣れませんね」
1度だけ、それも一瞬だけ中身が見えた時が有った。
その時に見た物は、イガ栗の中身が黒く闇に包まれていて、その中央に充血したように目を赤く滲ませた一つの目玉、それがギョロリと動いて私を見かえして、目玉の周囲に歯並びの悪い黄ばんだ歯、それが幾つも並ぶ不気味な中身だ。
その化け物に『人の食事をジロジロ見るのはマナー違反じゃない?
落ち着かないからあんまり見ないでよ、、、食事ってのはそう、静かで何と言うか・・・自由でなきゃダメなんだ』 とか。
不気味な獣にマナーを諭されるなんて、二重の意味でショックでした。
(ハリネズミの化け物かと思ったら、ハリネズミの皮を被った化け物とか。
黒霧に無数の手と目玉?この化け物はいったいどこの世界の化け物だ?)
記憶の中で一番近い化け物は[フラスコの中の怪物]ホムンクルスだろうか、でもアレって肉食動物だったか? う~~~~ん。
「あ、あの、フォルシオン。私、そろそろ限界が」
「そうですね、魔物もある程度減りましたから撤収しましょうか」
無理は禁物、経験値稼ぎは安全丁寧、焦らず地道にしませんとケガをしては大変です。
私達の使っているフォルシオンとレイピアは、魔力を込めるだけで魔法が使える[剣の形をした魔法の杖]に近い。
勿論、剣としての性能も高く、宝剣や上級の魔法剣に相当する武器。
材質は多分、魔力が圧縮して出来たと言われる魔水晶、それも剣に使えるサイズ不純物の殆どない純粋透明の結晶。
世界に幾つも無い純粋結晶を削って剣に作り変え、持ち手に魔法伝導の高い神金?か何かを加工・錬金してある。
(勇者の頃に使っていた神剣と同等のレベルの物ではありますが、そこが問題)
剣が魔力を無尽蔵に溜め込み、魔法の上限無く使う事が出来る。
魔力さえ流し続ける事が出来れば世界最上位の魔法すら使えるようになる、しかも魔法の知識の無い子供でも最上位魔法の行使が可能になる性能。
正し、使い方を誤れば魔力の枯渇で直ぐに意識を失い、ぶっ倒れてしまう。
そんな使い手泣かせの武器なんです。
(そんな物を、女の子にぽんっと渡して『変身』とか訳が解らない)