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タイトル未定2024/10/25 11:25

喋るハリネズミと前世を思い出す勇者。

 キュアキュアになったルージュの速度は通常剣士の約3倍くらい、動きが単純で剣線も読みやすいから今は簡単に弾けますが。

 彼女が剣士として成長すれば、元勇者の私でも今のように簡単には捌けないでしょうね。


(彼女は根っこが純真だから、絡め手を使えば負ける気はしないんですけれど)


 最小の動き足運び、手首の捻りでレイピアの軌道を読み払う。

 守りの動きは最小でコンパクトに、攻めの動きは最大で力強く一瞬で。


 後の先、守り受け、相手の体勢が崩れた隙を狙い、首・腹・心臓・頭、一撃必殺の部位を突き、足・手・眼球・股間、相手の攻撃力を奪う部位を切り払う。

 並以上の戦士であれば、2~3度彼女と戦えば攻略法は簡単に見付かる。


 それをさせない為に、彼女には[先の先]相手の先を読み、その動き・思考・判断をさせる前に攻めきる高速の剣を身に付けて欲しい。

 

(その為にはとにかく実戦、考える前に身体が動くレベルにまで鍛えてあげないと)


 目に写る相手の動きを[感]で捉え、瞬時に身体が動くくらいの本能と技術の剣、天性の性質が必要となるけれど、戦闘を繰り返していれば身体が覚えるようになるだろう。


「向かい合う相手の視線、僅かな動きと呼吸、そこから相手が何を考え何をしてくるかを予想して攻めるんです」

「ハイ!」

 返事は良いですが動きはまだまだです。


・・・・・・・・・・・・・・・・


「はぁはぁはぁ・・・」

「動く時は曲線の動きと直線の動きを意識して下さい、では汗を流して来て下さい、私は朝食の準備をしてますから」


「「ありがとうございました!」」互いに礼!


 ルージュの持っていた収納魔法がかけてある袋から、野鳥肉・ウサギ肉を入れた皮袋を取り出す。

(あとは野菜と塩と・・・)


 夜の間、焚き火に鍋に仕込んでおいて作った野菜スープに鳥肉を刻んで入れ、ウサギ肉を塩で揉み火で炙る。


 小麦を水でのばして捏ね、薄くのばしてパンを作り焼いた石の上に乗せて焼く。


「・・・」

「・・・ハリー、そんな目で見ても上げませんよ」


 赤ん坊サイズの毬栗、ハリネズミのハリーがこっちを見ていますが無視します。

「キミって凄く可愛くて器用なのに、なんでそんな意地悪なことをいうのかな」


「誉めて頂いてありがとうございます。ですが私はキミ達不思議[不気味]生物の事をあまり(全く)信用していませんの」

 自称マジカルランド(多分魔界)からやって来たという不気味生物、自分の事を魔法の妖精と言って私に変身ソード[フォルシオン]を渡して来た生物。


『ボクと契約して、愛と正義の戦士キュアキュアになってよ』とか。

 屋敷を放り出され、森で1人だった戦う武器の無い少女の私に声をかけてくるあたり凄く怪しい生き物。

 なんやかんやあって剣を借り、元勇者で公爵令嬢のアルシアは変身少女キュアキュアになってしまいました。


「私達の食事が終わったら用意しますから、それまでは我慢して待っていなさい」

「む~~~」ハリネズミが膨れてますが多分演技です、この不気味生物の主食は生物の死体、マジカルランド[魔界]の契約に縛られていて、自分と契約したキュア戦士が倒した生物を食べる事でしか元の姿・力を取り戻す事が出来ないらしいです。

 ちなみに、私が変身している最中に応援していたのがこのハリー。


 私が契約した生物がこのハリネズミのハリー、ルージュが契約した獣はいま小川で彼女と戯れている大口怪鳥ペリカンのペリー、、、何をやっているんでしょうね。


 美少女の水浴びと戯れるペリカン、、、無防備です、あちらの世界で社会人だった私には罪悪感がスゴイ。

 私が少女になってしまったからだろうか?

 彼女の水浴びを見てもそれほど動揺しなかった。


 まぁそうで無ければ、水浴びとか寝る時に複雑な感じになってただろうけれど。。。


 骨を取ったウサギ肉の炙り焼を薄いパンで挟んで食べる。

(辛くないタコス?ケバブ?見たいな感じにしてみましたが)


「「いただきます」」・・・


 携帯用の岩塩が良い塩加減になってます、あとはコショウか醤油・ナンプラーとミントがあればもっと美味しく出来たはずですが。  


「まぁまぁ」「美味しいですわ!お肉は芳ばしくてピリッとした塩加減、薄いパンも少しもっちりとして焦げた部分はカリッとして!野菜スープがとても優しいお味で少し辛いお肉の刺激を優しく包んでくれていますわ!」美味美味ですわ!


「そっ、それは良かったです。喜んで食べていただいて、お作りしたかいがありましたわ」

 料理した物を美味しそうに食べてくれて『美味しい』と言ってくれる、それは料理人として最大級の褒め言葉です。


(・・・そうか、現代日本の味に慣れすぎて、こっちの料理を忘れてたな)

 自分が勇者だった頃は鎧ムカデの炙り・大芋虫の炙り・地獄ゼミの幼虫の・・炙りが日常だった、とにかく獲物を捕まえて木の串に刺して焼くだけの物。

 

(喰えたら良い、喰えるだけマシ、そんな毎日だったっけ)

 一角ウサギ・暴れ牛鶏・フライングチキン・こいつらがごちそうでした。


 さらに魔王の住む魔界は、魔王の居城に近づくに連れて魔素[魔力元素]が濃くなる土地だった。

 なので魔界に入ってからは食い物を探すのは大変で、奇妙な形の動物・言葉を喋る虫・毒が有るのか無いのか解らない魔獣・・・まともに喰えるのは植物系モンスターくらい、そんな土地での喰うか喰われるかのサバイバル。

 

 今さらだけど、大変だったなぁ・・・。






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