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頼りになる男、その名はリーダー

道中での戦い2

 馬車の中で密かに老執事が胃を痛めている時、騎乗した傭兵が馬車を離れ、相打ちを避けた狩人が弓から手を離す。

 離れた場所で仲間が戦う中、馬車の周りを守る護衛達の緊張がわずかに緩む。

 遠くで悲鳴を上げて蹴散らさせれる野盗、一方的に追い回す味方の護衛の歓喜、武器から手を離しその様子を眺める傭兵達。

 そんな空気の緩みの中、音を立てず静かに素早く動く者達がいた。


 馬車の貴族、その身柄を押えてしまえば護衛達は意味を持たない案山子だ。


(向こうの雑魚共は全部囮だよバカが、貴族のガキをさらって身の代金をたんまり頂いてやる。

 金を奪った後は、ガキは隣国の貴族に売り払うか、それとも変態貴族に奴隷として叩き売るか・・・)

 

 国の衛兵が公道を見回り監視しているとしても、一般の兵士からみれば貴族のガキなんか赤の他人の子供だ、命を賭けて戦う者は少ない。


 反面、野盗からすれば貴族の子供は金になる上質の獲物。

 敵対する貴族に売れば、人質としても・当主の死後後継者として擁立する事も可能になる。

 生かしても殺しても価値がある貴族のガキ。

 商人を襲うより金になる獲物、それがこの時期公道を使ってやってくる貴族の馬車だ。

 野盗が襲わない理由は無いだろう。

 

(護衛さえ追い払ってしまえば、後はガキをさらってとんずら、楽な仕事だ!)

 気配を隠す[隠密]を使う男は口元を歪ませて走る。


くくっ(弓使いはまだ背を向けこちらには気付いていない。

 背後から素早く切りつけ、手傷を負わせたら弓使いは無力。

 そうなりゃガキ一人つれて逃げるなんざ屁でもねぇ)

 

「お前ら、音を立てるなよ」

 小さい声で命令を出すが、背後で走る男達から返事は無い。

 

(この場で返事をするバカがいれば後で殺すつもりだったが、今日の男共は多少マシな連中のようだな。

 

 なら弓使いにバレて狙われても全員が四散すれば、弓使いは的が絞れない。

 そうすりゃ、馬車まで一直線だ目的は達せられる。

 一人でも馬車に辿り付けば、あとは召使いが1人か2人、ただの召使いに殺られるほどのバカならソイツもオレが殺してやる)


 今回の襲撃が失敗したとしても、獲物のガキは次々と向こうの方からやって来る。

 何度でも機会はあるが、オレの足を引っ張るヤツはゆるさねぇからな。


(っ!)?!油の匂い?罠か!?

「止まれ!」

 

 地面すれすれに張られた糸、黒油で光りを反射しないよう細工された糸がなぜここに?!

 (密偵が罠によく使う隠し糸、いつの間に!?)


 罠糸が身体に触れ、結び目が解け糸が緩む、それはつまり。


『はい苦労さま』馬車の上で、こちらを狙う弓兵の口が動く。

そしてヤツの矢じりがこちらに向いて、日の光を反射していた。


「しくじった!お前ら、散れ!」

 草の原を蛇行して走れ、そうすれば矢の狙いは定まらないはず。


「ぐあっ!」右に走る男が正確に射貫かれ声をあげた。


「急所にあたらなければ死ぬ事はねぇ!走り続けろ!」

 敵は弱ったヤツを狙う、当然弓兵が狙う獲物もケガをしたヤツだ!

 お前ら、的は多い方がいいんだ、死ぬ直線までオレの役に立て!


(ばれていた?ヤツら何者だ?ただの傭兵じゃないのか?!)


 敵が凄腕の傭兵なら、護っている人間も普通の貴族のガキじゃない、ここは退くべきか?


くっ!「糞、貴族のガキをさらえば一生遊んで暮らせる程の金が手に入るんだ!

 多少の危険はあって当然!」

 獲物のでかさで怖じ気づくほどバカな話は無い。

 やばい橋ほど真っ先に渡る、そうで無ければ野盗なんか出来るか!


「リーダー。2人ほど突っ込んで来る、結構早いからお願い」

「ああ解った、バナード左は任せた」2人の軽装剣士が剣を抜く。


 バナードと呼ばれた男は少し走り、近づいてきた短剣の男を一撃で切り伏せ、もう一人の男は高速で近づく男の剣を受けはじく。


「チィィィ!!」

「こいつ、やるな!」


 黒の短剣を構え男が怒りの声を上げ、剣士のほうは驚きの声をあげた。


「クソッ!邪魔しやがって!」

「隠者・・暗兵崩れが野盗になってるのか?!、バナード!正面はボクが行くから二人でやろう!」

「相手はそれほどか、わかった」

 バナードが皮の盾を構えて回り込み、リーダーは剣の切っ先を揺らし野盗の視線を自分に向けさせる。


 『ぐぎゃぁ!』また一人野盗が矢に撃たれ、次々と数を減らす中、剣士と戦士、二人が野盗を囲む。


(くそっ、さっさと逃げるべきだった!どこで間違えた!

 役立たず共が!クソクソクソクソ!!!)

 今からでも逃げられるか?!無理だ、囲まれちまっている!

 こいつらのどちらかでも殺さねぇと逃げる隙も無ぇ!


「ここまで来て逃がす訳が無いだろ?」馬車の影からの声。


 糸の罠を仕掛けたヤツも隠れている、クソッ!


 舐めるな![暗殺][影刃][2連切り]気配を消して、息を殺した不意伐ち!

 黒の短剣にはタップリの毒、皮膚を裂けば毒が回って死にいたる。


「おっ?!って」[飛身]

「よいしょ[一刀兜割り]」

 素早く飛び退き剣を避け、振りかぶった剣が男の身体を二つに割った。


「ふぅ・・驚いた。

 オットー、ほかにも敵がいないか警戒してくれ、ほかの皆は死んだフリをしている奴にとどめを、油断はダメだよ!手早くここをかたづけたら、後はお客様を王都にご案内!

 報酬をキッチリ貰って豪遊だ。

 みんな、仕事はお金を貰うまでが仕事だよ!」


「はいはいー」「解ってる」「解った」

 リーダーが声を掛けると、それぞれの顔が引き締まって動き出す。

 所でリーダーの名前はなんと言うのでしょう?


 

 次回、聖☆ソードキュアキュア!

 ようやく王都に突いたアリシアとルージュ、彼女達は学園にある寄宿舎に向かうのだが公爵家から追放されたアリシアはきっと家無き子!

 

 これって私、小公女?

  私がいいこと探しなんてありえない!をお送り致したいですわ。

 

小公女、良いこと探し、う~~ん。

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