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タイトル未定2024/11/01 18:49

「たのむ。武器、しまって、くれ」

 革鎧を着けたゴブリンはたどたどしい人語を使い、視線を向けてくる。


「・・・」約3m、私の間合に入ったが、さて。


(一刀で切り伏せて殺す事は出来ますが、対話を持ちかけて来た相手をキュアキュアが一方的に切り殺せば、お子様やその両親・お母様方からのクレームは必至!

 この身体の持ち主にも[凶暴女]とか[殺戮少女]とか、

 よろしく無い二つ名が付いてしまいかねませんし・・・)


「私が少し様子を見ますから、レイピアはそこにいて下さい」

「えっ?!でも!」


「大丈夫です、全て解っていますから」

 力を着けても恐い物は恐い、1度ゴブリンに襲われた経験のある女性なら、それは精神に深く刻まれた傷になる。

 彼女が私に甘えたり、一緒に寝ようとする理由も闇とゴブリンが恐いから。

 だと思う。


「ごめんなさい。私達は貴方達、ゴブリンと話すのが始めてなもので。

 えっ、と。皆さんは悪いゴブリンとは違うのですわよね?」

 アルシアは革鎧を着けたゴブリンに笑顔を向け、1歩進む。


「そ、そうだ、オレ達、は、悪いゴブリン、ちがう」


「それは失礼しました、えっと、森を抜ける道をご存じなのですよね。

 どちらの方向でどのくらいの距離でしょうか」笑顔で近づきながらヤツの顔を覗く。


(汚い笑い顔、知能の高いゴブリン・・・ゴブリンエリートでしょうか?)


「あ、ああ。こっ、こっちだ、着いて、来い」

「そうですか、ありがとうごさいまっ、あっ!」

 派手にスッ転んだ私は、その手に持っていたフォルシオンをすっ飛ばし、五体倒置!

 見事大の字になって大地とキスをする。

 私のファーストキスです。


「・・・しっぱい、しっぱい」

 ガサッ!

 立上がろうとするアルシアの背後で草が音を立て、獣の熱を帯びたゴブリンが飛び出し声を上げた。

「NiGaaァァァァ!!!」「Nigylaァァァ!!」「Fagyァァァ!!]


「嫌ゃーー!!!」

 レイピアの声が響く。


 倒れたアルシアの背中に飛び掛かり襲うゴブリン共、その手には錆びた短刀や短い槍を持ち、汚く臭い口から黄色のヨダレを飛ばし叫ぶ。


やっぱり「こうなるとは思っていましたが、本当に」バカ共が!


 シュバッ!

「一刀両断!」


 ゴブリンがアルシアの身体に届くその前に、フォルシオンを手にしたアルシアは横一線の剣閃で3匹の胴体を輪切りする。


「゛な?!なぜ!??」

 ニヤ着いていたゴブリンエリートの顔が驚きに歪む。


「言葉を話すヤツがこちらを油断させ、その周囲のゴブリンが隙を覗う。

 そして相手が隙を見せたら、背後から押し倒しゴブリン毒の付いたナイフで一撃!刺す。


 毒に犯された人間は弱って動け無くなる、あとはいたぶり殺すも犯すもお前らの自由って腹だろ?」


 最初から信用なんかして無ぇんだよ!クソゴブリンが!

 キュアレイピアが倒された時と全く同じ方法、少しは工夫しろよな。


(薄汚いゴブリンの目の前に、武器を持たない少女が倒れていたら襲って来るのは当たり前だよなぁ?)


「ああっ転んだのも当然わざとです。

 自分の右足の先で左足を転ばしました、武器はほら」

 薄くのばしたレインボーリボンで柄を結び、転がし飛ばしたように見せました。


 人語を喋ろうと鎧を着込んでまともに見せようと、ゴブリンはゴブリンだ!

 性根が腐ったヤツが人間のマネをして近づいて来ても、直ぐにバレるんだよ!バカが!!


 ゴブリンの頭には[奪う][騙す][犯す][盗む]事しか入っていない。

 ゴブリンは人間を憎み妬み嫌う。

 人間の優しさに付け込んで近づき、そして背後から毒の短剣で刺し、その剣を人間の子供に向けて襲う。

 そんな事を至上の喜びにするような外道共だ。

 

 小綺麗な格好と人語を話しても、中身は汚く臭く狡賢いだけのゴブリン。

 騙されるヤツも悪いが、騙す方がもっと悪い。そしてゴブリンはもっと悪い。


 女子供を襲って殺すゴブリンは、死を持って償え。


「正当防衛確定、レイピア、大丈夫ですか?」

「えっ!?せいと??」

 叫ぶ私の声に慌てるキュアレイピア、正当防衛の考えは少し難しかったでしょうか。


ふふっ「ゴブリンを殺す正当な理由が出来ました、戦って下さい」ニッコリ笑顔。

「解りました!レイピア、行きまぁぁす!」


「グバッ!ハッ!!」

 瞬足のレイピアがゴブリンエリートに向かって走り、その心臓を革鎧ごと貫き殺した。


 汚い唾を吐きレイピアを睨むゴブリン。

 最後の力で目の前の少女を掴もうとするが、レイピアの身体はすでに手の届かぬ位置にまで下がり、追撃の突きがゴブリンの頭を貫いた、と同時にレイピアの身体が揺れる。


「[眠り]スリープの魔法!」森に隠れるゴブリンの中に魔術士がいる。

「ゴブリンのくせに!」面倒くさい!

 最近のゴブリンは本当に面倒、低級妖魔だったゴブリンが今では魔法まで平気で使うんですから。


 ゴブリン魔術士・ゴブリン祈祷師・ゴブリン神官、ゴブリン司祭とかゴブリン大魔法使い・ゴブリン賢者とかも出て来る気がします。

 本当に面倒。


 人が開発した魔法や奇跡、人間が何年も苦労し、発見したその知識をゴブリンに教えているアホ[人間]がいる、そんな気がしてならない。


(技術や知識は人間の武器であり、資産だと言うのに!)

 どこのバカが流出させているのやらだ。

 ゴブリンの汚い金でも貰って売り渡しているなら、見つけ出して、きっつい罰を与えてやらないとですよ。


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