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魔王が去って小鬼来る。

ふぅ、「今日は疲れました、こちらが静かにしていたら向こうも私達に気を向けないでしょうし、今回は何も見なかった事にして少し休みましょう」アレに関われば、絶対に面倒な事になるので。


(多分、気は付いているでしょうけれど、私達との力の差・レベル差があり過ぎるので無視しているのでしょう。

 こちらが敵意を向けなければ、わざわざ襲って来るような事はないはず)

 地面を這う蟻をざわざわ踏みつけて歩くほど、魔王は暇じゃないと思いますし。


 上空を飛び去った魔王から背を向けたアルシアは、大きく息を吐いて力を抜き、剣を収めて笑顔を作る。


「ルージュ、いまの私達はか弱くとも、力を付けて技を磨けば王国の騎士様達にご迷惑になるような事にはなりません。私達はきっと強くなれますよね?♡」

 恐怖で震える少女の手を両手で包み、その瞳に私は微笑み掛ける。

 戦いは戦士や騎士にまかせたら良いんです。

 男ってヤツは、名誉!とか誇り!とか言えば、勝手に突撃して戦ってくれますから。


「・・・お姉さま・・・」

「大丈夫、大丈夫です。私がいます、私が傍にいますから」

 

(妹が雷を恐がっていた時にもこうやって寝かし付けたっけ)


 怖い事があっても誰かがそばにいる、それだけで十分人は安心できるんです。


(まぁ、妹にはその後、グーで殴られたんですけど、、、いったい何がだめだったのでしょうか)


・・・・・・・・・・・・・


「落ち着きましたか?」

「はい、御姉さまにはまた情けない所を見せしてしまいました、もう大丈夫です」

 ルージュの肩はまだ震えてますが、目の中にあった恐怖が薄れ、涙に濡れた瞳が綺麗。


「少し身体が冷えてしまいましたね、お茶を入れますから、ゆっくりしましょう」

 熱いお茶で身体も心もリラックス、少し休みましょう。


 便利過ぎるEX級GODスキル[ネット通販]で買って置いた、少し高めの紅茶とお砂糖。

 陶器のポットを熱湯で温めた後に葉を入れて、沸騰したお湯を注ぐとポットの中で茶葉が踊る。


(焼き菓子も買って置くべきでしたね。

 ですが、森の中でお茶とお菓子を嗜むと言うのは、少し不自然過ぎますし・・・)


 EX級スキルの所持を他人に知られるのは絶対にマズイのですよ。

 私が勇者の頃、自分の技を見せびらかすようなアホは真っ先に掴まって、スキルを奪われるか利用されて殺されてましたよ。


 強すぎるスキルは災いの元、切り札は隠す物。

 切り札を使う時は、必ず別の切り札を持つ事は基本です。


「と、言っている間に茶葉が十分に蒸れたようですね。

 せっかく香りの良い紅茶です、渋みが出る前にいただきましょう」

 

 お茶を飲み、汗を拭いて身体を休ませたその日の夜、森の中が暗く静まり返る時間に起きたアルシア。

 彼女は寝息を立てて眠る少女に毛布を掛けてから森の奥に入って行く。


 両手には森で拾った石[3~4㎏]を持ち、ゆっくりと腰を下ろして摺り足で歩く。

「重さが足らないな・・・」


 仕方ないので石を捨て、その辺の岩[約20㎏?]を持ち上げ、体勢を低くして摺り足で進む。


 ズリッ・ズリッ・ズリッ・・・・


 この身体は戦いの基本、足腰が出来ていない、なのでこうやって少しでも筋力を戻す。


「次ぎはオレが勝つ!その為には足腰の鍛錬だ!」

 うっちゃれ私!相撲は足腰!

 ムシキングに再戦を挑む少女の鍛錬は朝まで続く、地道な鍛錬こそが強い自分を作ると信じて。



 朝は筋トレ、昼は魔物と戦い夜は鍛錬と休息。

 そのような日が数日続き、今日もまた魔物との戦闘の時間、ベースキャンプから2㎞ほど離れた森に不気味な声が響き渡る。


 怪鳥、ペリカンのペリーが使う[魔物を呼ぶ声]は森に隠れた魔物を呼出す。


 木々の影から現れた魔物の目がこちらを覗き、怪物達は不気味な声を上げた。


(・・・このむせ返るような獣臭、何年も放置された公衆便所のような糞尿とゲロの匂い。

 今日は・・・ゴブリンか、面倒くさいですが人々に害する害獣の駆除もキュアキュアの役目です)


「本日の相手はゴブリンです、油断せず行きましょう」

「ハイ!」

 変身したルージュ[キュアレイピア]は素早く剣を抜き、細剣に炎の魔力を宿らせた。


 彼女がこの森で本格的にゴブリンと戦うのは2度目、1度目の戦いでは無数のゴブリンに押し倒され悲鳴を上げて泣いていたが。

(今の彼女は別人のように剣を構えてます、トラウマの心配は無用でしたね)


 ゴブリン・小鬼と呼ばれる魔物は洞窟や廃墟に巣を作り、森に迷い込んだ商人や近隣の村を襲う魔物。

 村を襲い村人を殺す、女をさらい犯し孕み袋にする邪悪な女性の敵。


 残虐で邪悪、弱者と思えば集団で殺戮しその死体を弄び、逆らえば女子供でも引き裂き殺す、

 獣より邪悪な魔物ですから。


「お、あ、、、迷子、か、村に、送ってやる。」たどたどしい人間語。

 森の中から姿を見せたのは、人間と同じように革鎧を身につけたゴブリンだった。


「恐がる、必要は、、ない。オレ達、は悪い、魔物、では、無い」

 武器である剣を鞘に収め、両手を拡げて武器を持っていない事を見せるゴブリン。


「だい、じょうぶ、だ。

 ほかのなかま、も、悪い、まもの、では無い。

 お前が、武器を、もっている、から、恐がって、いる」

 

 剣を収め、無害を示しながら近づいてくるゴブリンは不気味な笑顔を作り、隠れているゴブリンがいる方向に指をさし、肩を上げるジェスチャー。


「・・・」 

 

(最近のゴブリンは種類が増えました・・・)

 ゴブリン・ホブゴブリン・ゴブリンエリート・ゴブリンチャンピオン・ゴブリンリーダー・・・

 ゴブリンキング・ゴブリンクイーンが頂点だったはずが、ゴブリンエンペラー?とかゴブリンゴッド、エルダーゴブリンとかゴブリン戦車?

 超重合体!鬼戦機ゴブレンジャーとか・・・ゴブリンってなんだろう?解らなくなってしまいます。


 ゴブリンが不気味な笑顔で近づくなか、(そのうちゴブリンの総大将とか、ゴブリン総理とか魔神ゴブリンとかも出てくるんだろうか)とか、私、思ってました。


ゴブリンとはなんなのか、それが問題だ。

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