今この瞬間も、奇跡
「ねぇ、どうして僕のこと好きになったの?」
いつも彼女が答えをはぐらかす質問。ベッドの上で満たされた気分で、2人なかよくゴロゴロしているやさしい時間。このタイミングなら、ポロッと答えてもらえるんじゃないかと思っている僕。しつこいと思われない程度の頻度で、定期的にリベンジして聞いてみる。彼女が大好きな、僕のとびきり必殺な甘えんぼうな上目づかいで。
それなのに、余裕の笑みで「またその話?」と言いたげな顔でこちらを向く彼女。僕はめげずに彼女の頭を両手で捕まえて、おでことおでこをくっつけてもう一押しする。
「ねぇ、おしえて?」
「ひ、み、つ♡」
「もぉー!そろそろ教えてくれてもいいじゃん、ケチ」
僕がわざとらしくほっぺを膨らませて拗ねると、彼女が「それほんとかわいい」と言いながら僕のほっぺを両側から包んで押すので、僕はプシュっと息を吐く。それを見て彼女は楽しそうに笑う。
いつもこの繰り返し。その笑顔で、一瞬あきらめて「まぁいっか」という気分になってしまう僕の負け。そもそも、僕が初めて彼女を知った時点で、彼女は周囲は誰もが知る高嶺の花だった。今こうして一緒に同じベッドの上にいることすら奇跡なんだ。
けれどしばらくするとまた気になって、僕は定期的に同じ質問をする。
「ねぇ、どうして僕のこと好きになったの?」