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蝴蝶の標本  作者: 夢の湖畔の海月
6/6

なりそこないの主人公

ふわりとわりとした世界で

しっかりした感覚もなく

確信もなく


黒髪黒目の瞳の大きな可愛らしい顔立ちの少年で、黒づくめのコート中心服装は、何だかゲームのキャラクターじみている格好良さを持っていた。

自分の名前になんだか栗鼠(リス)っぽさを感じる。

そこはかとなく絵文字(ファンマーク)も2文字ほど着いてやしなかっただろうか?

だが、魔改造されずにそのまま読める苗字と名前は有難く、ゲームキャラというよりは名付けなれた配信者のようだった。

この世界に来る異世界人には皆、同じ名前と容姿が与えられるらしい。

救世主だなんてめんどくさい、何もしないか、いっそ世界を征服してしまおうかなどと言えば、筋肉の塊のような坊主はそれもいいと言う。

統一されるならこの世界では同じことだ、と。


コンビニに行くと若者がY18を見れることを自慢していた。

どうやら、R18Gよりもヤバい指定らしいが、僕には何一つ知識がない。

聞くところによると僕も見れる側の人間らしいが、なんのことか分からない。後で調べてみようか。


駐車場に行くと、襲われる。どうやら力試し(チュートリアル)のつもりらしい。

避けて車の裏の、なるべくつるりと綺麗そうなコンクリートの上で僕はデッキのシャッフルを始めた。

僕の力はタロットカードの上から引いたカードの力を借りること。

いきなり死神(デス)のカードを引いてしまい、ゾッとした。

ーーこんなカード、相手を殺しかねないじゃないか!

力の扱い方も、発動タイミングも、威力も調整できないところに、相手を殺せるカードが来てしまった。

大鎌の力が僕の身に宿り、モーションを成功させれば首を狩り取れてしまう。

加減の仕方も分からず、相手が仲間であることにも気が引けているのに、手は抜いて貰えそうにない。

仕方なく、モーションに入るもなかなか発動に至れない。

やっと綺麗なモーションが決まり、やはり力は使いこなせないなと難しさをかんじれば、仲間は急に落としたものを拾うべくしゃがみ込んだせいで技は決まったのに不発で終わる。

あんなに綺麗に発動したのにかすりもしなかったことへの自信喪失と、仲間が無事でよかった安堵感出ない混ぜになったまま、戦闘が終了した。


ああ、やはりどこの世界でも僕は僕の力を使いこなせやしないのだーーそんな絶望がトリガーとなったのか、そこで僕は祝日の朝に目覚めた。

遅刻では無いか、平日では無いかを確かめ、安堵し、結局救うどころか最初の1歩もままならなかった世界(ゆめ)に思うところはあれど、起きてしまったからには仕方ないと僕は日常(げんじつ)へと還っていった。

そうして自信が持てないまま

やはり能力は扱いきれないのだ

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