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蝴蝶の標本  作者: 夢の湖畔の海月
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ループの日

蝴蝶の夢というけれど


如何にも僕には柄じゃない

 記憶というものは如何にも曖昧で、信用ならない。


 前の世界は数秒前に作られた虚構(ゆめ)で、過去の記憶も捏造だったなんて気づくのは、何時だってより完成された世界(げんじつ)に居るときだ。


 (あちら)に居るときはそれが現実(ほんもの)だと何時だって信じていて、産まれた世界(げんじつ)の方が曖昧(あやふや)だというのに。


 現実(こちら)の記憶を下手に持ち込んでしまうとより完成された(リアルな)世界が構築されてしまい、いよいよ見分けがつかない。


「何時まで寝てるの! 起きなさい!」 


 何度目かわからない怒鳴り声(アラーム)に起き上がる。


 本日既に三回は着替えて家から出たというのに、いまだ目的地には着かずに布団へいつの間にか舞い戻っていた。


「…もう今日は三回も登校したから行かなくても良いんじゃないかな? ねぇ?」


 虫籠の中で呑気に葉を食む蝶の幼虫に声をかける。


 本日三度の登校(ゆめのせかい)では居なかった存在だ。


 そばに置いてる観察日記も手にしてよむことができる。


 今の所、(あちら)では文字など細かいものは認識出来ないので多分こちらが現実なのだ。


 だから、家を出たところで箒で空は飛ばないし、いつの間にか卒業した小学校等に目的地がすり替わることもない。


 どっと疲れた気持ちと心なしか重い身体を引きずって、本日四度目の朝の支度を開始した。

いきたい方へ飛べる蝶とちがって


泳いでいるのに流されてしまう海月(プランクトン)


きっとそんな姿こそ僕に相応しい

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