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第3話 定番の説明

「もう割り切って前向きな質問して欲しいな。過去より現在、現在より未来だよ!ほらほら、僕に質問できるチャンスはコレっきりだよ。」


「で、では…」


次に手を挙げたのは、信号機トリオの1人である赤松だった。


「転生後の世界がどんな世界か知りたいです…」


注目されることに慣れないせいか、だんだんと尻すぼみになっていく声。

だが、その問い自体は非常に良いものであった。


「ああ、その質問は来ると思ってたよ!君達に分かりやすい感じで言うと、剣と魔法の世界だね。魔力という君達の元いた世界には存在しなかった力が存在する、封建社会全盛期の世界さ。所謂ファンタジー的な存在の、勇者や魔王、ドラゴンやエルフだっているよ。」


「な、なるほど、ありがとうございます。」


「うんうん、素直な子はいいね。」


その後、残りの信号機トリオをはじめとした質問が続いた。

俺もまた同様に質問を繰り出した。


分かったことを脳内で整理しよう。



これから行く世界はラライブフと呼ばれている。

この名前は、その世界を治める女神様と同じになっている。

ついでに、その女神様は目の前にいる光の玉の眷属らしい。


転生先の星の自転周期や公転周期は地球と同じにしたらしく、暦等は地球と同じ物が使われている。

聞き流しそうになったが、自転や公転を操るってとんでもない話だな。


陸地は、大陸が東西と2つ存在しており、それ以外には島が点在している程度とのこと。

東にある大陸がアリメリゴ大陸、西にある大陸がユーラッピア大陸と言われている。

大きさはユーラッピア大陸の方が大きく、アリメリゴ大陸の2倍の大きさを持っている。

大陸間は船舶で1週間程度で行き来されているらしい。


文明レベルは、大航海時代直前のヨーロッパ。

ただ魔法という技術があるため、完全に文明レベルが一致しているわけではない。

一方で、魔法という存在のせいで、科学技術はほとんど発達していない。


ちなみにだが、マヨネーズなどの調味料は既に存在し、広く周知されているとのこと。

これを聞いた瞬間、信号機トリオがオーバーなリアクションで頭を抱えていた。

そう言えば、ライトノベルとやらによくマヨネーズを使った知識チートなるものが出てきていたな。


男女比は4:6とやや女性の方が多い。

この比率になる原因は、女性に比べて男性は戦争や魔物との戦闘などで命を落とすケースが多いからだと言っていた。


先の魔物という存在は、ファンタジー定番の認識で合っているらしい。

体内に魔力を溜め込む器官があり、死亡時に硬化して魔石という物質に変わる。

その魔石は、市場で取引され、生活の場で様々な活躍をしているみたいだ。


ファンタジーと言えば、エルフやドワーフなどの所謂異人種がいるが、勿論存在する。

存在する種族は、ヒューマン種、エルフ種、ドワーフ種、獣人種、魔人種の6種族。

ヒューマン種が、地球にいる人類と同じ種族に該当するらしい。 


そんな世界に俺達が転生するのは、ユーラッピア大陸の東に位置する、大陸2位の規模を誇るスターディオン王国。

現在は戦争などが起きておらず、比較的平穏な地であることのこと。


封建制度が導入されており、典型的な王政が執られている。

階級制度も根強く、王族、貴族、平民、奴隷の身分が存在する。

貴族は高位な順で、公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵、騎士爵となっている。

伯爵以上は領地を所有しており、子爵以下は土地持ちの貴族から一部は任される形で土地の管理をするか王宮務めであるらしい。


ちなみにだが、俺達が転生するのと同じ年に国王の子供が生まれるみたいだ。

残念ながら、性別に関しては誤魔化されて分からなかった。

ただ場合によっては、玉の輿を狙える可能性もあるらしく、信号機トリオを中心としてテンションが上がっていた。



「さあ、他に質問はあるかな?後は、そこのお嬢様然とした君だけだね。」


自然と皆の視線が麗奈に集まる。

何かしら考え込んでいるようで顎に指を当て俯いていたが、視線に気づき顔を上げた。

そして、慌てることなく、光の玉に問いを投げかけた。


「転生先に何かしらのシステムはあるのでしょうか?」


システムだと?

先ほど科学技術はないと言われたばかりだ。

社会構造についての説明もあったぞ。

まるで質問の意図を掴めない。


「システム?どう言ったことを聞きたいのかな?」


神様という光の玉は質問に質問で返す。

だがその声のトーンは、質問の意図を掴めず困惑しているというものではなく、質問に対して何か面白いと感じているというものであった。


対する麗奈は、別段慌てることもなく、質問の意図を説明する。


「ファンタジー世界の転移・転生モノによく出てくるシステムが存在するのか、教えてください。例えば、レベルシステム、スキルシステムといったものです。ついでに、自分達にも与えられるのかどうかについても。」


にわかに色めき立つ、信号機トリオ。

声は出せなくなっているため、なんとも不思議な様子だ。

不良陽キャグループが、まるで分からないといった表情を浮かべているのとは対照的だ。


ただ、俺も麗奈の質問の意図は分かった。

度々ファンタジーという言葉が出てきたのだ、そんな異世界モノに出てくるような設定があってもおかしくはない。

もしあるというなら、知っておいて損はない。

むしろ転生後の生活を送る上で周りに比べてアドバンテージになる。


質問を受けた光の玉もどことなく楽しそうだ。

一瞬垣間見えた姿が口角を上げて笑っていたのだから。


「まさか、質問の説明をする上でさらに質問を増やすとはね。まるで質問の説明をさせた対価だと言わんばかりにね。君は強かだね。よし、質問に答えよう。質問に対する答えは、YESだ!」


「その詳細をお聞きしても?」


「うん、これも先の質問に含まれているだろうからね。ラライブフに存在するシステムは2つある。クラスシステムと適性魔法だ!」


これだ、と言われても分からない。

残念ながら、地球にいた頃はそんなシステムは存在しなかったからな。

ただまあライトノベルとかに出てくるものに類していることは間違いないだろう。


「まあこれだけじゃあ分からないだろうから、ちゃんと説明するね。」



クラスシステムは、簡単に言うと存在としての職業といったものだった。

基本的に生まれながらにして与えられるものであり、そのクラスによって自分が使える能力が決まるらしい。

そして、クラスはほとんどにLvが存在し、戦闘や修練を経て、Lvを上げるごとに使用できる能力が増えていくという。


能力は、常時発動型と能動的発動型の2つに別れている。

常時発動型は文字通り、常にその効果の恩恵を受け続けるといつもものだ。

一方の能動的発動型は、所謂必殺技のようなもので、能力を使用するという意思を持たなくてはならない。

また、こちらは一度使用すると、しばしの時間発動できなくなるというクールタイムが存在する。


例として出されたのが、《剣士》だ。

初期から使える能力は〈剣士の初級剣術〉で、最低限の剣の使い方、体捌きが自動的に身につくというものだ。

これは、常時発動型の能力に該当する。

Lv5になると、〈剣士の一撃〉という能力が手に入る。

こちらは、能動的発動型にあたり、自身の身体能力で与えられる威力の2倍の威力で一度剣を振るうことができるというものだ。

これ以降もLvが上がるごとに能力は増えていく。


また、クラスには希少性というものが存在する。

最もレアな存在が、《○者》というクラスで、同じクラスを持つ者が2人存在することができない。

そのため、そのクラスを持つ者は、名前でなくクラスで呼ばれることも珍しくはない。

その他では、《○師》や《○士》、《○人》などというクラスが存在する。


ただあくまでも希少性にしか過ぎず、能力の強さを示しているわけではない。

《○者》というクラスであるからと言って、必ずしも強いとは限らないということだ。


ちなみにだが、1人あたりに与えられるクラスは、最大3つまでとのこと。

しかし、実際はほとんどの者が1つしか所有していない。

2つ持つ者はダブル、3つ持つ者はトリプルと呼称され、それだけで優遇される。

トリプルまでになると、それだけで叙爵されることも珍しくないらしい。



適性魔法は、自身が使用できる魔法系統のことを示している。


ラライブフには、無、火、水、風、土、光、闇のコア属性と、時間、空間などの特殊属性が存在している。

特殊魔法にどんなものが存在しているかの詳細は知られておらず、俺達にもそれらは教えてくれなかった。


さらに、魔法は段階が存在する。

発動しやすい順に、下級、中級、上級、超級となっている。

一応超級の上である神級も存在するらしいが、発動することは不可能だろうとのことだ。

事実今まで使うことができた者はいないらしい。

じゃあ説明するなよ、と思ってしまった。


また、適性魔法は自身の所持しているクラスによる影響を受けるという。

例えばだが、《狩人》のクラス所持者だと、風属性か無属性、もしくはその両方を所持しているケースがほとんどらしい。

逆に、他の属性を持っていることはほとんどないようだ。


ちなみにだが、適性のない魔法を使うことも理論上は可能らしい。

だが、それは理論上のことにしか過ぎず、実用的とは呼べない。

自身の魔力すべて捻り出して、やっと下級が使えると言った代物だ。

使おうとするだけバカらしいということだ。



「こんなところでいいかな?かなり噛み砕いて説明してみたんだけど。」


「はい、ありがとうございます。」


「じゃあ君も一旦お口チャックね。これで皆質問したよね?文句もないようなので、これにて質問タイムは終了!」


どうやら、麗奈の質問タイムも終わったらしい。

はてさてこの後はどうなるんだ?

さっそく転生させられるのか?



だが、神による気まぐれであるということを決定づけるイベントが起きた。


「じゃあ君達のクラスと適性魔法をこれから決めちゃおうね!」


すると、何もなかったはずの空間に()()()()()()()()()が姿を現した。

追記(1/6):王国名の変更。

     フィーリングだけで付けていたものを、意

     味を含ませたものに変更しました。



次回更新日は明日です。お見逃しなく…


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