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第13話 魔法の知識

すみません、帰宅したら寝落ちしてしまい、投稿が遅れました…



日付変えてしまったので、本日これだけでなくもう1話更新致します。

「ふふっ、じゃあ行くわよー。いーち、にー、さーん……」


「行こう、リーラ隠れちゃおう!」


「はい、ヴィクトル様!」


「屋敷の中は走っちゃダメだからねー。」


「「はーい!」」



さあ隠れんぼの時間だ。

鬼であるソフィアからリーラと一緒に逃げないといけない。

絶対見つかってなるもんか!


という表向きの話は置いておく。

今日はグリフィスと会った日以降で初めてリーラと遊ぶ日だ。

前々の計画通りに書庫に侵入してしまおうと思う。


リーラにもその計画の話をしてみたところ、是非にと前のめりで賛成の意思を示してきた。

恋愛ゲームの知識との乖離がないのか、果たして魔法を使うのはどうにうメカニズムなのか知りたかったから、利用しない手はない、とのこと。


だが2歳児が書庫に行きたがるというのは明らかに不自然な気がした。

なるべく自然な流れで書庫に行くのが、ベストだ。

リーラと相談した結果、策を弄することになった。


今回は、偶然書庫に迷い込んでしまった風を装う方法を取る。

隠れんぼの最中に、隠れ場所を探していたら偶々部屋に入ってしまったというパターンだ。

これなら、割と起こりうることなので大丈夫だろう。


鬼は、誰でも良かったのだが、ここは今屋敷の中にいる者で1番偉い人物に頼むことにした。

そうすれば、隠れんぼをしていてもとやかく言われるわけないからな。

あとは、ソフィアなら書庫に入ったことをくどくどと説教してこないだろうという希望的観測もある。


俺とリーラは言いつけ通りに走らないものの、一方で逸る気持ちもあるため、早歩きで動く。

階段も駆け上がりたいが、今の身体だとワンチャン転落すればそのまま召されてしまう。

なので、足元の確認は怠らない。


我が家、もといソフィアの居住棟は3階建てで、下手な小学校の校舎よりも広い。

目的の書庫があるのは最上階3階の隅の方だ。

先ほどまでいた来客とお茶するための部屋は1階にあるから、意外と距離がある。


体温が上昇して発汗し始めた頃に、ようやく到着した。

目の前には日に焼けてしまったのか、黒ずんだ扉があった。

時間をかけて待っていてくれているのか、未だソフィアが探しに来る気配はない。


俺とリーラは顔を見合わせ、その扉についているドアノブに手をかけて回した。



ギィィィィ。


立て付けが悪いのか、扉が開く時に大きな音が鳴った。

どうやらかなり長い間使われていないようだ。


恐る恐る部屋の中へと入っていく。

このタイプの部屋のイメージとしてよくあるのが、真っ暗で何も見えないというパターンだ。

ホラーゲームとかに出てきそうな感じで、一寸先は闇はまさにこれと言わんばかりの部屋。

少なくとも俺はそう考えていた。


しかし、実際の部屋の中は、照明をつけていない学校の図書室を彷彿とさせる様相であった。

2ヶ所の窓から光を取り入れる構造で、書物が並べられた複数の棚が置かれている。

部屋の中で本を読む人のためのものか、3〜4人座れそうなソファーが1つの窓の下にあった。


「……思っていたのと違うな。」


「……そうね。」


リーラも同じことを感じていたようだ。


それから少しして再起動を果たした俺達は部屋の中にある本棚を物色して、魔法の基本的な知識を書かれた本を探した。

基本的な知識を記した書物は、多いのか少ないのか分からないが、3冊ほど見つかった。

リーラと手分けをして、本を読んでいく。


俺は最初に目次を見つけ出して、そこから目当てのページを探すという方法を取った。

横目でチラッとリーラの方を見ると、一生懸命ページを読みあさっている彼女がいた。

どうやら手当たり次第読み込んで行っているようだ。


以前聞いたのだが、リーラも多少はこの世界の言葉を読めるようになっているらしい。

使用人の家系出身ということで、母親のアマンダから言葉を教えてもらっているようだ。

それでも知識量としてはまだまだのようで、1ページを読む時間もかなりかかっている。


そして、かなりの時間が経つのと引き換えに、ある程度の読み込みが終わったので、知識の共有を行った。




魔法は、体内あるいは空気中に存在する魔素という物質を燃料として消費して特定の現象を発動させる技術である。


より詳しいメカニズムを言うと、体内に心臓と対をなすように右胸に存在する魔臓という器官が魔法発動の大役を担っている。


魔素は血管を通って血液と共に魔臓に到達する。

その時に魔素は魔臓の中へとある程度の量が蓄積されていく。

蓄積される魔素の量は個人差が存在し、この量を平時魔力量と呼称している。

この魔臓に蓄積された分を燃料として消費することで、任意の現象を指向性を持たせた上で発動する。

ここで仮に発動させたい魔素量に届かない場合が発生した場合、体内にある少量の魔素を消費して、自分の周辺に漂う魔素を皮膚を介して急速に体内に吸収して、魔臓へと集束させることによって、魔法を発動させることになる。

ちなみにだが、体内の消費する魔素量が1であるのに対して、空気中から集められる魔素量は10になる。

この魔臓に送り込める魔素量にも限界は存在し、それを最大魔力量と呼ぶ。



魔法で発動できる現象は、引き起こす現象の難易度と最低必要魔素量を総合的に鑑みてランク分けされている。

そのランク分けは少ない順に、初級、中級、上級、超級、禁術となっている。

一般的な魔力量の者を基準に示すと、初級は体内にある魔素だけで賄え、中級以上になると体外から魔素を取り込む必要が出てくる。

超級になると、最大魔力量の低さにより発動できない者が多くなる。

そのため、超級を発動できる者は魔法素養が高い者としてみなされる傾向にある。


魔法の発動に必要とされるのは、想像する力である。

起こしたい現象を明確に想像することで、その現象を魔素を使って引き起こせるのだ。

もし魔法発動の際明確なイメージが持てないと、発動自体不発で終わるか、魔臓が暴走して自身を中心とする魔力爆発という現象が発生する。


想像力はかなりの個人差があり、当然自分の中でイメージしきるのは難しいことも少なくない。

上級以上になると、その傾向は顕著にみられる。

それを補うのが、詠唱という技術である。

詠唱の文句を唱えることで、発動させる現象のイメージ構築を手助けするのだ。

詠唱すると余程乖離したイメージをしていない限りは、魔法が発動できるのだが、その理由は解明されてはいない。


基本的に詠唱してから魔法発動させるのが通説である。

しかしイメージがきちんとできる場合は、詠唱を省略したり、詠唱そのものが必要なくなる。

それぞれ詠唱省略、詠唱破棄もしくは無詠唱と呼ばれるテクニックである。

魔法関連のクラスを持つ者はレベルが上がるとそのテクニックを自動的に入手できるとされている。

中級までの詠唱省略はLv50で、上級の詠唱省略はLv75で手に入ると判明しているが、それ以上の詠唱省略や詠唱破棄・無詠唱はこれまでの高レベルの者が明言していないため、判明していない。

そもそもクラス能力として存在していないという説も存在する。



魔法は、人によって発動できる現象が決まっている。


そのため、現象ごとにジャンル分けされている。

火、水、土、風、光、闇、そして無属性がコア属性と呼ばれ、多くの者はこのうちのどれかに該当する属性を所有する。

火、水、土、風、光、闇は文字通りのそれに関連する現象を起こす。

一方の無属性は魔素そのものを利用する属性となっており、例を挙げると、自身の身体能力を向上させる強化や、他の者や物体の能力を底上げさせる付与といったことができる。

付与などは他の属性でもできるため、魔法の属性という観点で言うと、無属性はかなり不遇であるとされている。


勿論これらに該当しない現象も存在しており、それらの属性はレア属性と呼ばれている。

レア属性の例を挙げると、時間、空間、回復といったものが存在する。

レア属性はコア属性に該当しない現象だけ存在するため、どれだけ存在しているのかは確認されていない。

レア属性持ちは希少さに目をつけた他者に利用されることを恐れ、公にしたがらないためである。


そして、発動できる属性であるのだが、これは所有するクラスの影響を多大に受ける。

《勇者》であると必ずと言っていいほど光属性を持ち、《回復術師》であると回復属性の魔法を持つといった形だ。

また属性も1人1つとは限らず、《賢者》をはじめとする魔法関連のクラス保持者は複数属性持つのが一般的である。




「ふう、こんなところか?」


「そうね……思ったよりも多い情報量だわ。」


確かにそう思う。

想像以上に詳しい内容が書かれていた印象だ。

魔法発動のメカニズムがこんな詳細に書かれているとは思わなかった。

神様がーとか、精霊がーとかをイメージしていたからな。


まあけどおかげで色々と知ることができた。

特に参考になったのは、魔法の属性の傾向についての記述だ。

俺の持っているクラスは《敗北者》。

クラスの影響を受けるとなると、十中八九俺の使える魔法は無属性であろう。

不遇といえども、幾らでもやりようはあるはずだ。

幸いにも魔法が使えるようになるのはまだまだ先だ。

その間に情報を集めて活路を見出さないとな。



「ふふふふー、見ーつけた。こんなところにいたのね。」



「「あっ!」」


そうだった、今はソフィアとの隠れん坊の最中であった。

すっかり頭の中から抜け落ちていてしまった。

俺と同じ反応を示したリーラを見る限り、考えていることは同じだろう。


「あら、こんなの読んでたのね。ヴィーちゃん、難しいご本を読めて偉いねー。」


母親は実に甘い。

難しいそうな本を読んでいても、特に不審がることはなかった。

というか、むしろ頭を撫でて褒めてきた。

くっ、心地良くて抵抗できない。


子供らしくえへえへとしているのを、中身JKのリーラに冷めた目で見られる耐えながら、俺はふと思いついた。

正直OKを貰える可能性は母親の甘さを鑑みて半々だが、失う物はもうないのでダメ元で甘えてみる。


「ねえ、ママ。ママって魔法使えるのー?」


「ええ、使えるわよ。それがどうしたの、ヴィーちゃん?」


「ママ、僕魔法見てみたい!」


「ヴィーちゃんのお願いなら勿論よ!んー、ここじゃあ狭いからお庭に行きましょうね。」


「やったー!」


やっぱりソフィアは俺に激甘です。

良かったら評価の方よろしくお願い致します。

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