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第11話 世界の真実

新規キャラの説明をどれくらいの量にするか悩んでしまい、投稿が遅れてしまいました。

「恋愛ゲームだと?」


信じられないフレーズが飛び出してきた。


こいつまさか頭が逝かれたのか?

対価になるような情報を持ってなかったとしても、もう少しまともなことを言うはずだと思うんだが。

これはいっぱい食わされてしまったのか?


「ああー、信じてないんでしょ?」


疑いの目を向けてくるリーラ。

しかし、事実その通りなので否定しない。


「それは当然だ。あまりに突拍子もない話だからな。リーラの気が狂ったと考えるのが普通だろう。それとも何か証拠でもあるのか?」


「ええ、勿論!この世界って、ラライブフって言うじゃない?その恋愛ゲームの舞台も同じ世界なの。スタッフの開発録で見たんだけど、恋愛生活を意味するラブライフって言葉をアナグラムして生み出したみたい。」


「……偶然って可能性があるんじゃないか?」


「まあこれだけだったらね。けど主人公が生まれそして舞台になる学園がある国名も一緒、公爵家と侯爵家の家名も一致しているの。これを偶然で通すのはあまりにも不自然じゃない?」


「……正論だな。仮に偶然の一致だと言うと、かなり天文学的な確率になりそうだ。だがな…」


「それにね、核心を得る出来事があったの。偶然では済まされないような、ね。」


「ほう、一体何があった?」


「あなた、お兄さんがいるでしょ?」


「ああ、疎遠な関係だがいるぞ。名前はーー」


「名前はグリフィス=ピアッシモン。ピアッシモン家の長男で、隣国ヴォーディオス王国にあるポーリニア伯爵家出身のイリジナを母に持つ。どう合ってる?」


「……その通りだ。だが、その程度の情報なら、いくらでも調べられるはずだ。」


「そうね、それは認めるわ。けど、これだけじゃないの。父方由来の金髪で瞳は母方由来の黒、ってこれも見たら分かる話ね…あー、成長後の面影があるって言っても証明できないし、というか直接見たけどまだ面影も何もなかったしなー。」


「おい、待て!直接見ただと?」


「え、ええ、最初の交流会の時に抜け出してね。」


「!そういうことだったのか!」


なんということだ、不審者騒動の犯人が分かってしまった。

てっきりどこかの貴族からの暗殺者かと思ってたんだが。


あれ以降、少し気を張って生活してきたんだが、その努力が無に帰してしまったな。

正体が知れただけでも良しとするか。


「どうしたの、そんな呆れたような表情して?」


「いや、なんでもない。1つの無駄な心配がなくなっただけだ。」


「そう?何もないならそれでいいんだけど。」


当の本人は呑気なものだな。


「んー成長した後の情報ならたくさん情報あるんだけどな…


グリフィスが攻略対象だと?

身内に恋愛ゲームの登場キャラクターだと言うなら話は変わってくる。


どんなゲームでも主要キャラは多寡問わず個人イベントというものを持っている。

個人イベントは、主人公との絆を深めるのが主な目的となるが、中にはそのキャラの覚醒を促すパターンも決して少なくない。

覚醒するケースで多く見られるのは、トラウマになったりするような過去の出来事との決別。


仮にグリフィスが攻略対象であり、なおかつそのパターンを踏襲するタイプなら、俺も過去のイベントとやらに巻き込まれる可能性が否定できない。


それに、このような恋愛ゲームの登場人物は、最終的に恋愛にかなりのめり込みやすいタイプだけで構成されている。

主人公と結ばれるために自分の全てを投げ打うことに躊躇いを持たないようなレベルのだ。

ご都合主義で最後は丸く収まるが、身分の高い者に反抗して己が身に危険が迫るなんてこともざらにある。


その程度で済むなら、俺も構わない。

だが、場合によっては身内を巻き込んだお家騒動や、己が身だけでなく身内まで危険が迫るなんてことに発展する可能性もある。

そうなると、後々俺やソフィアが被害を受けることになってしまう。

断じてそのようなことは許容できん。


これは本格的にリーラの話を聞いておいた方がいいな。

知らないで何か起こるよりも、知っていたけど何も起こらなかったの方が断然マシだ。


「気が変わった。詳しく聞きたい。」


「もう、最初からそう言ってればいいのに!」


そして、リーラは恋愛ゲームの内容を語り出した。




ゲームタイトルは、『君と紡ぐ愛と魔法のシンフォニア』。

男女両者をターゲットにした、ごく最近βテストを開始した恋愛RPGである。

リーラ、もとい紫はそのβテストのモニターに当選したらしく、やり込もうとした矢先、転生騒動に巻き込まれたんだとか。


ストーリーとしては、よくある話だ。


スターディオン王国という国にある学園を舞台に、攻略対象やライバルをはじめとするキャラクターと切磋琢磨しながら己を磨く。

そして力をつけた末に、世界を脅かす存在である魔王の群勢と戦い、世界の平和を守るというストーリーだ。


それに合わせて、一緒に過ごす者達との絆が深まり、いつしか男女の仲へと発展するという恋愛要素が盛り込まれている。


プレイヤーは男主人公か女主人公か選べるらしく、その選んだ性別によって攻略対象が決まるようだ。

メインの攻略対象はそれぞれ4人ずつ存在しており、攻略対象にならなかった同性のキャラは恋敵としてプレイヤーと争うことになる。

またそれとは別に所謂悪役と称されるキャラも存在し、彼・彼女らは性別関係なく衝突することになると。


後日追加されるDLCで悪役キャラも攻略対象になると言われていたらしいが、流石にその内容は転生前に知ることはできなかったと。


そして、メインの攻略対象の説明だ。


男性陣1人目が、ヘリオス=スターディオン。

俺達と同じ年に王家で生まれた双子のうちの男の子、第3王子である。

金髪碧眼の甘いルックスの持ち主で、彼が浮かべるスマイルにときめく女性が後を絶たない、御伽噺に出てくる王子様の見本のような姿だという。

攻略対象のタイプで言うと、見た目通りの柔和な王子様キャラ。


2人目が、ハワード=シークルシース。

西に大きな領地を持つ、武闘派であるシークルシー辺境伯家の嫡男である。

燃えるような紅蓮の髪に、作品きってのガタイの良さを誇り、身長はゆうに190cmを超える。

攻略対象キャラで言うと、熱血運動会系キャラ。


3人目が、ノードン=エクシプノ。

代々王城に政務官として勤める優秀なエクシプノ伯爵家の次男である。

不思議な魅力を孕んだ葵色の長めの髪に、鋭い眼光の狐色の瞳を持つ。

これまた見た目通りの、頭が切れるクールタイプ。


一方の女性陣1人目は、ヘカテー=スターディオン。

前述した王家の双子であるヘリオスの片割れで、第4王女である。

二卵性双子であるため父に似たヘリオスとは違い、母方の桜色の髪を受け継ぎ、瞳は翡翠のような緑色をしている。

王子同様、見た目に似合う心優しき正統派ヒロイン。


2人目が、エレンシア=ピスティード。

王国の今代大司教を輩出している、信仰深きピスティード公爵家の次女である。

彼女ほど白を体現している者はいないほど透き通った純白の肌を持ち、髪はキラキラと輝く銀髪、そしてルビーと見間違えんばかりの美しい紅色の瞳を持つ。

実家の過保護な教育方針により、見事な世間知らずの箱入り娘キャラになるらしい。


3人目が、ルクレーナ=アポストロフ。

王国誕生の際尽力したと言われる名門アポストロフ侯爵家の末娘である。

色鮮やかオレンジ色の髪の毛を、ツンデレの代名詞とも言えるツインテールで結んだ、濃紺の瞳の持ち主。

代名詞たる髪型をしていることもあり、やはりと言うか鉄板のツンデレキャラだ。


4人目が、リリア=ミクディアボス。

他の主要攻略対象が貴族であるのに対して、非貴族である大商会の会頭の一人娘。

紫苑色という少し青みがかった薄い紫色の髪をボブカットにした、多くの人を魅了する桃色の瞳の女の子。

商人の血が流れているおかげか、計算高い小悪魔キャラというタイプだ。


彼・彼女らの詳しい情報や主人公、悪役キャラの情報は、実際に会う機会が来た時に教えてくれるらしい。

まあ正直今言われても、役に立つまで相当時間がかかりそうだから、その方が助かる。



で問題となるのが攻略対象の男性4人目である、グリフィス=ピアッシモン。


言わずと知れた今生の俺の兄であり、ピアッシモン侯爵家の嫡男。

金髪黒目と若干王子と似た見た目であるが、成長後は右半分の前髪を上げてオールバックにするようになるため、差別化される。


そして、予想通りというか、過去イベントが存在するらしい。

現時点から見ると、これから起こる未来のイベントになるが。


今からおよそ4年後、つまりグリフィスが8歳になった時の出来事。

実家のある侯爵家領の()()()()に入った時に、何かがあって、それを機にそれまであったクラスが反転してしまうらしい。

その出来事までのクラスはなんと《賢者》という最高ランクのクラスだそうだ。

しかし、そんな優秀なクラスの《賢者》が反転してしまい、《愚者》という外れクラスになってしまう。


このイベントだけであれば、まだトラウマになるものではなかった。

しかし、泣きっ面に蜂であるのか、トドメを刺す形で不幸なイベントは続く。


クラスが変わってしまったことには、その時気づくことがなかった。

それで気づいたきっかけとなったのが、そのクラス反転というイベントの数日後に起きた、魔物が大量発生するスタンピートの戦闘時であった。


《賢者》のクラスのため、その8歳という年齢では決して使えないような大魔法が使えるという強さであった。

当然その強さを見込まれ、スタンピートで魔物討伐の前線に出陣することになった。


しかし、クラスが《愚者》になってしまった状況で、それまで通りの戦闘ができるはずもなかった。

何もできず、周囲の者から守ってもらい震え怯え続けるのが関の山。

皆に讃えられる栄えある初陣となるはずが、皆に蔑まれ嘲笑される初陣となってしまったのだ。


侯爵家出身、そして《賢者》のクラスという環境により、必要以上に膨らんでいたプライドがズタズタにされた。


それから数年の間、身内以外の者に会うことに抵抗を覚え、引き篭もりとなる。

この影響により、本来学園に入学するはずの年齢になっても入学することはなかった。


だが、ある日突然部屋から出てくるやいなや、女好きの俺様キャラに変貌を遂げる。

毎日のように領地の街に繰り出し、初めは娼館、次第に街でのナンパと女遊びが加速していく。

王都にある学園に入学した後もその癖は治ることなく、下級貴族以下の女子生徒を中心に派手な女遊びを繰り広げる。


である時、女主人公と出会い……




リーラの話は、鼻で笑い飛ばすにはあまりにも詳しい情報であった。

とてもじゃないが冗談で片付けていいようなレベルではない。


そして、興味深い点も随所に見られた。

特にグリフィスの過去イベントというものは聞くことができて大変助かった。


クラス反転のイベント。

そして、いずれ起こりうるスタンピート。


きっとこれらは俺に利をもたらす。

イベントを切り抜けるだけでなく、活用できる気がした。


「どう、役に立ちそう?」


ドヤ顔で言うリーラに腹が立ったが、事実であるため、俺は唸るだけであった。

次回更新日は明日です。お見逃しなく…


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