古代中国人と西方集団
中央アジア 中国の西方要素、ずっと追いかけてる話だが、全体の遺伝子の流れからそんなものはほぼありえない。そうなってくるとかなりポイントが絞られてくる。まず中国にばらばらとある中央アジアのハプロだが、これは回族や唐宋の時代の西方集団だろうと見られている。安録山が中央アジアのイラン系民族であるのは有名だと思う。
じゃ麦はどうなのか?ならほぼ間違いなくBMAC、中央アジアにあった麦作を中心とした農業文化の流入になる。単純に人が移動しなかったんだろうという結論になってしまう。青銅器もそうだが境界線ですべて人種の交雑は終ってしまう。
こうなってくると大きな人の流れで怪しいのは、歴史時代前に移動してきたQ集団になる。
もう一度HLAについておさらいすると、あの数値は集団の移動が激しいほどどんどん増えてしまう。細かいのを入れると中国内の移動も入ってしまうのじゃないか?と思う。ここは詳しいことは分からない。日本と中国じゃ全く違って、とにかく中国は1つ1つの数値がかなり小さい。その中でNO1のタイプと言うに過ぎない。
このQが最もふさわしいのは、歴史時代のちょっと前にとても重要な集団の片割れとなったもので、別の地域のO2集団と合体して出来た集団で大体このグループが中国の王朝と深くかかわっている。ハプロ的にはM120と言いどの省でもトップ10に入るほどのものだが、特別多いわけじゃない。どの省でも万遍なく出る中国を代表するハプロ。
彼らは本当に中央アジアと関係するのか?と言うと、この上位ハプロはエスキモーなどの出るのだが、これが東方集団では?と勘違いさせる部分だが、古代人骨のDNAで、中央アジアからも上位系統のQ1a1が出ている。過去にはシベリア全体に広がっていたが現代においては中央アジアでは見かけることがなくなってしまった可能性が十分にある。
おそらく位置的にモンゴルからのルートだと思うが、モンゴルの集団が中央アジアと密接にかかわってるのは珍しくなく、しかも今のモンゴルの住民は東方から移住してきた人たちで、昔はもっと中央アジア色が強かった。
エスキモーが南下したのではなくて、シベリア全体にいたQ1a1から変異したQ1a1aは中央アジアまで広がっていたが中国とモンゴルの集団以外は割合が低くなってしまったのじゃないかと。
ただややこしいのは多分現代もM120は中央アジアで細かく調査すれば出る。問題はモンゴルから広がったのか?それとも中央アジアからモンゴルに広く分布していたのか?が分からない。ただM120は中国の調査では歴史時代のちょい前に誕生したと見ていたが、古い系統がペルーから見つかっている。所謂ボトルネック後の急速な拡大によるものだと思われる。
絶対に中央アジアだとは言い切れないが、アメリカ組から歴史時代までの間があるなら、西方への逆流があったのは事実なので、これにのって広がった可能性もある。
後フン族集団の欧州で見つかったものに現代のカンボジア人と近いものがあったらしい。M120下位系統が何故か東南アジア付近で強く出る。O2集団と混ざらすにそのまま南下した系統が多分あると思われる。匈奴がM120だったではない。(欧州のQ系でM120はほとんど出ない)モンゴルや中央アジアにはQが出まくるので匈奴の父系はM120だったというわけじゃない。
中国にくる前のM120を含む集団がフン族=匈奴集団と同系統だった可能性がある。
さてこのM120他にもややこしい西方集団に関する問題を起こしている。以前mtDNAの山東省でのミスについて書いたと思う。実はY染色体も同じようにRが大量にいたとかいう話が出てるんだ。あくまで人骨はべたべたのモンゴロイドである。初期にO2集団とがっつり混血してるので、歴史時代の最初からずっと中国のM120は新モンゴロイドの容姿だったと思われる。
そもそも今のQ集団の大半はアメリカ先住民の東方への移住が多いので、どこからアメリカ移住組じゃないのか?はさっぱり分からない。ロシアのQ集団は、大体がN系と混血してるためモンゴロイド的mtDNAを数多く持ってる。ここにアメリカ移住組の片割れが西方に戻ってきた集団もいる。
だからモンゴロイドはモンゴロイドで多少欧州人よりは似ている。そこにO2集団と混血するんだから多分べたべたの新モンゴロイドだと思われる。さてこの怪しげなR、これM120じゃないの?ってツッコミが入ってる。HとBFとの混同と全く同じで、RとQは元はPからの派生ハプロであるためかなりの部分で変異が重なっているため間違えやすい。
山東省のコーカソイド騒動って多分勘違いだと思う。さて、このM120取り方によって内蒙古が最大になる。これはこれで正しい、何せこれモンゴルか中央アジアと混血したモンゴル高原から中国にやってきたと思うから。古い時代だと全然でない。外からやってこないと説明がつかない。
だがデータのとり方によっては山東省が最大の地域になる。元々ランク上位だが4、5番手ぐらいの位置づけ低位置のハプロなのでデータを取った人に人寄ってころころ変わる。それでも山東省が最大のデータがあるのはある。ここ殷があった場所で斉のあった場所になる。多分この2つがかなり大きな意味を持っている。
夏の存在は不明だが、歴史前から古代中原地域の中心ハプロで、殷周を通してさらに増加したと見ている。これがおそらく中国の西方集団の正体ではないか?と予想している。遺伝子量自体はさっぱり多くない。中国人はアジアの南北をかきまぜただけでできている。しかもチベット以外は、D系など古代東南アジア系の要素が薄い。
核DNAの調査からはさっぱり重要なものじゃない。だがHLA最大の集団が西方要素を持っている。ソースが不明だがまだ山東省にコーカソイドの人骨が出たなどの話も転がっている。コーカソイドが違っていても、新モンゴロイドとは違うシベリアQ集団に近い系統が強く出た人物が出た可能性はある。
追記:20/11/20
古代DNAの最新の調査でクリミア半島のシメリア人(クリミアの古代名)とバイカル湖付近の住民にM120が見つかったとの調査があった。これで分かるのは、シベリア東部よりの集団じゃなくて、アルタイを中心とした中央アジア系のYDNAだと分かる。かつ、バイカル湖付近の住民は、青銅器時代の青銅器文化の遺跡からのためおそらく青銅器技術を持った集団として中国にやってきたと見て良い。
これでバイカル、モンゴル、中国北西部と繋がってくる。ついでに、カザフ付近のハプロタイプQの集団と中近東のイラン農耕民の混血が別の研究で確認されている。これでバスク人、サルディーニャ人、中国人が同一の遺伝子を持ってる関係が繋がってくる。なおかつ、ヤムナヤ文化=R1Bの草原集団との混血とは違うグループが中国のアワキビ雑穀農業と牧畜を組み合わせた農業を行っていたのが調査されている。
もちろんR1Bの牧畜を吸収したQのグループもいるが、中国とつながりの深いグループはおそらく中央アジアに移住したイラン農耕民から牧畜を受け継いでいると私は推測している。




