第7話 異変
学校に着き教室に入ると、類の姿があった。
今日もまた、窓の外を憂鬱そうに眺めている。
しかし、今日の類は少し違った。
「おはよう。今日は天気はいいのに、風は一段と寒いね」
突然の挨拶に面食らう。
「そ、そうだね。もう12月だし.......」
「そっか、もうそんな時期か」
普通の顔で返せただろうか、語尾や変な発音をしていないだろうか。
そんな焦りが生まれてくるほど、類が話してきたことに驚いたのだ。
しかし僕以外の誰も、類のことなんて気にもしてなかった。その証拠に類が喋っていることに誰も気づいていない。皆、自分の会話で夢中だった。
類はあの時以来の笑顔を僕に見せる。その顔はとても不気味だった。
なぜ急に話しかけてきた僕には理解できなかった。
もしかして次に殺されるのは自分なのか、そんな考えが頭をよぎる。
『ガラガラ』と教室のドアが開き、隣の席の照屋凛が入ってきた。
「戒斗君、おはよう」
「あ、おはようございます」
何気ない朝の挨拶を済ませた後、ふと類の方を向くと、窓の外を眺める類に戻っていた。
日常の一部。それが少しずつ壊れているようにも感じた。
ーーさっきのは何だったんだ?
疑問と不気味さを感じながら、授業の支度を始めた。