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日常の代償  作者: デスモスチルス大佐
崩壊
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第46話 屋上

とても可愛らしい声をしている。

顔も可愛いいが背丈は平均よりも小さい。

総合的に見ても男子から人気の的になるような少女だった。

「あ、あの遠坂戒斗君.......ですよね.......?」

「そ、そうですけど、あれ?どこかで会いましたっけ.......?」

僕は必死に記憶の中を探したが、このような可愛い少女は出てこなかった。

「そ、そうだよね。もう会ってからだいぶ時間が経ったもんね」

少しぎこちない会話が続く。

僕も恥ずかしくなっていたが、僕以上に彼女が恥ずかしそうに顔を赤らめてた。

「ごめん、本当に思い出せないんだ.......。名前聞いてもいいかな?」

「あ、私こそ最初から名乗れば良かっよね。私、秋乃楓花(あきのふうか)だけど.......。覚えてないかな.......?」

少女は不安そうに自分の名前を名乗る。

名前を聞いた途端に記憶に何か蘇るものがあった。

僕自身は知らないが、違う僕が知っている記憶。

記憶はあるがなんと話せばいいか分からなかった。

僕が沈黙を続けていると、少女は更に不安そうな顔になる。

「そ、そうだよね。私みたいな根暗な女覚えてないよね.......」

少女の声は掠れて、顔は泣く寸前だった。

僕はこれ以上沈黙を続けているのは流石に酷だと思い、自分の記憶を頼りにして話すことにした。

「黙っててごめんね。覚えてるに決まってるじゃん。夏休みとかよく遊んだよね」

そんな答え方をすると、少女の顔は明るくなり僕の手を掴んでくる。

「あぁよかったよ。覚えててくれて、私最近引っ越してきたから友達もいなくて.......。そしたら屋上に戒斗君みたいな人がいたから勇気を出して来てみたの.......」

笑顔がとても可愛かった記憶があったが、記憶通りの可愛い笑顔だった。

「あぁ、でも類ならさっき走ってどっか行っちゃたんですけど.......呼びますか?」

少女はあからさまに表情が変わる。

さっきまでの表情とは違い凄く悲しい表情をしている。

ただ悲しいのではなく、何か申し訳ないことをしてしまったような表情だった。

「その、類君の所には私1人で行くので大丈夫です」

「そうですか」

何か事情があるのだろうと察し、それ以上は追求しなかった。

空気が重くなる。

2人の会話も途切れてしまった。

しばらくの間沈黙が続いた。

「ご、ごめんね。急に話しかけちゃって.......。私、じゃあ帰るね」

「あ、ちょっと待って。連絡先だけでも交換しようよ。何か聞きたいことがあったら連絡入れて」

「ありがとう」

僕は楓花と連絡先を交換した。

その時初めて気づいたが、僕は既に凛と連絡先を交換していた。

「.......」

「どうかした?」

「あ、いや、なんでもない。こっちの話しだから」

「そう。じゃあ私はこれで失礼するね」

「おう、じゃあ」

彼女が屋上から出て行くのを見守った。

彼女が完全に出て行ったのを確認し、もう一度携帯の画面を見る。

見間違いではなく、やはり凛の連絡先が入っている。

僕は少し恐怖を感じた。

凛が見せた笑い方が僕の脳内に映し出される。

怖いという感情が体を支配していた。

足が上手く動かない。

その瞬間『キーンコーンカーンコーン』とお昼休み終了のチャイムが鳴る。

「あ、やべ」

僕は動かない足を無理やり動かして急いで屋上を後にした。

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