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日常の代償  作者: デスモスチルス大佐
崩壊
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第43話 暗闇

『カチカチカチカチ』

暗闇の中で時計の針が動く音だけが響いている。

何だか懐かしい。

だんだんと暗闇に目が慣れてくる。

僕は誰かの家のリビングにいるようだ。

周りには血が飛び散っている。

床には女性の死体が転がっている。

そして目の前には包丁の刃の部分全てが赤一色に染まっている包丁を持った少年がいる。

「やぁ」

少年は軽やかな優しい声で僕に話しかけてくる。

少年の顔は人を殺したとは思えないほど無邪気な笑みを浮かべている。

「何黙ってんの?もう1人の自分」

『ゴロゴロピシャー』

外で雷が鳴る。

気づけば雨も降っていた。

まるであの日のような.......。

「僕を呼んだのは君か?」

「そうだよ」

「なんの為に?」

「まぁまぁそう焦るな、今からそれを話すんだよ」

そう言って少年は持っていた包丁を床に置く。

「さて、立ち話しもなんだし座ろうか」

少年は近くにある椅子に座り始める。

完全に座り終わると、僕にお前も座れと手で合図を送ってくる。

その言葉に甘えて僕も椅子に座る。

「本題に入る前に聞いていいか?」

「いいよ」

「君は僕?」

「そりゃあ勿論。じゃあ俺も1つ聞いていい?」

「なに?」

「人が1番美しい時っていつだと思う?」

脳裏に凛の死体が浮かぶ。

踏み入れてはいけないライン。

そう思っていても本能がそれを美しいと思ってしまう。

数秒間沈黙した後に僕は質問に答えた。

「.......人の死」

その答えを聞くと少年はまた無邪気な笑顔を見せる。

「そうそうそれだよ」

少年は興奮したのかキャッキャキャッキャと猿のように笑っている。

僕は何も笑えなかった。

そんな無表情な僕を見て、

「なに?悩んでんの?あ、もしかして自分の感情を受け入れられないとか?ハハッ、それだったらお笑いもんだよ」

少年は未だに笑っている。

しかし怒りは湧いてこなかった。

「あー笑い疲れた。ヒヒッ、あ、そうそう、受け入れられないかもしれないけど、受け入れたから僕が存在してるんだよ」

「.......は?」

呆気にとられた。

「だってお前がそんな感情を抱かなければ母親が死ぬ事もなかったんだ。お前が少しでも人の死を見たいという願望が僕を生み出したんだ」

「あーなんだ、全部僕のせいなんだ.......。僕が僕がいなければ」

「お前が何をしようとしてるかは分からないが、全部自分のせいにするのは間違えだぞ」

「お前に何が分かるんだよ。お前は相手を殺すことだけ考えればいいんだから、殺したいと思えば僕の体の主導権を握り人を殺す。その後の処理はなんにもしないくせによ」

「言いたいことはそれだけか?」

「言いたいことが多すぎて、言い足りねぇよ」

「.......そうか、お前の気持ちはよく分かった。でも俺はさっきから言ってるだろ自分だけのせいにするなって」

「.......は?」

「お前は自分のこと全てを自分で解決しようとしてるんだ。それではいつかパンクしてしまう。いや、もうパンクしてるのかもしれないが。俺はお前なんだ!!さっきみたいに少しは俺のせいにしてもいいんだよ」

「.......」

少年の言葉が心に突き刺さる。

「.......なんだよ、快楽殺人者のくせに」

「そうだよ快楽殺人者だよ。でも、お前も快楽殺人者だ。過去にやったことはもう戻せない。ならば、これから変えればいい」

「.......でもそれだとお前はどうなるんだ?」

「あれ?記憶の野郎から統合の話し聞かなかった?」

「あぁ、あれお前も入ってるの?」

「そうだよ。だからお前はこの感情も背負っていかなければならない」

「.......不安」

「何を今更」

少年はまた笑いだした。

しかしさっきの笑いとは違い、少し寂しそうな感じがした。

次第に外の雨も止んでいた。

空には虹がかかっている。

「おい、見ろよ虹だーー」

そこに少年の姿はなかった。

僕は部屋の真ん中でポツンと立っていた。

『カチカチカチカチ』

また時計の針の動く音だけが響く。

しかしこの部屋に来た時とは違い、部屋の中は光で照らされていた。

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