第40話 仲間
「僕にとって君は大切な人なんだ。まぁ唯一の理解者?ってやつかな。まぁ今の君には関係のない話なんだけど。だから興味があるんだ。僕は君の昔を知っている。だけど君は昔の僕を知らない。これって面白くない?1人の人間に2つの人生があるんだ。だから僕は君と今から友達になりたいんだ。昔の君じゃなくて、今の君と」
「.......」
なんと答えればいいのか分からなかった。
彼の言葉からは嘘偽りが感じられない。
しばらくの間沈黙が場を支配する。
「.......1つ聞いていいか?」
「なに?」
「友達になりたことはよく分かった。じゃあ何で末那雅を殺した?」
「.......?」
「じゃあ何で末那雅を殺したかって聞いてんだよ」
「ま、待って、僕は末那雅君は殺してないよ。ていうか、君と一緒に殺した鬼嶋以外知らないよ」
「.......は?」
僕の脳は限界を迎える。
何も分からなくなる。
焦る、焦る、焦る。
「じ、じゃあ犯人は犯人は誰なんだよ」
「そんなの僕に聞かれても.......」
「じゃあお前の家の冷凍庫に入ってた肉、あの人肉はどう説明するんだよ」
「.......人肉?そんなの入ってないよ」
「は?入ってただろ。僕は見たぞ、凛と一緒に見たぞ」
「.......凛って誰?」
「おいおい、変な冗談はやめてくれよ、照屋凛だよ。ほら僕の隣の席の」
「いや、僕の記憶だと君の隣はいないはず」
「そんな訳ーー」
僕は自分の席の方を見た時に全てを知る。
「隣の席がない.......」
僕はその場に座り込んだ。
「大丈夫?」
類の声が聞こえる。
しかし心まで届かない。
全てが間違っていた。
最初から僕の人生は。
逃げていたんだ。
凛は僕が逃げるための道具だった。
都合の良い人間を作りたかった。
僕を愛し、僕を受け入れてくれる人間を。
そんな心が見せた虚像にずっと騙されていた。
でもそれが幸せだった。
それが消えた。
今消えた。
もう僕に生きる意味なんてーー
「じゃあ今からやり直そう」
顔を上げると類の姿がある。
「僕も君に救われたんだ。だから次は僕が君を救う番だ」
満面の笑みでこちらを向いている。
眩しい。
眩しすぎる。
その光は僕の心を照らしている。
その心は僕の心を修復している。
そして僕の生きる道を照らしている。
今まで闇の中を歩いていたのかもしれない。
すごく世界が明るくなった気がした。
やり直せる気がした。
僕は立ち上がり彼の手を掴んだ。




