第39話 質問
「あーあ狂っちゃた.......。もうああなったら僕にはどうすることも出来ないんですけどね。あれだけ仲間を大切にって言ったのに.......。ま、それが彼の日常ならしょうがない。これからどんな道を歩もうとも.......」
冬の朝は寒い。
当たり前のことだが、今朝は一段と寒かった。
僕はいつも通りの通学路を自転車で走る。
僕だけの日常。
誰にも邪魔されない絶対領域。
それが世間一般的に見て間違っていたとしても僕は自分の日常を日々過ごす。
いつの間にか学校に着いていた。
僕は自転車を置いて教室に向かう。
教室に着くと、類が窓の外を眺めていた。
何ら変わらない日常がそこに映し出されている。
すると類は僕に気づいたのか、僕の方を向く。
笑っている。
とてもいい笑顔だ。
そして類は僕の方に近づいてくる。
「本当に戒斗君って面白いね」
彼はニコニコと笑っている。
普段の様子からは想像も出来ない笑顔でこちらを見ている。
しかもその笑顔には一切の曇りがない。
不気味じゃないことが逆に不気味だった。
「ねぇ覚えてる?あの日のこと」
「.......なんのことだ?」
「やっぱ記憶にないのか.......」
類はあからさまにガッカリした表情を浮かべている。
「ま、でもそれはそれでいいや。今の戒斗君ともっと仲良くなればいいんだ。まぁ人殺しも楽しかったけど、やっぱ僕は戒斗君と話したり、戒斗君を見てるだけでいいや」
「は、はぁ」
僕はどんな顔をしていいのか分からなかった。
今まで敵対視していた人物が目の前にいるのに、そいつは僕と友達になりたいらしい。
脳の処理が追いつかない。
「なぁ類」
「なに?」
「お前にとって僕はなんだ?」
「人間の中で一番興味がある人」
即答だった。
そしてそのままの勢いで類は語り始めた。




