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日常の代償  作者: デスモスチルス大佐
崩壊
37/49

第36話 情報

犬塚はニコニコ微笑んでいる。

その笑顔からは憎悪が滲み出ている。

怖いという感情が僕の心を制圧する。

「ど、どうしたんですか?」

「どうしたって何も尾行してたんだよ。まぁ新聞の記事のためだけどね。それより戒斗君、声震えているけど大丈夫?」

「あ、大丈夫です。それではまた」

僕は無理矢理話しを中断して犬塚から離れる。

「あーあ、せっかく戒斗君が知りたそうな情報を仕入れてきたのになぁ。お父さんのこととか」

僕は足をピタッと止める。

「それは本当か?」

「あぁ勿論。でもこっちにも条件がある」

「それは?」

「こちらが欲しい情報があるかどうか、それが条件よ」

「なるほどね.......よし情報交換しようか」

「まぁそう来ると思ってたけど。とりあえずまずは人気が少ないところに移動したいわ」

「じゃあ家近いし、今の時間家族いないから家でもいい?」

「えぇ構わないわ」

僕は警戒心を怠らずに、犬塚を家へと案内する。

「着いたぞ」

「へぇ。思ったより大きいのね」

「そりゃどうも」

僕はドアを開け、犬塚を家の中に入れる。

犬塚を居間まで案内し、座らせる。

「じゃあお茶を汲んでくるから少しまってて」

犬塚は意外にも素直に座っていた。

僕は冷蔵庫からお茶を取り出し、コップにとくとくと注ぐ。

僕はそれを居間まで運ぶ。

「ほい」

お茶を注いだコップを犬塚に渡す。

彼女は喉が乾いていたのか、渡されたお茶を一気に飲み干す。

その光景を眺めていると、彼女が切り出す。

「じゃあ交渉を始めましょう」

「あぁ。こちら側としては父さんの情報を貰いたい。そっちは?」

「私は.......君の情報が欲しい」

「.......それって」

嫌な想像をしてしまう。

脳裏に拘束された自分の姿が焼き付く。

「ふふふっあははははは」

狂ったような笑い声を発しながら犬塚は立ち上がる。

「そうよ、私が欲しいのは貴方。貴方自身なの。情報は心理戦よ戒斗君。少しでも有利に立ち回ろうと家に呼んだのかもしれないけど、もう遅いわ。君はもう負けている」

ジリジリと犬塚は近づいてくる。

「ふふふっ、最後に一つだけ教えてあげる。あんたの父親は硲類の父親でもあるわ」

「.......は?」

理解が追いつかない。

普通だったら逃げることを考えなければいけないはずなのに、犬塚の言葉が僕の頭の中の考えを蹂躙している。

犬塚の手が伸びる。

その手にはスタンガンらしき物がある。

しかし僕の体は避けようとしない。

いや、避けれない。

首元にスタンガンが当たる直前『バアァン』と、激しい音が聞こえる。

僕の体はそれでも動かなかった。

視線だけ動かすと目の前には、床に転がりピクピク小刻みに動く犬塚の姿があった。

そしてそれに近づく凛の姿もあった。

「何が情報戦よ。あんたが戒斗の家に入った時点でゲームオーバーだったのよ」

凛はまた拳銃を構え、辛うじて息がある犬塚にもう1発弾丸を叩き込む。

完全に犬塚は動かなくなった。

そして凛は怒った表情でこちら側を向いてきた。

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