第34話 女
凛が去っていくと同時に声をかけられる。
「ねぇねぇ。貴方遠坂戒斗君だよね?」
「あ、はいそうですけど」
「私、新聞部部長の犬塚真紀。ここ最近の事件のことで取材してるんだけど何か知ってることないかな?」
「は、はぁ。何で僕なんですかね?」
「そりゃあ貴方の友達である蒼龍君が死んでいるんだから、まずその周りの人から話しを聞くのが正しいでしょ?」
「すみません、犬塚さん。僕は貴方の質問には答えられないです」
「何で?何かやましいことでもあるの?」
「まだそんなことが言えたんですね」
「はぁ?どういうことよ」
「じゃあ教えてあげますよ。何で貴方は末永が死んでいることを知っているんですか?ニュースでは行方不明と報道されている筈です」
「.......ははは、流石だね。なぁに今のは貴方を少し試しただけよ」
「は?どういうことだ?」
「それは時期に分かるわ。じゃあこの時まで」
犬塚はそのまま手を振ってどこかえ行ってしまった。
(な、なんだったんだ)
僕は何故か彼女からとてもつもない憎悪を感じた。
『キーンコーンカーンコーン』
授業開始のチャイムが鳴る。
僕はそのまま不安を抱えながら授業を受けた。
昼休みになると凛が早速手招きをしている。
毎度のことながら屋上に来いという意味だろう。
僕は弁当を持って屋上に向かう。
『ガチャ』
扉を開けると缶コーヒーを飲む凛の姿がある。
凛はそのまま僕の方を向き、ほいっともう1つ手に持った缶コーヒーを投げてくる。
僕はそれを片手でキャッチし、ごくごくと飲む。
(まずい。僕、ブラック苦手なんだけどな)
「あ、もしかしてブラック苦手?」
「うん」
「それは悪いことをしたわね。でも苦手なら苦手って言えばいいのに」
「男には飲まなきゃいけない時があるの」
「ま、その話しは置いといて、朝の件なんだけど」
「うん、分かってる。今日の朝、霞の携帯に僕の父さんから連絡がきた」
「え、それって.......戒斗のお父さんがこの事件に何らかの関わりがあるっていうこと?」
「そうかもしれない。だからそれを今日確かめる」
「.......どうやって?」
「父さんが帰ってくるまで待って、何か脅す物使って聞き出す」
「え、そんなに作戦練ってないの?」
「う、うん」
「はぁ。戒斗ってそういう所は計画性がないのよね」
「う、だって考える時間がなかったから」
「しょうがない、私のこの拳銃を貸してあげる」
「え、いいの?」
「まぁもう一丁あるし」
「あるのかよ」
凛は僕に一丁の拳銃を手渡しした。
「いい、弾は1発のみよ。使う時は慎重にね」
「あ、あの使い方は」
「そんなのここで教えられるわけないじゃない。勘でやりなさい勘」
「そんな無茶な」
僕は渡された拳銃をポッケに入れ、凛と一緒に屋上から出ていく。
教室に着くとまず最初に拳銃を隠し、そして席についた。
それから午後の授業を行い、帰りのホームルームも終わった。
(これで父さんの真実を暴く)
最初こそ不安だった拳銃も覚悟を決めると頼もしく思えてくる。
そして僕は家路に就く。




