第33話 悩み
僕は衝撃のあまり体が動かなかった。
脳内で必死に点と点を結びつけようとする自分がいる。
しかし点と点は結びつかない。
既に通話は終了している。
携帯を落とした音に反応したのか凛が僕の所に向かってくる。
「今の音なに?」
「.......」
「えっ?どうしたの?」
「.......」
凛の言葉全てが右耳から左耳へと通り抜けていく。
何も分からない。
僕はフラフラとした足取りで荷物を持つ。
「.......心配かけてごめん。何でもないから。それより学校行こ」
「.......うん」
僕の生命が宿っていない声に戸惑う凛を見ながら玄関に向かう。
自分でも気持ち悪くなるくらいの作り笑いを浮かべている。
僕達はそのまま一言も喋ることなく学校に着いた。
『ガラガラガラ』
教室のドアを開けるといつものように類が窓の外を眺めている。
類の顔はいつもより悲しそうだった。
しばらくすると『キーンコーンカーンコーン』とチャイムがなる。
周りを見渡すと空席がいくつかある。
その空席がもう絶対埋まらないことを僕は知っている。
『ガラガラガラ』
副担任が入ってくる。
「今日も寒いな。あれ?霞はどうした?連絡入ってないぞ」
誰も反応しない。
「戒斗、お前知らないか?」
「.......」
「おい、戒斗」
「.......あっすいません。知らないです」
「そうか.......」
僕は霞のことよりも父親のことをずっと考えていた。
無愛想な父親だったが今まで育ててきてくれた人。
僕の唯一の家族。
その人がこの事件と何か関係を持っていると考えると恐ろしい。
そんなことを考えていると頬に1発のビンタがとんでくる。
「痛った!」
「いい加減こっちの話しを聞きなさいよ」
僕は時計を急いで確認すると、もう朝のホームルームはとっくに終わってる時間だった。
「あぁごめん。それで何?」
「あんたのことよ!朝から何考えてるの?」
「後で話すよ」
「絶対だからね」
凛は怒っていたが僕の言葉を聞くと少し嬉しそうにしてその場を去っていった。




