第32話 電話
朝日が窓の隙間から入ってきている。
目に涙が浮かんでいるせいで朝日がより一層キラキラして見える。
とても気持ちのいい朝だ。
時計の針は6時を指している。
僕は顔を洗うために洗面台向う。
普段住み慣れていないせいか少し迷う。
凛の家の部屋には至る所にダンボールが積まれている。
不思議に思いながらも朝の寝ぼけた頭ではそれ以上考えることは出来なかった。
少し迷いながらも洗面台に着く。
鏡で顔を確認すると、相変わらず酷い寝癖で顔も酷いことになっていた。
『ジャー ピシャピシャ』
冬の水道水はとてもつもなく冷たい。
おかげで目は覚めた。
僕はそのままの足で台所に向かう。
冷蔵庫を開けて食材を取り出す。
「今日はベーコンエッグと食パンでいいか」
そんな独り言を呟きながら朝食を作り始める。
すると凛が起きてくる。
「.......おはよう」
「おはよう」
そのまま凛は洗面台に行ってしまった。
凛が顔を洗い終わる頃に朝食が作り終わる。
「凛、出来てるぞ」
「ありがとう」
何気ない朝食を済ませ、お互いに学校に行く準備を始める。
僕は一足先に支度が終わり凛を待っていると、スマホに通知がきていることに気づく。
昨日から何も触っていないので色々な通知がきていた。
その中の1つに父親からのメールがあった。
『まだ友達の家にいるのか?』
そんな内容だった。
とても落ち着いた文だった。
一般的な親ならもっと感情が顕になる文になるはずだ。
しかし、僕の父親の文からはそれが全く感じられなかった。
『うん。返信遅れてゴメン』
だから僕も素っ気ない文を送り返した。
『ブーブー』
僕以外の携帯のバイブ音が聞こえてきた。
僕はその音の源を探す。
『ブーブー』
バイブ音はどんどん大きくなっていく。
(この携帯か.......)
僕は霞の携帯の前に立っていた。
どうやら電話がきているらしい。
画面には【非通知】と表示されている。
僕は今回の事件と関係があると思い、メモとペンを持ち電話に出る。
電話越しからは男の声が聞こえてきた。
その声を聞いた途端、僕は携帯を床に落とす。
『ゴンッ』
音が部屋に響く。
その声は決して霞の携帯にはかかってくるはずのない僕の父親の声だった。




