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日常の代償  作者: デスモスチルス大佐
崩壊
18/49

第17話 親友

 翌日、いつものように1人で朝ごはんを済ませ学校に向かう。

 あんな事件があった翌日にも関わらず、学校から休校の連絡はこなかった。


 いつもと変わらない道を自転車で走り続ける。

 いつもより気温が低いのか、手が凍てつく。そしていつもより吐く息の白さが濃い気がした。


 家を出て15、20分位走ったところで学校に着く。

 その日はあの日よりも遅く出たので、道には僕以外の自転車通学生も走っている。

 正門を通り、警備員のおじさんに軽く会釈をする。


「はい、おはよう」


 僕の軽い挨拶におじさんは丁寧に挨拶してくれた。

 

 階段を登り教室に向かう。階段を登る音は人が多くいるせいかあの時よりも響かない。

 教室の前に着くとあの時の記憶が蘇る。


 少し緊張しながらドアを開けると、僕は驚いた。

 事件翌日とは思えないほど教室は綺麗だった。血なまぐささも全く感じない。

 その綺麗さに驚いていると、後ろから頭を叩かれる。


「おっはよっ」


 今日も彼女の笑顔はとても可愛かった。

 しかし彼女は僕以外の誰にも挨拶をしないことに少し疑問を感じた。


「あ、おはよう」


 僕も遅れながら挨拶をし、自分の席に向かう。

 その時、教室にいるクラスメイト全員が僕を見ているような気がした。


 自分の席についた時、いつもの景色と少し違った。

 

 ーー何かが足りない


 足りないものの正体はすぐに分かった。いつも窓の外を眺めている類がいなかった。

 隣の凛の方を見てみると、凛も不思議そうな顔をしていた。

 

 すると『ガラガラガラ』と教室のドアが開く音が聞こえる。

 凛と僕は二人揃ってドアの方を見る。

 入ってきたのは霞だった。


 少し残念そうな凛を横目に、僕は霞の所に向かう。

 末那雅が殺された日のことを謝りたかった。


「霞、ゴメン」


「.......」


 返事が返ってこない。

 頭を上げ霞の方を見ると、もうそこには霞はいなかった。

 急に吹いている風が冷たくなる。まるで僕の心を冷やすように.......


 トボトボと重い足取りで自分の席に戻ると、凛が笑いを堪えていた。しかしすぐに吹き出してしまった。


「.......なんで笑ってんだよ」


「アハハハッ、あんた達面白すぎ。1人は頑固でもう1人は素直すぎよ」


 ゲラゲラと笑っている凛を見ていたら、落ち込んでる自分が馬鹿らしく思えてきた。


「あんた達の友情はそう簡単に壊れないでしょ?それが親友ってもんよ」


 凛は笑いながら教えてくれた。

 しかし僕は不安だった。霞が僕のことをどう思っているのかではなく、僕が霞を本当に親友だと思っているのかが不安だった。


『パチンッ』


 突然ビンタが飛んでくる。


「.......え?」


 突然のことで拍子抜けする。


「しっかりしなさい。あんたはあんたのやることがあんの。今は霞君との仲を心配をしてる暇なんてない、自分の心配をしなさい」


 凛は僕の心を読んだかのように、僕の今の気持ちを正確に当てていた。

 凛の言葉とビンタで我に返る。


「そうだよね」


 無理にでも笑う。口角を少しでも上げれるように努力する。


すると『ガラガラガラ』とドアが開き、類が入ってきた。

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