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日常の代償  作者: デスモスチルス大佐
崩壊
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第16話 作戦会議

 あの日起こった出来事を凛に覚えてる限り話した。


「辛いことを思い出させてゴメンね。でも、これで少し真実に近づけたかも」

 

 彼女は僕の気を少しでも明るくしようと笑顔で言ってくる。

 

「ごめん。これ以上のことが僕も記憶にないんだ.......」


「いや、大丈夫だよ。私としてもいい収穫だったし」


 なぜ僕の過去と今回の事件が繋がるのかが理解できていない僕を1人に、凛は何かを考え始めた。


 僕の母親が死んだことと今回の事件がどのように繋がるのか、僕の脳内では処理できない。

 しかし彼女は「真実に近づけたかも」という発言をした。その真相も彼女のみ知ることである。

 その時初めて彼女の笑顔に恐怖を感じた。


「話しは変わるんだけど、これからどうする?」


 考えがまとまったのか、凛が突然尋ねてくる。


「そうだなぁ」


 さっきから考えても何も浮かばない。実際問題これから何をして良いのかが分からなかった。

 僕がなぜここまで突き動かされているのかも自分では分かってはいない。

 いつの間にか窓から入る光の量が少し減っていることに気づく。もう既に4時間以上は経過している。


「あーーもうめんどくさい。このままやっても拉致があかないから家に突撃しよう」


 机を叩くのと同時に凛は突拍子もない提案をする。

 僕の頭はただでさえ混乱していたのに、更に混乱する。

 僕が悩んでいるのを見て、更に凛は追い打ちをかける。


「何変な顔してるの?男の子でしょ?ボサッとしない」


「男の子でしょ?」という発言に少し苛立ちを覚えた。

 しかし突撃案以外の案が思い浮かばなかった。


「まぁ、しょうがない。類の家に行くか」


「よし。じゃあ決まり」


 その時見せた笑顔は今までの笑顔とはまた違い、とても心強かった。


 僕はカレンダーを指さす。その日は木曜日を示している。


「なんでその日なの?出来るなら早めに行っちゃいたいじゃない」


凛は不思議そうな顔をしている。


「これを見て」


 僕はバックの中から霞が調べてくれたファイルを取り出し、机に広げる。


「類は毎週木曜日はスーパーによるから家に帰るのは遅いんだ」


 1週間に1度類がスーパーに行く日が木曜日だったのだ。

 凛はそのファイルを眺めながら、感心していた。

 僕はそれを見ながらコップに残ったお茶を飲み干す。喉に潤いが戻る。


「ねぇ、霞も誘っちゃ駄目かな?」


 その言葉を聞いた途端、凛の顔から笑顔がなくなる。


「それはダメ。君は霞君の人生を保証できるの?これから私たちは殺人鬼と戦わなきゃいけないの」


 ーー確かにそうだ


 僕は自分の軽率な発言を悔やむ。

 僕の表情を見てから凛は、またさっきまでの笑顔に戻る。


「今日はもう遅いし、詳しいことは明日話しましょう」


 ふと窓の外を見ると日が落ちかけていた。夜空に少し光るオレンジ色がとても美しい。


「せっかくだからご飯食べてって」


 凛からの提案に顔が緩む。

 僕は少しでもカッコよく見せようと、表情の緩みを無理矢理抑える。


「ありがとう」


 凜との夕食はとても楽しかった。

 そこにはいつもとは少し違う日常が映し出されている。

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