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日常の代償  作者: デスモスチルス大佐
崩壊
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第14話 約束

 家に帰る前に凛から住所の書いてある紙を渡された。


「今日の午前10時、私の家に来て。これ、住所だから」


 書いてある住所は家からそう遠くない場所にあったので、歩いていくことにした。


 午前9時40分頃、僕は家を出る。歩いて15、20分位で凛の家に着いた。


 結構古めの建物だと、外見を見ただけでわかった。

『ピンポン』とインターホンを鳴らし、凛を待つ。

『ガチャっ』という音とともに、凛の可愛らしい顔がドアの隙間からひょこっと顔を出す。


「どうぞ、あがって」


 僕の顔を確認しながら言ってきた。

 僕は天使のような笑顔に見とれる。


「おじゃまします」


 僕は凛の家にあがらせてもらった。

 家の中は、外見からのイメージとほぼ一致していて、古い感じがするが、どこか安心感のある内装だった。


 凛の部屋は2階にあるらしく案内される。

 女の子の家にあがってことがなかったので、内心ドキドキしながら凛についていく。


「ここが私の部屋。恥ずかしいからあんまジロジロ見ないでよね」


 そう言いながら、凛が部屋のドアを開ける。

 最後に何かボソボソッと、言った気がしたがよく聞き取れなかった。


 部屋の中に入ると、部屋の中央にはテーブルが1つあり座布団が2枚敷かれていた。

 周りは本棚で囲まれていて、その中には様々な種類の本が並べられていて、漫画は一切並べられていなかった。

 

 凛の部屋を観察していると凛が顔を赤くしながら、


「あんま見ないでって言ったよね」


 ちょっと恥ずかしそうに言う凛は、とても可愛かった。


 ーーあんま見ないであげようと


僕は敷かれていた座布団に座る。


「今朝の件だよな?」


「そう」


 凛は僕の向かい側にある座布団に座りながら答えた。

 そして、僕に今朝見せたノートを渡す。

 いつ僕の手から取ったのだろうかと、疑問を持ちつつノートの中身を見る。


 そこには身長、体重、住所など様々な情報が事細かく記されている。


 僕は自分だけの世界に入り、そのノートの隅々までを見る。

 一通り見終わる。そして疑問に思っていたことを聞いてみた。


「今朝見せてくれたあの拳銃はなに?」


「詳しくは言えない。でも類君と関わるならこれくらいの覚悟はないと」


 そう答えながら、懐からまた拳銃を取り出した。


 ーーそりゃそうだよな


 用意してくれたらお茶を1口飲む。紅茶は基本的には嫌いだが、凛が出してくれた紅茶はすんなり飲めた。

 僕が一服したのを見計らっていたのか、不意に、


「今日呼んだのは他でもない。私と組まない?もちろん霞君には内緒で」


数秒間、沈黙が訪れる。



 その数秒の間に色々なことを考えた。霞を裏切りたくはなかった。

 しかし凛と手を組めば事件解決に大きく繋がる気がした。


「分かった」


「じゃあ決まりね。それと、今からあなたの過去のことについて聞きたいことがあるの」


 僕は唾を飲み込む。


『ゴクリ』


 飲み込んだ音が凛に聞こえたか不安になる。

 【過去】という単語を聞くだけで嫌な記憶が蘇る。

 今1番聞かれたくない事だ。


「.......」


「お願い。戒斗の過去が大きく事件と関係しているのかもしれないの。だから.......」


 ーー凛には情報貰ってばっかりだもんな


 僕は自分の過去を話す覚悟を決める。他人に話すのは初めてだ。

 

「分かった」


「本当?ありがとう」


 凛はペンとメモ用紙を用意した。

 一気に緊張が走る。神経がより敏感になっているのか、いつもより時計の針が刻む音や、外から聞こえる車や人の声がより大きく聞こえる。


 僕は大きな深呼吸を1つする。

 そして話し始めた。

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