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日常の代償  作者: デスモスチルス大佐
崩壊
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第12話 照屋凛


『ピピピピピピッ』


 目覚まし時計の音がなり目が覚める。

 その日も、1人での朝食を済ませ学校に行く。昨日は吐いたり、何も食べていなかったせいでいつもより多くパンを食べた。


 あまりにも早かったのか、駐輪場には僕の自転車以外は見当たらない。

 早く着いて損は無いと、思いながら教室に向かう。

 静まり返った学校は、夜でもないのに不気味さを漂わせている。


 僕は1年6組の教室がある4階へ向かう。


『コツン、コツン』


 階段を登る音が周りに響く。

 階段を登りきり、教室に向かう。


 教室の前に着くと、嫌な予感がした。

 末那雅の生首と似たような臭いがする。


『ドクドクドクドク』


 心音も徐々に速度を上げていく。

 ドア越しでも臭う血なまぐささに怯えながらも、ゆっくりと1年6組の教室のドアを開ける。


『ガラガラガラ』


 ドアを開く音が教室に響く。

 そっと中に入ると、血なまぐささがより強く感じられた。


「うっ、、おぇぇ」


 朝食べたものを吐き出しそうになる程の臭さだった。

 少し涙ぐんだ目で辺りを見渡す。

 

 するとそこには机一つ一つに松垣の臓器や四肢など並べられていた。更に追い討ちをかけるように太陽がスポットライトのように光を当てていた。


 あまりにも惨すぎる光景を目の当たりにし、朝食べたものが逆流する。


「おぇぇぇぇぇ」


 しかし吐きながら心の片隅では『美しい』という感情が芽生えていた。


 吐き気が収まる。目の前にはやはり松垣の臓器や四肢が並べられている。

 まだ虫はまだ湧いていなかった。

 

 僕はなぜかその光景に見とれてしまい、その場で固まる。


 すると背後から顔を手で隠される。

 その手はとても暖かく、僕の顔を包み込んでいくような感じがした。


「だーれだ?」


 とても優しい声が聞こえる。真っ暗な道を照らしてくれる街灯のような感じがした。

 重要な情報収集源の一つである視覚を失っていても誰か分かった。


「照屋凛……さん?」


「正解!!」


 正解すると手を外してくれた。

 凛はとてもいい笑顔をしていた。太陽で照らされたその笑顔はすごく可愛かった。

 


 その時初めて、類のことや、松垣の死体のことなど目の前で起こっていることやずっと考えてきたことなど、自分の脳の中にある全てを忘れ、彼女の笑顔に夢中になっている自分がいた。

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