アヒージョ
最近、アヒージョという食べ物にハマっているようなところがある。自分に。そういう部分があるような気がする。その証拠に買い物とかに行った際、気が付くと、
「あ、アヒージョ買ってる」
ってなってる。アヒージョ風っていうまあ、主に冷凍食品とか、出来合いのパックの温めたらできる奴とか、そういう代物ではあるものの、週に二回も三回も食べていることもあったりして、
「これ、ハマってるのか?」
って、お酒を飲みながら思ったりしている。
あまりよくない流れだとは自覚している。なぜなら、ハマるという事はつまり、
「作れる?自分で作れるかなこれ」
っていう流れを生む場合があるからだ。小説とかを書いたりしている人ならわかるだろう。面白い本を読んで感動して、自分でもこんな面白い話を書いてみようってやってみるのがどれほど大変か。そして、どんだけやっても絶対に感銘を受けたものと同じ質のものはできない。できるものは違うものだ。
アヒージョを食べて感動した。わかる。おいしいよ。うめえ、これうめえってなるよ。でも、それはあくまでも一時の感情だ。一回食べた、おいしかった。出来心で買って食べた。とてもおいしかった。それでいいじゃないか。自分でも作ってみようなんて思う必要はないじゃないか。
でも気が付くとグーグルで『アヒージョ 作り方』とか調べたりしていていた。スキレットの事とかをアマゾンで調べていた。スキレットって入れて誤変換で、好きレットとかってなって、
「察してよ!」
ってパソコンに向かって言ったりしていた。叫ぶって。パソコンに叫ぶって危ない。何だこいつ感が半端ない。もう一心不乱か私は?もう無我夢中なのか?既にか?
「これいいのに、IHに対応してないなあ」
とか、言ってるぞお前。おい。もう買う気か?ほんとか?やるのか?マジでか?
「海鮮のやつもいいし、鶏肉とブロッコリーのやつもいいなあ。自分で作ったらたくさん食べれるなあ」
クックパットで調べているぞ。マジかこいつ。ブックマークしているぞ。おいおい。
アヒージョに憑りつかれているのか?
「アヒージョって小さいニンニクっていう意味なんだあ」
気が付くとアヒージョの意味とか調べていた。うわああー!なんだこいつぅぅう!知らねえことに出会ったらすぐウィキとかコトバンクで調べるやつじゃねえか!気持ちわりいいいいいい!
そうして次の日アマゾンからスキレットが届いた。次の日って、お急ぎ便で発注したのか?アマゾンとか配送業者の迷惑を考えろ!
それから業務スーパーに行ってエキストラバージンオリーブオイルとか、シーフードミックスとか鶏肉とかブロッコリーとかニンニクとか買ってきた。違いも分からねえくせにエキストラバージンオリーブオイルとか買ってるのがすごく気持ち悪かった。どういう顔でそれレジに出したの?って思った。あほみたいな顔で出したに違いない。
そんで急いで家に帰り、スキレットの封を破いてクックパットでレシピを見ながらアヒージョを作った。
「見栄えなんてどうでもいい!」
と言いながら、ちょっと映える感じに盛り付けててそれもまた気持ち悪い。
そんで、
「いただきーっす」
出来たそれを食べてみた。
「・・・」
ど、どう?
「アヒイイイイイイイ!」
おいしかった。アヒイイイイ!ってなった。アへ顔ダブルピースになった。おいしすぎた。何かの間違いかと思って二口目も行ったが、
「アヒイイイイイイイイイ!」
やっぱりアヒイイイイイってなった。
テンションが上がって、その顔を自撮りしてそれをインスタにあげようとさえ思った。
アヒージョのアヒーってこれの事だったんだな。小さいニンニクっていうのは後付けなんだな。食べたらアヒーってなるからアヒージョなんだな。そう確信した。
ちなみに買ったスキレットはコンボのやつで、網もついていて、別売りのスモークチップを買ったら、スモーク料理も出来るらしい。
コンボだからいざという時両手に持って戦える。
両手に持って鏡の前に立ってみた。とても勇ましく見えるぞ。
これも写真に撮ってインスタにあげよう。そう思った。