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緋華不知は語らない  作者: 紅樹
CASE1:MOMOチャレンジ
5/5

5

 「言ってた……けど、このアプリでってこと?いくらなんでも……」


 ない、と続けようとしたが美沙の様子を見ると本気で怯えているようだ。けれど私にはどう考えても無関係としか思えない。そう思いたいだけなのかもしれないけど。

 だが、美沙が言っていることが本当だったとしたら、勝手にアプリが別の物に更新されたことになる。

 いや、昨日の内容の段階でかなり怪しいアプリだったから、それ自体はあるのかも知れない。ようはウイルスの一種だった、というオチ。

 けれど、どうしても解らない。何故この子はアプリをアンインストールしていないのか……本気で信じてるのなら、なおさら疑問だ。


 「……アンインストール、しないんじゃなくてできなかったんだよ。ううん、違うな。正確にはしても無駄だったんだよ」


 「無駄ってどういうこと?」


 「アンインストールしてもさ、気がついたらまた元通りに戻ってるんだよ」


 流石にゾクリと寒気が走る。

 いくらオカルトを信じていないとしても、それが所謂私の“普通”じゃないことくらい、解る。

 それに実際に怪我までしているのに、こんな嘘はつかないだろう。そもそもつく意味もない。

 ということは、実際にやってみた結果ということで……


 「的場さんは何て言ってたの?というか、なんで美沙にそのアプリを?」


 「さっきも言ったみたいに、お小遣い稼ぎにいいもの見つけたって……」


 ……何か引っかかる。

 この内の集会の時も思ったけど、美沙と的場さんが親しかったとは思えない。

 そんな相手から怪しいアプリを紹介されて、インストールする?

 そうだ、考えれば最初の前提条件からおかしい。確かに美沙は物事をあまり深く考えない。

 直情的な性格だと思う。だからこそ、人の好き嫌いがはっきりしている。

 考えれば考えるほど、引っかかる。彼女は何故、このアプリをインストールしたのだろう?


 「ねぇ、美沙。的場さんとの間に何かあった?」


 「……あぁ、そっか。そう言えばそうだっけ」


 「何が?」


 美沙は少し寂しそうな表情で首を横に振ると、「何でもない」と言ってからふいっと視線を逸らす。


 「大したことじゃないよ。咲との間にかぁ。特になかったと思うけど、なんで?」


 「……いや、別に何となく」


 まさか「そんなに仲良くなかったでしょ?」とは聞けるわけがない。

 というか、仲良くないように思えたというだけで、実際に仲が良くないとは言い切れないわけで。

 まぁ、けれど今はそんなことよりも、現状どうするかだとは思う。それは解ってはいるんだけど、実際私にどうにかできるとも思えないわけで……

 そんなことを考えていると、くすくすと笑い声が聞こえた気がした。

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