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「……何これ?もしかして……」
「違う!私だってこんなもの信じてなかったよ!だから無視したんだよ……でもさ」
そう言って美沙がスマホの画面にすっと指を滑らせて、スクロールする。
現れるのは、再び短い文。
『なお、チャレンジのサポートは一度のみ。今後のチャレンジは自力で行うこと。できなければ、罰を執行する』
チャレンジのサポート……落下チャレンジということは、内容は名前の通りだろう。
そして美沙のこの姿は階段から落下したものによると、言っていた。つまり、この文のサポートとは、そういうことなのだろう。
「……こんなこと言っても信じてもらえないと思うけどさ、誰かに背中突き飛ばされたんだよ。その時、私以外誰も家にいないはずだったのにさ」
そう言う美沙の顔はすっかり青ざめ、カタカタと歯を震わせている。
言葉が見つからない。それが私の正直な感想だ。
元々、私はオカルトが好きではない。だってそんなもの嘘だと分かっているから。
『幽霊の正体、見たり枯れ尾花』というか言葉があるが、結局は怪談やオカルトは勘違いの一言で片づけられる。
今回のことだって、きっとMOMOチャレンジだったか、それを真似た悪趣味なアプリを美沙がダウンロードしてしまい、その文面がたまたま起きてしまったために、誰かに押されたと錯覚してるだけ。
「美沙、落ち着きなって。多分さ」
「分かってる。錯覚、気のせいって言うんでしょう?でもさ、それならどうして……」
美沙がスマホを操作すると、動画が再生される。
それはスマホを手に持ち、階段を降りようとしている美沙の姿。
一段降りる、何も起こらない。二段目を降りる、まだ何もない。そして、三段目に足が降りようとした瞬間、短い悲鳴と共に美沙が階段を転げ落ち、床に頭を叩きつけ血を流す姿だった。
……スマホを握った状態で。
「全部気のせいならさ……何でこんな映像が私のスマホに録画されてるの?それもどうやって?」
美沙の言葉に返す言葉を失う。確かにその通りだ、落下してる最中が落下してる時に持っていたスマホで録画されてる?あり得るわけがない。
なら別のスマホで録画して、動画を転送した?何のために?
実は全部冗談で、私を怖がらせようとしてるだけとか……?そんな手の込んだことするわけがない。
「最初はさ……昨日、奈津美に見せた通りのアプリだったんだよ。でも今日見たらこういう風に変わっててさ……」
「……このアプリ、どうやってダウンロードしたのよ?」
「……聞いたんだよ、的場咲に。お小遣い欲しくないかって……ねぇ、昨日、咲が自殺したって言ってたよね?」