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猫になった私は嫌いですか  作者: 垢音
王子と彼女との出会い篇
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プロローグ

 私はウィルス・ディルラ・バルム、12歳です。


 そう、今日は私の誕生日です。バルム国の姫としての教育を受け、リグート王国の王子との許嫁として迎えられるのです。父様達が成人する15歳になるまでと言う条件の元ですが、婚約者としてそれらの教育を怠るような事はしませんとも。


 何でも第二王子のレント様は、美形と噂でありまた剣と魔法の才にも溢れている天才だとか。そして、これまた噂ではありますが……無類の猫好きと言う可愛らしい一面をお持ちだとか!!!


 これはカルラの出番です。





「カルラ~」

「ニャ、ニャア~~」




 名前を呼べば嬉しそうに私の所に走ってきて飛び付きます。

 白い毛並みに赤い瞳のこの子は、とても嬉しそうに尻尾をフリフリと振ってくれます。

 うん、モフモフ最高、可愛い。

 レント様が猫好きならば、共に遊べますし語らえますよね!!!




「ニュウ?」

「ふふっ、カルラ。レント様に会える日を楽しみにしましょうね~」




 私も猫が好きです。

 カルラを含めて既に10匹は居ます。猫だらけの天国です。モフモフと触り放題……いけない、いけない、ついニマニマと……。




「ニャ、ニャ」




 猫パンチダメです!!!

 もう、すぐにキリッとしろとそう言う事ですよね?




「ニャ、ニャ!!!」




 喜んでいます。そうですか、カルラ……貴方そんなに私とレント様との結婚を望んでいますのね!!!


 これはますますレント様に会える日を楽しみに出来ます。はわ~早く成人して、彼に会いたいです。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 自分の誕生日、お祝いしてくれるお城の皆さん。それにお父様、お母様……とても嬉しくてとても癒されるこの日。


 突然、炎が全てを焼き尽くしました。


 私の目の前で、何もかも……さっきまで微笑んでくれた人達、一緒に遊んでくれた兵士の皆さん。




「ニャア!!!」




 呆然とした私は訳が分からないまま、燃やされ続けるお父様とお母様を見ているだけ。それをカルラが必死に叫ぶ。


 逃げろと言われているように。頭では分かっているのに……体が動かない。涙も出ない……あまりに突然の事に、私は体を震わす事しか出来なかった。




「あら……生き残りかしら?」




 フワリ、と。

 私と足元で泣き続けたカルラの目の前に女性が座ったままの状態で微笑みました。それがとても、とても怖くて……犯人なのかと聞きたいのに、上手く言葉に出来ない。




「可哀想に……その猫ちゃん、貴方を探すのに必死だったみたいよ。よっぽど大切に、大事に育てられたのね。他の子達は死んだけど」

「っ………」

「ニャア!!!」




 私が死んだと言う言葉に反応したのがいけなかった。

 カルラは意地悪を言う女性に向かって飛び掛かる。でも、見えない壁に阻まれてそのまま吹き飛ばされていく。




「カルラ!!!」




 炎の中、熱くてドレスが汚れようとも構わず私はカルラの所へと走り出す。

 弱々しく起き上がり私を見付けると、嬉しそうに尻尾を振ってくれる。……この子は、こんな時にまで私の心配をしてくれるのかと嬉しくて目の前が見えなくなる。




「良いわね、貴方達。……ふふっ、良い事を思い付いた」




 嬉しそうに紡ぎ、空中でダンスをし始める女性に困惑気味に見つめる。カルラをしっかりと抱きかかえ、何処かに出口はないかと周囲を見ていると……足元から黒い魔方陣が現れてきた。




「記念よ………呪いをプレゼント♪」

「えっ、きゃああああああっ!!!!」




 強い光と電撃が体中を走っていく。

 その痛みで思わず叫んでしまう。カルラに苦しそうに叫び中、女性は残酷な事を言い残した。




「貴方とその猫ちゃん、これで一心同体よ?……良かったわね、これでずっと離れられなくなったから」

「ど……いう……」




 その言葉を最後に私は意識を完全に失った。



 その日を境にバルム王国は滅んだ。

 世間では魔女による襲撃だと噂になり、呪われた国として私の国の名は……言われなくなった。

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