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混ざる青色と緑色


 哀しみの青色に染まった場所に、穏やかな緑色が注がれました。


 もう哀しくないよ。

 涙に染まったあの日々は、もう消えてしまったのでしょう。


 そう思ったのに、どうしてでしょう。

 哀しみは哀しみとしてキャンパスは青くあり続け、緑色の下で青色はまだあり続けているのです。

 塗り替えられることなどありませんでした。



 青色だって、せっかくキャンパスを染めたのです。

 消えてしまうのは、些かもったいないという心もありましたが、やはりそれは哀しみなのです。

 哀しみの日々だって、少年にとっては必要なもの、確かに存在したものなのです。



 注がれた緑色は、思っていた以上に、残酷なものでした。

 傷を癒やすどころか、抉るようなものだったのです。


 安らぎの色は哀しみの色に染まり、哀しみは安らぎの色に染まり、色と色とは染め合って色を責め合うのでした。

 傷付け合った色は、お互いを落とし合いました。


 染まって落ちていきました。

 染め合うことは打ち消し合うことで、色の混ざってしまうことは、お互いの色を駄目にしてしまうことと同じでした。

 駄目になってしまうのでした。



 染まり合った色は混ざり合って、濁ってしまっていました。


 いつの間にか、濁ってしまっていました。

 濁りきってしまっていました









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