青色の雫
真っ白のキャンパスに、ぽつりと落ちた色は、青色でした。
哀しい、涙の色です。
泣いてしまって、泣いてしまって、涙が止まらなくなっているのです。
少年はずっと泣き続けているのです。
真っ白だった少年の心は、今や哀しみの青色でした。
「何か悲しいことがあったの?」
そう聞いてくれるお友だちを、待っているかのようでした。
一人で少年は泣いていました。
何色にでもなる真っ白なキャンパスが染まったのは、一番最初は、涙の青色なのでした。哀しい青色なのでした。
少年の心はブルーでいっぱいです。
だれだって、最初は同じキャンパスを、神様から受け取っています。
神様はだれにとっても平等であるからです。
形や大きさは違く見えるけれど、結局は、みんな平等であるのです。
それこそが神様のお導きであるのです。
そのことをどう判断し、どう染色するのかは、受け取ったそれぞれの自由です。
幸せな色を手に取れば良いのに、幸せな色で埋めれば良いのに、不思議なことに、人はだれでも、必ず一度は哀しい色を取るのです。
哀しいのは、少年が一番最初にそれを選んでしまったということでしょうか。
だれも少年の青色を、幸せな青色に変えてくれる人がいなかったこと、でしょうか。
哀しい涙の青色のキャンパス、基盤となって、そこに落ちていました。
無から感情を生み出すことの、非情さを告げるように広がっていました。
どうやら、たっぷり水で薄められた、絵の具を使ったようでした。