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彗星への願い事  作者: 如月ナオト
6/33

委員会

 「今から所属する委員会を決めます。入りたいところで挙手をしてください。被ってしまったらじゃんけんで決めてもらいます」

 委員長である仁の司会で学級会が開かれた。内容は先述した通り所属する委員会を決めるためだ。

 八尋が通っている高校は委員会に必ず入らなければならない。

 「最初に、副委員長になりたい人」

 しかし、誰も挙手しない。

 委員会決めで人気があるのは仕事が楽なところだ。なので、副委員長みたいな一見仕事が大変そうなところは人気がない。

 「次、保健委員になりたい人」

 ここで、八尋は挙手をする。理由は、いたって普通だ。


 じゃんけんで勝てる気がしない、去年もやったから、である。

 「誰もいないね。それじゃあ男子は八尋に決まり。女子はいるかな?

 ここで、八尋に大きな疑問が生まれる。

 (なんで女子も?)

 しかし、さっぱりわからない。


 すると、隣の女子が挙手をした。

 「おっ、柳さんが挙手してくれたけど他にはいないかな?」

 当然誰も挙手をしない。そもそも保健委員は他の委員会よりも仕事が多い。だから、人気のなさはトップクラスだ。

 「それじゃあ、女子は千慧さんで。次に―」

 こうして、スムーズに学級会が進行していった。

 

 「なんで俺が負けるんだよ」

 放課後、八尋の前で恭也が落胆していた。

 恭也はじゃんけんで全敗という快挙を成し遂げてめでたく副委員長になったのだ。

 「ざまぁみろ」

 「それが友にかける言葉か」

 「いやー、始まる前はじゃんけんなんて一回も負けたことがないって自慢してきたくせに本番だと全敗とか・・・やべぇ、笑えて来た」

 「止めてくれ、その発言は取り消すからその記憶を消してくれ」

 「忘れるわけないだろ。こんなに面白いことは滅多にないからな」

 八尋と恭也がのんびり話していると、千慧がやってきた。

 「今日、委員会ある。場所は保健室」

 そう言って千慧は何処かに行ってしまった。

 「嘘だろ、普通委員会はしばらくしてからだろ」

 「はい、ざまぁ」

 八尋は渋々恭也に見送られながら保健室に向かった。


 委員会は大まかにいうと仕事の説明と委員長の任命だけで終わった。内容はアルボースの定期補充、教室の環境調査がメインで後は特に関係なかった。

 委員長はというと、

 「去年もやってくれている橘君が委員長になってくれる?」と養護教諭の人に言われ、周りのみんなが「断るなよ」という空気をかもしだされ、結局八尋が保険委員長をやらされることになった。

 一方、千慧は常に淡々としていてさっさと帰ってしまった。

 正直なことを言うと、八尋は千慧のことをほとんど知らない。

 柳千慧(やなぎちさと)、座席が隣ということもあり、たまに視線に入る。普段は読書をずっとしていて、彼女の喋った姿を見たことがない。

 (まぁ、俺なんかとしゃべりたくないよな)


 八尋もそのまま帰ろうとした時だった。

 「あっ、先輩」

 目の前から愛唯が笑顔で走ってきた。

 (あっ、愛唯ちゃんだ。・・・ってアルボース持ちながら走ってきてるのかよ。やばい、このパターンは)

 刹那、愛唯は派手に転んだ。事前に察知していた八尋だったが、中のアルボースが思ってた以上に飛んできて、アルボースが体にかかってしまった。だが、顔にはかかっていない。これを不幸中の幸いと言っていいのかと一瞬迷った。

 「はわわ、ごめんなさい。えとえと、どうすれば」

 「保健室にシャワーがあるから頼んで使わせてもらうよ」

 八尋は重い足取りで保健室に入っていった。


 体中にかかってしまったアルボースをきれいさっぱり落とした八尋は大切なことに気づく。

 (やばい、タオルがない)

 申し訳ないと思いながらも、濡れた体でシャワー室から出た時、保健室のドアが開いた。

 「あっ」

 「あっ」

 そこにいたのは愛唯で、数秒見つめあった。

 そして、二人同時に大きな悲鳴をあげた。


 

 

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