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本当の力(2)
──────え?
「つまり、俺は今まで「不幸」を盗ってたのか?!」
「おそらくはそうよ。そして、ここからが本題。彼女の不幸は今日死ぬことよ。」
「だな。」
「つまり、カケルが彼女の不幸のチカラを盗れば運命さえねじ曲げれると思うの。」
「そっか。だったらやってる!」
(やっとこの力が役に立つんだ。絶対に救ってみせる!)
腰を下げ自分の右手に集中して、彼女の中のドス黒いものを自分の手に引き込むように。
初めて、人の役に立つ────。
それが例えこの身を滅ぼす力が振りかかろうとも、誰かを救えるのならそれでいい────。
──────
目を開ける。
木目の天井。
見知らぬ部屋に、ただ1人。いや、横にスミレが居てくれてる。
アレから記憶がないが、おそらく俺は怪我をしたのだろう。
体の自由が効かないからかなり重傷のはずだ。
シーツが濡れて、彼女の目尻はまだ赤くそこまで心配してくれたんだと思う反面。心配をさせてわるかったと思う。
「ありがとう。」
きっと寝ていて気づかないだろけど。
起きたらまた言おう。
今は少しでも長くこの寝顔を楽しもう。