表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/4

第二話 ゲームも友人あってこそ

一人で遊ぶようなゲームから、大勢人を集めて遊ぶようなゲームまで、色々なゲームがありますが、VRはこの先どうなっていくんでしょうね。


よりリアルな分人間関係を欲する人が増えるのか、はたまた関係がよりリアル寄りの面倒なものになってソロ志向が増えるのか、今のところ結末は神のみぞ知る、ですね。

私が出現した場所は、いかにも中世ヨーロッパ風に整えられた石造りの町の中央。 この町は、始まりの街『パーチュア』、このゲームで唯一何もモンスターが出現しない区画。 フィールドへは大門にあるテレポーターを使うらしい。


「さて、待ち合わせの時間はっと……」


まだ2時間もある。 ちなみに、このゲーム内の昼夜は現実と6時間ずらされていて、ちょうど深夜辺りに夕方になる仕様になっている。 今はゲーム内では午前11時。 メニューを開くと現実の時刻とゲーム内の時刻が並べて表示される。 現実の用事に遅れたりしないよう、エンカウント中を除いてどこでも起動できるアラーム機能もある。 至れり尽くせりな気もするけど、このくらいはないと困るか。


「ヘイお嬢ちゃん、お一人様かい?」

「私?」

「キャラ作ったばっかりなんだろ? よかったら俺らと一狩り行こうぜ」


なんかチャラチャラした男が二人。 まあいっか、今はみんな初心者なんだし、ステータスが同じなら二人相手でも自衛くらいはできる。 それより今は、早く遊びたい。


「じゃあ、この辺の狩場で一番敵が強い所に連れて行って」

「聞いた話じゃ、西がヤバいって言ってたっけか? でもよ嬢ちゃん、いきなりは厳しいんじゃねえか?」

「そうだぜ、まだチュートのゴブリンしか倒してねえのにあそこは無茶だ」

「無茶かどうかは私が決める、と言いたいところだけど、案内を頼む態度じゃないか、ごめんなさい」

「お、おう。 まあ、見に行ってみるだけならいいか?」

「噂によると、今日中に狩れるような奴は出ねえって言われてるレベルだから、見たらすぐ戻って別の狩場に行こうぜ」


上から目線だった二人組が少しひるんだ。 ……何で?


「ありがとう。 えっと……、名前が分からないとパーティー申請できないんだけど」

「俺はゴメス」

「俺はバトスだ」

「なんだか兄弟みたい」

「兄弟じゃあねえが、似てるとは言われるぜ」

「馬が合うってなあ俺らみたいなののことを言うんだろうさ」

「ありがと。 私はシー、よろしくね」


≪ゴメス がパーティーに加入しました≫

≪バトス がパーティーに加入しました≫


「じゃあ行きましょ?」

「「お、おう」」


何でか時々返事がぎこちないけど、大丈夫かな? この二人組。


◇ ◇ ◇


テレポーター内で行き先『第一刻第一層西区域』にやってきた。 このゲームでは、『刻』の中にいくつかの『層』があり、層の地形によってはこうやって複数の区域に転移できたり、スタート地点が固定されていたりするそうだ。


「帰るには、最初からアイテムボックスに入ってる帰還石ってのを使うんだが、こいつは10回まで連続で使える。 減った分は街にいる魔石商人に金を払うと入れなおしてくれるんだと」

「昼からインしてた奴らが検証したけど、高くはないからガンガン使えって言ってたっけなあ」


確かにアイテムボックスに帰還石なるアイテムが入ってる。 売却、廃棄、譲渡、預入不可のアイテムで、常に持ってないといけないみたい。


なんとなくそれを掌の上に出現させて転がしていると、近くの草むらから気配を感じた。


「?」

「どうした?」

「何かいる。 そこの草むらの中」

「別におかしくは見えねえけどなあ」

「いいから構えて」

「「お、おっす」」


そういえば、今の今まで気づいてなかったけど、私武器がアイテムボックスに入ったままだ。


なんとなく人に見せるのは恥ずかしい二刀流を隠すため、私は背中に一本だけ直剣を出現させた。


△ △ △

武器名:直剣

カテゴリー:片手剣

サイズ:標準

重量:100pt

切れ味:100pt

突撃適正:C

斬撃適正:C

魔力伝導:C

武器説明:標準的な直剣であり、平均的な性能を備える。

▽ ▽ ▽


武器ステータスを読みながら引き抜くと、確かにさっきより少し重い。 でも、このくらいの方が武器を握っている実感はある。


「あれ? 嬢ちゃん盾は?」


どうやら片手剣には盾がついてくるらしい。


「盾は置いて来たわ、この戦いにはついていけそうもないから」


適当なネタを返して、単なるプレイスタイルだとアピールする。


「そうかい」


私の方が前にいるから顔は見えないけど、少し笑うような響きがあったから多分分かってくれた。


「キー!」


こちらの臨戦態勢にヤケクソな感じで飛び出してきたのは、なにやらゴブリンの色違いみたいなやつ。 黒い。


「速い!」

「嬢ちゃん危ねえ!」


そこまで速くもないと思うけど。 しっかり狙って、この角度だと首は当てづらいから頭に、


「そい!」


一撃でしっかり沈める。


「思ったより大したことなかったか。 あれで堅かったら大変だけど」

「す、すげえな」

「盾なし片手剣スタイルなんて多分まだそんなにいねえだろうし、しかもそれほどのPS、有名になるぞ、あんた」

「ちょっと武術の心得があるだけ。 練習すれば誰だってできる」

「「いやいやいや」」

「えぇ……」


そんなに勢いよく否定しなくても……。 さて、ここには噂のせいで人が来なさそうだし、時間までここで稼ごうかな。


「私はしばらくここで狩るけど、二人はどうする?」

「正直俺らじゃついてける気がしねえんだが」

「あれなら3匹まではどうにかできると思う」

「でもそれじゃあ嬢ちゃんに旨味がねえぜ」

「ここを紹介してくれたお礼。 あと、このゲームを始めて最初に話したのがあなたたちだから」


それでも渋るから、『つべこべ言わない!』と黙らせてついてこさせることにした。 私はこんな風でいて、あまり一人でいるのに慣れていない。 家は道場でいつも人がいたし、相応に騒がしいから、一人静かに何かをするのは性に合わない。 だから、さっき会ったばかりの二人には悪いけど、私が集中するために付き合ってもらう。


「そこにいる。 さっきより気配が大きい感じだから、複数か別の種類かだと思う」

「よし、俺らもせめて邪魔にならねえように戦うぞ、バトス!」

「おうよ、いきなり寄生でレベリングなんて恰好つかねえからな!」


二人は両手剣使いか。 さっきみたいな敵が複数だと相性が悪そう。


戦闘準備が整った私たちの緊張感を無視して、ゆったりと草むらから現れたのは、


「あれ? 人?」

「そっちこそ何でこんなとこに……、なんだお前か」

「ギー君?」

「ここではアダムだ。 お前は?」

「えっと、シー」


この後合流する予定だったギー君。


「あの、嬢ちゃん?」

「知り合いかい?」

「いわゆるリアフレってやつかな?」

「そうだな。 しかし、俺ら以外でここに狩りができる奴なんているとはな」

「「俺らはいろいろあってついて来ただけっす」」

「ここを案内してもらったお礼についてきてもらってる」

「お前そういえば一人でいると調子でないタイプだっけか」

「静かなのが苦手なだけですー」


適当に話をした後は、アダムとゴメスバトスがお互いに自己紹介をして、時間までまた解散しようとしたら、


「この辺は結構探索したが、どうやら初心者殺しの罠的なフィールドらしいぞ。 経験値以外には特に何もなさそうだ」


と言われた。


「じゃあその経験値が欲しいからしばらくここ残るね。 まだこの辺のモンスは網羅してないけど、さっき見かけたのと同じくらいの強さなら大抵大丈夫だろうし」


と返して、私たちは次の獲物を探して進む。 とりあえず、ここで上げられるだけ上げてからゆっくりゲームを楽しもう。 私はキツいゲームは嫌いじゃないけど、ヴァーチャルでも自分が死ぬのは嫌だから。


◇ ◇ ◇


そして、しばらくレベリングを続けた結果がこちら。


△ △ △

プレイヤーネーム:シー

レベル:8

HP:232/232

MP:85/85

体力:10

筋力:16

敏捷:15

精神:10

魔力:15


スキル

・ギフト:見切の双剣士

・器用人Lv.1(剣技を使わない攻撃のクリティカル率アップ)

・形勢逆転【攻】Lv.1(敵レベルが味方を上回る場合攻撃力アップ)

▽ ▽ ▽


初期値はオール10。 で、開始時点のレベル1の分と、そのあとレベルが上がる毎にステータスポイント2ポイントずつを自由に割り振る。 HPとMPはステータス依存らしく微妙に伸びてる。 このまま三極にするかある程度バランスとって伸ばすかはまだ決めてないけど、それは皆に聞いたりネットの評判を見ればそのうち決まる。


ちなみに、剣技と魔法の一覧は別窓だけど、まだ何も載ってない。


「さて、リアフレと待ち合わせてるから私は戻るけど、二人はどうする?」


最初はビビってた二人も、言うほど弱くもなくて助かった。 ちゃんと敵の動きを見て対応できるようになってたし。


「こいつらの動きは分かってきたが、二人じゃ連戦がキツい。 移動するぜ」

「そう。 ……フレンドどうする?」

「い、いいのか?」

「声かけたのはナンパの類だったんだろうけど、変な気を起こすわけでもないしちゃんと戦ってくれたから。 私多分そんなにフレ増えないから枠とか気にする必要ないし」


というよりフレンドが増えそうになくて、リアフレ三人だけが入ったフレンド欄を見るのが嫌だったんだけど、それは秘密にしておこう。


「ありがとよ。 呼んでくれればいつでもはせ参じるぜ」

「ああ。 嬢ちゃんをサポートできるくらい強くなってやるぜ」

「ありがと。 それじゃあね」


さてと、顔合わせとフレ登録したらまた狩りかなー。 ちょっと一人でザカザカやりましょうかね。


「っと、早くしないと遅刻だ」

スキルですが、戦闘経験で自動取得します。 しかし不要なスキルを習得した場合は拠点にある『道場』という設備でスキルを破棄し、経験値の一部を他の収得済みスキルに分配することができます。 スキルレベリング目的でやるには効率が非常に悪く、単純にスキル廃棄用のシステムとなっています。

また、この『道場』で、習得条件を満たしている剣技の試し打ちと習得、破棄もできます。

魔法は、冒頭の会話に出てきた『魔石商人』から規定の魔石を購入、使用することで登録されます。 破棄するには専用の魔石を別途購入する必要があります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ