Episode79 "廃れた都市"
「貴方、いい加減口を開いたらどうなの?」
少年を縄で縛り上げ尋問を続けて早一時間、少年は何も話さなかった。
「時間の無駄ですね。早急にこの者を片付けて旅路へと戻りましょう。都市に誰もいないとは言え、食べ物などの類はまだ残っているでしょうし。」
カライスが少年を覚めた目で見下すと団へとそう言葉を向けた。
「癪だけど....そこのカラス.....同じ......こいつ...何も話さない.....先...急ごう....もしかしたらジョン.....待ってる.....」
レシは指なりを鳴らし殺戮の為の術式を編んでいた。
「まぁ、待て。何も殺す事はない。何も話さないなら逃せばいい。」
簡潔にそう言うバルトロメウス。
「貴方は甘いのね、そんな事では団長の器に成りえない。この子を逃がし仮に仲間がいたとき、私達は報復されわ。それを事前に塞ぐ事で危険を一つ消せる事が出来る。」
リディアはバルトロメウスに冷たく言い放つ。
「はぁ.......おまえ、いい加減に話をしてくれ。聞いていただろ、このままではお前を殺す事になる。この都市に何があったか教えてくれ。」
バルトロメウスはしゃがみ少年へと視線を合わせる。少年は何処か迷う表情をすると覚悟を決めたのか口を開いた。
「神々の争い.........」
少年はそう一言残すと涙を流し始めた。
(神々の争い....だと)
バルトロメウスは監視塔から見える都市を見渡すと確かに大規模な戦闘が行われた形跡がある事を確認する。プリギュアのニュンペー襲来時程の被害は見えないが確かに規模は神同士が戦闘をしたものだろう。
「........一人は戦神アレースなのは分かるわ。そしてもう一人は.....何処の神かしら?」
リディアが興味深く聞く。おそらく彼女の師にあたる人物ではないかと考えているのだろう。
「........城塞都市の守護女神」
少年は何処か悲しくその名を口にした。
時は少しさかのぼり、バルトロメウス一団がまだ広大な砂漠を歩いていた頃、砂漠の中に置いても繁栄する都市テッサリアはいつもと同じ様に日常が送られていた。
「アテーナ様、よろしいのですか?道行く先々でこのように立ち止まっていては北の最果てには辿り着けませんよ?」
都市へと入る検問に置いて馬車の手綱を引くペルセウスはアテーナへとそう進言する。
「もぅ!大丈夫だよ!すぐに行ったら君との二人旅がすぐに終わっちゃうだろ!察っしろにぶちん!」
ぷんぷんと頬を膨らませるアテーナ。ペルセウスは静かにため息をつき優しく微笑む。
「馬車に怪しい物がないか調べさせて貰う。」
「その必要はないよ。」
検問をする警備兵が馬車の中へと足を踏み入れようとするが、アテーナがそれを静止させる。
「貴様、何を言っ「女神であるボクに許可は必要かい?何処かの神がこの都市を領土としているならボクも許可を貰わなければいけないけど、此処は人だけで構成された人の都市だ。オリュンポスの一員であるアテーナに検問などと言う人の規則は適用されない。」
「オリュンポスの神だと?ふ、何をバカな。」
「聞き分けのない人間はボクは嫌いだよ。」
アテーナは神気をその検問の警備兵へと向け膝まずかせる。
「はぁ.....はぁ......」
警備兵の男は大量の汗を流し怯えた表情でアテーナを見上げる。アテーナの目は冷たく今すぐにでも自分の事を殺せるぞと目が語っていた。
「どうした!....まさか、貴様ら「待て!.....この方はアテーナ様だ....無礼を働くな.....」
検問の男は同僚に事を話し都市への入場を許可する。
「これぞ、権力!」
わははっと笑うアテーナ。ペルセウスは苦笑いでその台詞を受け流しこれからこの都市にて何をするのかを聞くことにした。
「アテーナ様、テッサリアには何かご用事でもあるのでしょうか?」
「ん?唯の寄り道だよ。ほら、あの空のくぼみを見てごらん。ヘーラがボクをずっーと監視してるんだ。そろそろボクに行動を起こす筈かもね?だからこそ、僕達は休息が必要なんだ。あの女は執念深くて怖いからね。休息をとって万全でいたいんだ。」
アテーナが指を指す方向を見るペルセウスだが何も確認出来ない。
(神の権能と言う奴ですか......確か以前に、アテーナ様はヘーラ様が意図的にアテーナ様にだけ見せていると言っていた筈....ですが何故、オリュンポス神の同士であるアテーナ様を監視する必要があるのでしょうか.......)
馬車を止め宿へと入るペルセウス。アテーナは馬車の中へと入りペルセウスを待つことにする。
「ヘーラ、いつまでボクを見ているつもりだい?」
アテーナは一人、馬車の中でそう口にする。だが返答は返って来ない。
「......だんまり、か。まぁ、いいさ。君にボクを止めるだけの力はない。」
アテーナは口元を歪ませ意地悪く嗤う。その頃、オリュンポス山、ヘーラの寝室にてヘーラも同様に嗤っていた。
「くく、確かに妾に汝は止められぬ。だが、妾でなく他の神ならばどうだ?」




