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Episode71 "二手に"

「神話の.....戦争」


瀬名はアルセイドの言葉を思い出しながらナーレイスより授かりしレイピアを振るう。先にキュベレーに説明を受けたが本来、冥府とは生者が死した後に生前の様に暮らす場らしいのだが此処ら一帯の空気が汚染をされている影響から魂達が荒ぶり殺しあっているとの事。


挿絵(By みてみん)


罪を犯した生者、神、生物は全て冥府よりも更に深く濃い闇の最果て、タルタロスへと送られる。逃れる事は叶わず永遠に無限の苦しみを受ける監獄。送られた全ての者は精神が完全に崩壊し、無に帰すと言うのが伝承に記されているらしい。


「キリがないな、ジャイアントデスワーム見たいなグロモンスターも襲ってくるし、何よりも匂いがキツイ。」


レイピアを強く握り締めると水飛沫を上げ瀬名の足元から襲い来たワームを粉砕する。だが瀬名は止まらない、前方から来る二人の死者が剣を握り襲い来るのだ。一人の死者が瀬名へと斬りかかろうとするがすかさずもう一人へと拳を叩きつけ、盾にする。上段から切り裂かれた死者は痛みの声を上げるが瀬名は気にせずそのまま背から突き刺し、その状態のままもう一人へと突進しレイピアで貫く。


「マシな所は剣を突き刺せば消えるって事だけど....ダー○ソウルみたいだな。」


瀬名は突き刺した剣を死者二人から抜くとその者達は魂の輝きを放つと同時に闇へと四散する。


「ジョン、成長したな。」


汗を拭い後ろを振り向くと師匠であるエウリュアレーがいた。外見は以前とは変わりロリ巨乳へと変わっていた。アルセイドよりも身長が低いのではないかと思い持ち上げる。


「ゆ、勇者よ、何を?」


エウリュアレーは驚きの表情を浮かべるがけっして嫌とは言わない。瀬名は高い高いとレシ同様の事をすると流石に恥ずかしいのかエウリュアレーは瀬名へとげんこつを入れ拘束を逃れる。


「我を幼児扱いするでないわ!」


身長180以上はある自分と推定150前半くらいのエウリュアレーの差に思わず身体が動いてしまった。ちなみにアルセイドは160に近い150だ。以前は自身よりも大きく抱きかかえられる恥辱を味わったので囁かな復讐だ、と心の中で優しく笑う瀬名。


「それにしても、師匠、本当に師匠ですか?外見が.....かなり変わった気がするのですが。それと以前の時よりも声が若々しく感じるし....」


瀬名は未だに彼女がエウリュアレーである事を信じられずにいた。


「我は我だ。確かに以前よりも外見は若返ってはいるが神はいかようにも外見を変える事が可能だ。自分から年老いた初老の姿をするのは物好きのオリュンポスの老害くらいだがな。」


ゼウスの事を指しそう言ったのだろうと自己介錯し、レイピアを横へと振るう。話す最中も尚、死者、死霊、死獣、死虫とが襲い来るのだ。エウリュアレーは自身の顔面すれすれへと斬撃を放ち後ろにいたであろう死霊を浄化する。


「油断は容易く命を摘み取る。まだまだ修練が足りんな。」


瀬名ははい、と頷きすぐさま戦闘へと戻る。現在、三と二に別れエキドナの探索を行っているのだが未だにエキドナの城らしき居城を見つける事が出来ていない。瀬名達は三人の方に所属し探索していると一つの広大な墓地へと辿り着いたのだが、其処に入ると同時に死者達が待ち伏せたかのように姿を現し戦闘へと繋がった。切り伏せても切り伏せても沸く無限の死者達に迷宮内での戦闘を思い出す。


「....いい加減にしやがれっ!!!」


十は越えるであろう敵に囲まれている瀬名はレイピアを地に突き刺し加護を発動させる。地は抉れ瀬名を中心に敵である死者は足場を崩す。その隙に瀬名は強化を使いレイピアを疾風が如く突き刺していく。半数は魂の輝きを放ち無へと帰したが残りの死者達は態勢を立て直し瀬名へと襲い掛かる。


「くっ.....多い...それに、戦いずらいっ!」


人型との戦闘に慣れていないせいか上手くレイピアを急所に当てる事が出来ない。的が小さい事と一部の死者が強化を使える事で軌道をずらし反撃をしてくる為である。


「あ`あ`あ`あ`あ`あ`あ`あ`あ`あ`あ`」


言葉は話せない死者達だが生前と同等の動きをする為、より窮地へと追い込まれて行く。一度、距離を取ろうと後ろを確認せず下がると何かに当たった。その影響で大きく態勢を崩し後ろへと倒れてしまう。瀬名はすぐに立ち上がり敵か!と確認するが唯の変態だった。


「....ネーレイスちゃん」


グループ分けする際、くじ引きで決めたのだが瀬名はネーレイスは自分のグループへと入れる様に提案した。皆は反対したがレイピアのパスを高める為にもと言う理由で何とか説得する事が出来た。だが、いざ墓地へと入るとネーレイスはすぐに自分達とはぐれてしまい此処まで何とか師匠と連携で乗り越える事が出来た。そして、今、やっと合流を出来たのだがネーレイスは何故か顔を染め悶えながら倒れていたのだ。しかも意識は健在の状態で。


「はぁ、これが屍姦と言うプレイなのですね?はぁ、とても興味深い、ですが、やはりジョン君との交流以上に私を感じさせてくれる物がありませんねぇ。」


死者達にワザとタコ殴りにされていたようだが飽きたのかネーレイスは立ち上がる。すると瀬名が近くにいる事を感じそちらへと顔を向けると本当に瀬名がいた事に満遍の笑みを浮かべ此方へと足ってきた。


「もうジョンくん!何処に行ってたんですか!ダメですよ!私から離れては!」


お前が離れたんだろ!とツッコミたくなるが現状を打開する為にはネーレイスの力が必要の為、瀬名はネーレイスへと此処一帯を海にしてくれていいから助けてくれと頼む。するとネーレイスは喜びに満ちた顔でハイと答えると瀬名を抱え飛んだ。


「師匠!飛んで下さい!此処一帯海にするんで!!」


エウリュアレはその声を聞き人ならざる跳躍をし、その場を離れる。そして、それを確認した瀬名はネーレイスに良しと指示を出すと同時にノアの洪水が如く墓地一面が津波に流され魂の輝きがいっせいに起きる。


(最初からやれば良くね?ってツッコミは無しの方向だよね.....戦闘を直にする立場になると考えが追いつかないんだよ、現実だと、うん。)


海面が形成されると同時にその全てが唐突に石化した。エウリュアレーは石化した地に再び着地し瀬名達へと呼びかける。


「ジョン、下りても心配いらぬぞ!」


それを受け取り瀬名達は下降すると石化したであろう津波の跡地へと着陸する。


「し、師匠!?これ、師匠がしたんですか!!」


ネーレイス以外に権能を持つ者がエウリュアレー以外にいない為、瀬名はエウリュアレーであると推測し驚きの声を上げる。


(本当はこの石化の魔眼を使えば墓地の敵を一瞬にして一掃出来たのだが、ジョンとの共闘が余りに.....)


楽しかった為、使わなかったとは言えないエウリュアレー。瀬名の姿を見る限り死に物狂いだったのだからこれがバレれば失望されると一人、後悔を感じる。


「あ、あぁ。凄かろう?ふふ」


だが、褒められた事は嬉しいと感じるエウリュアレーであった。





「はぁ、何故ぇ妾がこんな蜚蠊(ひれん)などと一緒に」


ため息を吐くキュベレーは瀬名達からかなりの距離を離れた暗き森へと足を踏み入れていた。


「本当はセナといたい....けど今は我慢する。大地母神、今は死霊共に幻惑を掛けて瀬名達を襲わせている。」


キュベレーの隣にはアルセイドが歩き森の主の側面も持つアルセイドは森林達を歩き易い様に動かし奥へ奥へと進む。


「其方、死にたいかぇ?」


怒気がキュベレーから溢れる。それもそのはず。何せ愛する男の元へと敵を送ると隣の森精が申し出たからだ。だがアルセイドはギロリと睨みつけ口を開き説明を開始した。


「本当はネーレイスを連れて来たかったけど.....セナの護衛が必要だからしょうがない。.....アルセイドは既に蝮の女の居城を見つけている。だけど、その場所にいる虫達の気配はこれまでとは違う。」


キュベレーはその説明を受け口元を釣り上げる。


蜚蠊(ひれん)、やるではないかぇ。其方と妾で敵首を土産にジョンへと持ち帰ろうぞ。」


「お前は保険で連れて来たに過ぎない。....もしテュポーンが復活を遂げたのならば、お前を生贄にアルセイドは離脱しセナと共にこの塔を去る。」


淡々と言うアルセイドにキュベレーは頭に血を上らせ叫ぶ。


「なっ、蜚蠊(ひれん)、其方っ!.....いや待て、もしやぁ其方、恐れをなしておるのかぇ?」


だがキュベレーは直ぐに落ち着きを取り戻し煽るようにアルセイドへと言うとアルセイドは溜息を吐きキュベレーへと告げた。


「あぁ、アルセイドは怖い。セナを失う事が何よりも怖い。テュポーンは人の魂ごと焼き払う強大な力を持つ。だから、セナをどうしても奴に近づけさせる事は出来ない。お前はセナを失う事が怖くないのか?」


アルセイドはテュポーンの存在など恐れてはいなかった。戦闘の下り、瀬名へと被害が出ることを一番に恐れているのだ。その言葉を聞くキュベレーは唾を呑み込み瞳に闘志が宿る。


「それは出来ぬ。エキドナめぇが奴を完全に呼び覚ます前に妾らで天誅を下そうぞ。」


二人はその言葉を最後に会話を止め更に森の奥へ奥へと進んで行くのであった。


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