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Episode31 "ゴルゴンの過去"

「ひひひひひ、何だろうぉ??うひ、うひひひっ、楽しみいいいいいい、死んでないとぉ良いな!!」


扉にヒビが入りバキンと割れ崩れさる。


「うーーーん!はやくはやく!!待ちきれないよおおおおおお!」


駄々をこねる幼児の様に身体を震わせ巨大な斧を振り回し土煙をはらう。


「いひ、見えてきた〜、大きいねぇー、うひひ、ねぇ壊していい?壊して良いよねえ〜、じゃあ壊しちゃおっ!!!」


オレイアスはラブリュスを地に叩きつけると土煙が晴れ露わになった扉の先から見えるとぐろを巻いた巨大な蛇の元へと跳躍し空中で一回転した後にラブリュスを振り落とした。


オレイアスが叩きつけた蛇の尾は叩き斬られ鮮血の血が大量にぶちまけられる。その斬撃の衝撃は尾だけにとどまらずこの天宮をも貫通し地上へ響く事にもなった。天宮は無残にも崩れさっていく。


(我が親愛なる姉よ.......)


崩れた事でエウリュアレー自身も周りの瓦礫とともに地へと落下を始める。落ちる最中未だに浮く一部の天宮、すなわちステンノの立ちし大地を眺め封印の解除をされた姉の安否を心配した。


「...........恐怖、悲しみ、絶望、全てをオリュンポスの愚者共に妾は......」


エウリュアレーとメデューサの姉ステンノーは眠りの開放からその瞳をゆっくりと開ける。


「おっかしいなぁ〜壊れない?壊れないの?面白い〜、あはは、うひひひひ、いひひひひ!」


オレイアスはガンガンとラブリュスを叩きつけているのだが鱗への傷が一つも入らない。


ステンノーの身体にダメージが与えれていないことに嫌気がさしたのかオレイアスは先程エウリュアレーに突き刺した剣を呼び戻し突き刺すのだが突き刺せず太鼓のようにリズムをとりながら叩き始めたが。


「あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、飽きた」


先程まで瞳孔が開き狂う様に叩いていた筈のオレアードは糸が切れたように大人しくなりジト目になる。心底嫌そうな表情をしつつ手のひらに魔力を溜め始める。魔力は渦を巻くように荒ぶり球体の形を形どる。


「動かないなら、殺すわぁ。」


魔力の球体を握り潰すと粒子が散らばるが如く四散する。


ガシ「連れて行ってヤルよ、」


冷めた口調で話すオレイアスは未だ動かぬステンノーの首元を掴み地面へと叩きつけ残りの天宮内部を貫通させながら二人は天宮の瓦礫と共に一緒に地面へと堕ちていく。


そして一度オレイアスはステンノーの首から手を離しくるくると周りながらもう一度堕ちゆくステンノーの姿を捉え迫っていく。


挿絵(By みてみん)


「はあああああああ、キモチイイイイっ!!!これ、コレだよおおおおおお、いひひひひひっ、オラァッ!!」


地面へと近づくとともに再度ステンノーの首を掴み顔面を地上へと叩きつける。周りに響き渡る程の轟音を轟かせオレイアスはステンノーの頭に足を乗せニヤリッと顔を歪ませる。エウリュアレーの天宮は既に原形を留めておらず粉々の状態で地に堕ちていた。


「.........ステンノー....」


瓦礫と共に倒れるエウリュアレーはオレイアスと共に落ちてきたステンノーの存在に気づく。


「オリュンポス.....死..ポセイドン......死......アテーナ..死..アテーナ..死...アテーナあああああああああ!!!!!!!」


突如、咆哮が空にこだまする。


「アアアアアアアアアアアアアアアアアアああああああああああああアアアアアアアアアアアアアアアアアア「「ガン!」」


叫ぶステンノーの口元へラブリュスが直撃し頭部を真っ二つにした。


「いひ、いひひ、ンキモチイいいいい、はあ、これが蛇の脳みそおぅ?きっもちわりいいいいいいなぁひひひひ」


吹き飛ばしたと同時に二人のいる領域だけに雨粒が降り始める。


「おっそいんだよおおお!!いひ、もう許せるぞぉ、おいいいひひひひひひ」


倒れるステンノーの身体の上にてバレリーナのようにぐるぐると回転しだす。


「どーお?冷たいー?いひひ、蛇は不死身だからぁー痛いでしょー?うふ、うふ、あははははははは」


ステンノーの身体はブルブルと震え、溶けては治り溶けては治りを繰り返していた。


「ぼくのオオオオオオ雨はあああああ酸性なんだよおおおおおんんん!!いひあはははははははははははッ!!!!」


馬鹿みたいに笑うオレイアスを何とか視界で捉えるエウリュアレー。雨が降っているのはオレイアスとステンノーの周りのみ。


ステンノーはゴルゴン姉妹唯一の完全なる不死でハルパーを使わない限りは傷をつけさせることもかなわないだろう。だからこそ常に痛みを与えることで苦痛を感じさせるのだ。


「ん〜?あ〜見〜つけちゃった〜!んひ」


オレアードと眼を合わせてしまったエウリュアレー。


何とか曲剣を顕現させるが身体へのダメージが重く薄く水が張る大地に顔をつけている状態なのだ。そして足が瓦礫の山に挟まり抜け出せないときた。


「ふふふふふ〜ん」


スキップをしながら落ちる時に落とした歪な剣を拾い、エウリュアレーの方向を向くと再度スキップをしながら鼻歌を歌う。


「よっこらしょ〜と、ぐふ、うひひ、みーつけちゃったぁ、いひひ」


倒れるエウリュアレーの前にしゃがみこみ意地悪な笑みを浮かべる。


「.....くらえ!!」


頭皮の蛇が一気に襲いかかり追撃として握る曲剣を水面をかき分けながらオレアードに迫らせるが。


「うひ、ひひひ、あぁ、ざ〜ね〜ん、」


剣はオレアードの横腹を抉り胸元近くまで切り裂かれたのにも関わらず何ともない表情で笑うのだ。


「くるくるくるくるく〜るくる、いひ」ザク ザク ザク


三つの輪っかがつく歪な剣をぐるぐると回し上空へと投げると三本となって倒れるエウリュアレーへと突き刺さる。両腕、そして心臓部へと突き刺さり苦悶の表情がエウリュアレーの顔から滲みでる。


「ぐふっ」


血を吐き出し鋭くオレイアスを睨む。


「ううううん、これこれこれこれこれ、ん?そうだぁ!」


光悦した表情で武器を下ろしエウリュアレーの頰をつんつんすると立ち上がりステンノーのいる方へと手をかざすとステンノーの肉体が引っ張られるようにこちらへと向かってきた。


そして此方へと引き寄せられたと同時に頭皮の蛇達を掴み上げエウリュアレーへと見せつけるようにステンノーの顔を舐め再び剣を心臓部へと刺しこむ。


「姉の前で死ぬのってどんな感じいいいい??ふひ、いひひひ」


下衆な笑みを浮かべつつステンノーの身体を自分たちの行為が見えるように移動させる。既に顔は再生し、精気がないような虚ろな眼でぶつぶつと呟いていた。


「ではいっきまアアアアアアああっすううううう」


ラブリュスを持ち上げエウリュアレーの首元へと狙いを定める。


「........」


振り下ろされる斧がとてもゆっくりと見えた。


(ああ、メデューサよ......我もそなたの元へとゆくぞ)


バアアアアアアアアアアアアシュ!!!!





「忌々しいオリュンポスの神々がぁ.....殺してヤル......殺してやるぞぉ......ううう」


言葉から出るは呪符が如き言葉のみ、今や精神と肉体は一つであり一つではなくなった。


(妾は何をしておる。何故、最後の肉親であるエウリュアレーを救おうとしない。)


目の前で最後の肉親であるエウリュアレーが山の精霊に止めを刺されようとしていた。


(あれは山の精一人がなせる力ではない......妾はどうすれば良い.....どうすればこの呪縛から解放されるのだ....すべては奴が来たことで歯車が狂い始めた.....憎い、憎い、憎い、憎い.....)


そう、あれはオリュンポスの三大神が一人ポセイドーンがゴルゴン三姉が妹のメデューサの前に現れた事で歯車が狂い出すことになったのだ。


「ほお、まっこと美しい姿容姿を持つ。どうだ?」


クレーター島にて水浴びをしていたメデューサの前に突如海神は現れた。


「何ようです!淑女が身体を清めている所を堂々と、無礼だと思わないのですか!」


メデューサは胸元と陰部を手で覆い隠しながら怒声を上げる。


「どうしたメデューサ!」


「....何ようじゃ、ポセイドーン。」


エウリュアレーとステンノーは妹の叫ぶ声を聞きつけ姿を現す。そしてステンノーはポセイドーンの存在に気付き要件を聞いた。


「なに、儂の愛人にならんか聞きに参っただけだ。」


下衆た笑みを浮かべながら物色するようにメデューサの身体をじろじろ眺めるポセイドーン。


「そんなもの断るに決まろう!」


「そうじゃ、この様な男に従う義理は無いメデューサよ。」


メデューサの眼にも姉同様、否定の意思が現れていた。


「そうか、..........後悔はしない事だ。」


ポセイドーンはそう言い残すと身体が水となり消えた。


それからしばらくすると島は台風や津波といった自然災害に悩まされ、洞窟での暮らしを余儀なくされた。しかしそれだけでは収まらず今度は落盤が起き洞窟は封鎖されてしまったのだ。


「姉よ、これはあの男の仕業ぞ!!訴えるべきだ!」


「エウリュアレーよ、今やオリュンポスの神々はギリシアでの覇権を握っている。妾らが如き地方の神々では鼻で笑われるだけよぉ。」


事の始末は全てポセイドーンの八つ当たりだという事はすぐに分かった。しかし珍しく次の日は快晴で姉妹三人は驚き、ポセイドーンは飽きたのだろうと結論付けた。


_だがその夜、妾はメデューサを行かせるべきでは無かったのだ。


「水浴びをして来ますね、ステンノー姉さん。」


「気おつけるのだぞ。」


二刻が過ぎ三刻が過ぎても帰ってこないメデューサを心配し妾はエウリュアレーを起こし泉へと向かった。だがメデューサの姿はそこには無かった。


それから三つの晩が過ぎた頃、メデューサは帰ってきた。瞳には涙を留め、ポセイドーンに連れ去られた事を打ち明けられた。妾とエウリュアレーは共に涙を流し抱擁をしあった。


「無事に帰って来られただけでも幸運と思おう。」


しばらくの時が過ぎメデューサへアテーナの領域である城塞都市アテーナイへの招待状が届いた。接点自体は無かったが、神々の誘いは互いに尊重し合うと言うのが古よりの風潮。


そして次の朝メデューサはクレーター島から最も近くに存在する城塞都市へと向け旅だった。


「オリュンポスの一部とでも繋がりがあれば、先の過ちの様な事は起きぬだろう。」


その考えが甘かったと気付くのは早かった。旅立ったその晩、一匹の魔獣がこの島に侵入したのだ。


「神の領域だとは知らず、愚かな事だ。」


エウリュアレーと共にその魔獣の討伐をする為、その場へと転移した。そして我らが眼にしたのは一匹の魔獣だった。


「姉さん、ごめん、なさい」


獣の瞳と猪が如き鋭い牙を覗かせた妹は美しかった黒き髪を失い変わりに無数の蛇達が顔を覗かせていた。そして下半身は蛇の如き姿となった。


「........」


絶句する。妾達も流石にこれは寛容出来ぬと堪忍袋の緒が切れオリュンポス山へと抗議へと向かった。


「アテーナ!妾の愚妹が犯した罪は貴様の叔父にあたる男が犯した罪ぞ!何故奴は裁かれず、妾の妹メデューサだけが裁かれねばならなぬ!」


ポセイドーンが連れ去った後、奴はあろう事かアテーナの領域で事を成したのだ。


「君の妹がボクの髪より美しいっていったんだろ?しかもボクの領域で淫らな事をポセイドーンとしたんだ。あの場所が穢れたボクへの謝罪は無いのかい?」


髪がアテーナより美しいなどと相手を見下すような事はメデューサは決して言わない。


「ふざけるな!ならばポセイドーンは如何なんだ、許されるのか?否だ!」


「止せ、エウリュアレー!」


エウリュアレーが怒りの声を上げアテーナの胸ぐらを掴み抗議をする。それを抑えようとするがエウリュアレーは聞かない。


「容姿が気に入らないなら、一緒にしてあげるよ。それで、今の不敬は許してあげる。」


邪悪な笑みを浮かべるアテーナは妾とエウリュアレーの頭へと手をかざす。そして妾らの意識はそこで途切れた。


眼を覚ますと妾達はクレーター島へと戻っていた。メデューサは心配そうな表情で妾達を見ている事に気付き身体を見るとメデューサと同じ様な容姿となっていた。


「心配するな、これで妾達は一つになれたのだ。」


メデューサの瞳から流れる涙を拭き取り、三人は笑顔になった。


それからは新しい身体の事もありちょっとした冒険をしている気分になった。神から堕落した事により新たな権能を得たのだ。


メデューサは視界に入った物を石化をする能力を得ていた。これは一度発動してしまうと自身にも解除は不可能でレジストも不可能とされる最強最悪の魔眼を手に入れたのだ。


そしてメデューサの血には二つの効力が宿っていた。一つは死者を蘇らせる事、そして二つ目が死と言う概念を相手へと与えること。


エウリュアレーは俊敏な動き、そして頭部以外の再生能力だ。妾は不死性のみが残る形となった。


それからしばらくの間我らは能力を高めつつ、島での生活をより楽しんだ。


「明日は何をしましょうか、姉さん?」


メデューサがとぐろを巻きながら聞いてきたので妾は狩りに出て飯を食おうと言ったら嬉しそうな顔になり眠りについた。こんな幸せな生活が毎日と続く物だと思った。


_だが現実は違った。


深夜、何者かに斬られ眼を覚ましたのだ。そして先で見たのは妹の首が胴と離れ兜を被った半神が立っていた事だった。


「ゼウスの子、ペルセウス!オリンポスの使命を受け、民を脅かす悪神を討ち取ったり!」


ペルセウスと名乗る半神は我が妹の首を掴み持ち上げ天へと高らかに宣言をした。


それからの事は分からなかった。理性が蒸発し意識が無いままに破壊行動をしたのだと妹はいった。


体中に切り傷や刺し傷があるという事はハルパーに斬られた物だろう。不死の妾が回復しないのはこのせいだ。エウリュアレーは無傷で現れ、疑問に思い聞いたら、妹の胴に流れる血を啜ったとのこと。


危険なかけに出たものだ。妹の血はどんな死者でも蘇らせる反面効果は法則性がなく下手をしたら死の概念がエウリュアレーを阻む事になっていただろう。


そのあとの妾達は血涙を流しながらも復讐の為、アテーナの元へと向かった。


エウリュアレーはペルセウスと斬り合う中、奴がアテーナの加護やら援助があった事を口にしていたとのこと。そしてあろう事か人の血が流れる者に神器を貸し出していたのだ。


領域で気づかなかった理由がハーデースの隠れ兜による物だとわかりさらに怒りが頭えと湧いていく。


「ボクに何の用かな?こう見えてボク忙しいんだけどな?」


「ふざけるな悪党が!!」


それから妾らとアテーナによる神々による戦闘が始まり三日三晩戦う事になった。そして戦いが終わりを向ける最終局面においてアテーナはアイギスの盾を顕現したのだ。


「メデューサなのか?」


「終わりにしよう、ボクも疲れたし。」


盾にはメデューサの首から上が縫い付けられていた。


「うがああああああああああああああああああ!!!!!」


エウリュアレーは既に倒れ満身創痍。戦えるのは妾のみそして出来るは捨て身による相打ち覚悟の特攻だけだ。堕ちたとはいえ神核はある。それをゼロ距離で爆発させればこの国もろとも吹き飛ばす事が可能だ。しかしそれは妹の声により止められる事になる。


_死んでは駄目です。今度は妹をしっかりと守って下さいね。


既にアイギスの盾による効力で神力は尽き、魔力も徐々に大気へと四散している。忌まわしき盾。そして身体のいたる場所が石化を開始し残る部位は右腕と顔のみとなった。神核を贄に爆発を起こす筈が死んだ筈の妹の声に惑わされた結果がこれだった。


「終わりだね、ステンノー。石になったら神殿の飾りにでもしといてあげるよ。」


近くによりメデューサの顔を近づけされ残りの部分も石化が進んでいく。口元と右手のみが残り盾に縫い付けられるメデューサの顔へと手を伸ばす。


「メデューサ......」


震える声。


「メデューサぁーーーー!!!!」


叫ぶと共にアイギスがひかり、体へと吸収されていく。


「っ!?いったい何が」


光により眼を押さえていたアテーナが手をどけるとアイギスと共に姉妹の姿は消えていた。


「エウリュアレーだけでも.....」


光が晴れたと思い眼を開けると大きなキノコ群が取り巻く森林にいた。瀕死のエウリュアレーへと手を回し歩き始める。


「オリュンポス......ポセイドーン......アテーナ.....」


頭の中には殺せ殺せと響き渡る。理性はギリギリの所を彷徨っていたのだ。


何故、神核を贄としなかった?


「うるさい」


本当は怖かったのだろう?


「うるさい!」


再度、妹を見殺しにするところだったな?


「うるさい!!!」


逃げるのか、そうやって?


「黙れって言うのが聞こえないのかー!!」


貴様がより上手く立ち回れていたのならば妹は犯され殺されずにいた。そこの(エウリュアレー)でさえ瀕死の重傷を負う事はなかった。


「.......ぐっ...」


貴様の.....所為なんだよ


バリンっと心が砕ける音がする。それから先は覚えていない。気づけば私はあの部屋へと封印をされていた。大方、あの場でメデューサの能力が暴発し大暴れをした後近くの神域の主に押さえつけられたのだろうと予測した。


そして妾は今も尚、妹を目の前で殺されようとしてにもかかわらず動けずにいた。


_死んでは駄目です。今度は妹をしっかりと守って下さいね。


あの時の言葉を思い出す。






ラブリュスが振り落とされる。


「.............姉...さん」


ガガガガガかガガガガガかがッキッ!!!!


「あひ?あれ動かないぞ?何で?何でえ?何でえええええ!!?」


オレイアスは発狂した様に叫び声をあげる。


「.......ステンノー....」


ステンノーの立ち上がる姿を見て驚愕の表情を見せるエウリュアレー。


「ボク、ボク、ボクの身体に何したんだよおおおおお!!!あああああああああ」


オレアードの身体は両足両腕が石化し動けない状態になっていた。


「終わりぞ、山の精よ。」


「そ、そんなああああ、いいひい、ほんの冗談だったんだよおおおおん、い、命だけはあ」


涙目で懇願するが、見下す様にステンノーは見る。


「うぬはやり「ばぁかあああああああああ、いひひひひひ、いひっ!!」


腕と足を見えない何かで切り落としすぐさま再生する。


「"覆い隠す者"の権能だよババああぁ!!いひひひひひ、一度やってみたかたんだよ、うふふ、命ごいってやつ?ウヒヒヒヒ」


高笑いを始め、ラブリュスを握りクラウチングスタートのポウズをとり一気にかける。野を駆けるニンフと言うのは一般的に有名で、この山精はアタランテーの速度(それ)をとうに越えていた。


「いひっ、ボクが花嫁で一番速いんだよ!」


超高速で石化の被害に遭わないようジグザグに進み斧に回転をかけ振り回しつつ横切りをしようとするが、


「だから死んっ」


オレアードは台詞を言い切る前に石化をした。いや、全てが石化したのだ。視界に見える全てが。空中に浮いた水球は石となり落ち、大地もセメントのように石化する。そして後ろに控える森林の一部はもちろん、土でさえも石化をしてしまった。


「ステンノー.....」


悲しげな声で姉の名を呼ぶ。すると姉は背後を振り向きにこりと笑うと倒れてしまう。


「姉さん!!」


傷だらけの身体に鞭を打ち這いずりながら姉のもとへと向かう。


「し、死ぬな!!姉さん」


不死性がある筈なのに彼女の顔は少しずつ精気を失っているのに気付く。


「エウリュアレー....妾は....死ぬ....」


ステンノーはエウリュアレーとは反対の方向を向き言葉を出す。


(視力が既に.....)


「だ、駄目だステンノー!わ、我は一人では....」


「.....ただをこねるのは昔から変わらぬなぁ....」


「ああ、ああ、頼むから一人にしないでくれぇ....」


涙が頰を伝いステンノーの頰へと垂れる。


「泣いているか、しょうがない奴だ。」


最後の力を振り絞りエウリュアレーの顔を自分の耳元へと抱きよせる。


「すまんなぁ...妾がっ....しっかりとしておればっ....」


鼻水を垂らしながら涙を流すが妹には決して顔を見させない。


「だから、これが、最後の愚かな姉が妹にたくせる贈り物だ。」


身体が徐々に透けていきエウリュアレーの元へと還元するように取り込まれていく。


「な、何をしている!?ステンノー!」


抜け出そうとするエウリュアレーを押さえつけその状態を保つ。


「最後に...一度くらいは三姉妹で...狩り...行き....のぉ」


掠れる声が耳元へと入ってくる。


「生き....ろ.....」


パサッ。先程までいた場所からステンノーの姿が消えエウリュアレーは涙を流し叫びながら地面を叩きつけた。


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