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Episode30 "冥精ランパス"

左からオレイアス(山精(あひひを多用してる人))、ランパス(冥精(話し方がふた通りあるの人、ネーレーイス(海精(ネガティヴ系M女)):

挿絵(By みてみん)

「アルセイド.....君は一体....」


立ち上がる事が出来ない程の圧倒的恐怖。先程まで話していた少女が兵達を手を下さず殺戮したのだ。瀬名などが逆らい反抗を行えば先程の兵達の二の舞になるだろう。


「......花嫁達ニュンペーだよ」


「花......嫁......?」


テクテクテク


階段を上がり此方へと近づいてくる。身構えるがそれは何の役にも立たないだろう。そして彼女は瀬名の前へと立ち瀬名の膝の上に座る。


「対面......座位だと」


(童貞の俺には刺激が強すぎる、抑えろ俺のコスモ!)


アルセイドは顔を胸元へと埋めている。


「.......抱きしめて」


小さく甘い声で呟く。


「いや、でも「抱きしめて」はい」


逆らったら殺されるって、わかんだね。


「....強く」ギュ


強く抱きしめる。


「.....撫でて」


「頭で「うん」


即答で答えるアルセイドに瀬名は苦笑するがアルセイドと空に未だ浮く天宮を見合わせ質問をする。


「なぁ、アルセイドがあれを全部したのか?」


「うんうん、してない。一個だけ」ボソ


この小さき身体で一つの巨大な地を落としたと言うのだから瀬名は顔が引き摺った。


「.........」ギュ


アルセイドがオレの腰に手を回し頭をぐりぐりしてくる。


「あのさ、何でこんな事したんだ?」


「ヒュラースが言ったから」


ヒュラース、この名が彼女らの指導者だと言う事が分かりバルトロメウスやキュベレー達に伝えたい衝動が襲う。だが先に彼女を諭さねばならないと思った瀬名は彼女の眼を捉え話しかける。


「駄目だよ、こんな事したら沢山の人が悲しむだろ?」


「......?」


首をかしげるアルセイド。意味を理解していないのか。


「オレはアルセイドが死んだら悲しいと思ったからアルセイドを守るって言ったんだよ。」


まぁ逆に護られるか殺されるか何だろうが。


「......ん」


アルセイドはしっかりとオレの話を聞いている。、もちろんナデナデをしながら。


「じゃあさ、オレが死にそうになったらどうする?悲しくない?おれじゃなくても良いさ、そのヒュラースって人が死んだら悲しくなるだろう?」


アルセイドは何かを考えるように下を向きこう答えた。


「ヒュラースが死んでもアルセイドは悲しまない。でもナーイアスやオレアードはヒュラースが死ねば完全に壊れる。」


仲間の名前だと思われる名前があがり瀬名は頷いた。するとアルセイドは話を続けながらスリスリと身体を猫のように擦ってきた。


「セナが死んだら.....アルセイドは壊れる」グスン


涙を瞳に溜める。


(何故に、ですか?)


「考えたくない」ギュ


「お、おう」


有難いが重い気がしてきたなぁ。


「セナはずーっとアルセイドといるの」ギュ


眼が本気だ、この子.....


「で、でもオレ達って会ったばかりじゃない?友達として「じぃー」ヒィ!」


ジト目なのにこの子最初っからハイライトがないから余計怖く見えるんだよなぁ。夜に起きた時、日本人形と眼を合わせた時を思い出す。


「アルセイド.....初めて、あんなに優しくされた」ギュ


可哀想になってきたけど正当な大人ならば瀬名と同じ行動をしただろう。


「それに一緒にいるとポカポカする」


綾◯さんかな?


「でもそのナーイアスとかヒュラースって人は優しくないの?」


「.......」


無言は肯定で良いのか?


「え〜と、じゃあ何で一緒にいるんだ?」


「みんなみんないなくなった、からついて来た。」


「みんないなくなったてどういう事?」


「取り込んで人格と能力をこねて一つにした。」


え、えぇー、ちょっと訳わかめですね。


「セナ、分からない?」


額と額を合わせてくるアルセイド。吐息が吐息がすぐ近くに!!良かったぁ、フィットタイプのパンツで、勃ったのをかなり押さえつけてくれるから。


「ぐう.....があっ!!?」


アルセイドの記憶が一気に流れ込んでくる。てか死ぬ、これ死ぬ!!!


「はな、離してっ!!ふう、ふぅ」


肩を掴み何とか額を離すことに成功する。


「人間が死なないように調整したつもりだけど」ギュ


懐いてくれるのは良いけど記憶で見た後の彼女の行為のギャップが凄まじい。


「ん」♪


(まぁ何はともあれ大体の事は分かったぞ。こいつらの正体が。てかこの子達、神様兼大精霊なのにまず驚いた。)


取り敢えず、今何をすべきかは分かった。


「アルセイド、」


「何」ギュ


「ヒュラースの処まで連れて行ってくれ。」








少し時間を遡り、バルトロメウス達は情報を得るべく堕ちた天宮の一つの場所へ向かっていた。


「ジョンを置いて言って良かったのかしら?」


建物を伝いながら移動している最中、リディアが口を開く。


「何だ、寂しいのか?」


バルトロメウスが茶化しながら答える。


「助太刀の前に如何やら斬るべき敵がいるようね。」スチャ


リディアが柄を握る。


「コラコラ、夫婦喧嘩をするな!」


「「夫婦などではない(わ)!!」」


「二人とも息......ぴったし.....」


とレシがツッコムと皆が失笑した。


「ああ、これもジョンの影響なのかもな」


セレナが感慨深くそう呟くとバルトロメウスが、


「だからこそ、あいつはまだ必要なんだ。」


皆が首を揃えて頷く。


(オレへの弄りが減る)


(脅す時の顔が、笑えるわね)


(美味いものを作る!!)


(変態.....だけど..楽しい)


そう頭の中で考える四人は少し気が楽になった気がした。本来であらばこうして馴れ合うことなどなかったのだろう。


「っ!?止まれ!!!」


跳躍を止めるよう呼びかけるバルトロメウス。


ビイイイイイイイいいユンッ!!!!! ズダアアアアアアんん!!!


空から衝撃波の様な物が目の前を大きく直撃し目の前にあった筈の建物は消え失せる。そして下を覗き込むと地は抉れ底が見えない程の穴を作り上げていた。バルトロメウス一行は上を見上げると天宮の半分が倒壊していた。そして衝撃が中で起きているのを外から確認できるほど激しい物だと分かった。


「くっ、なんと言う」


バルトロメウスは今回の戦いが人同士では成し得ない戦いだと再確認する。


「どうするのかしらバルトロメウス?天宮の欠片が無数に街に落ちてきているわ」


「知っている....二手に分かれるぞ、俺とセレナで堕ちた天宮の捜索、そしてお前達二人は欠片の破壊だ。」


バルトロメウスが指示をだし二手に別れようとした刹那辺りが一気に暗くなる。


「オレアードは暴れすぎじゃのぅ、能天気で何よりーー!」


同じ声なのにトーンが全く違う声が暗闇から聞こえてくる。取り敢えず屋根の上は危険だと思い、バルトロメウスは風の疎通魔術を使い、リディア達へ地上に降りるように指示を出す。


「ん〜生きてるぅ人間って殺していいんだよねぇーー!じゃあ殺してしまおうかのぅ」


松明の炎が街のいたる場所で燃え始めその僅かな光で視界を保っていた。周囲一帯は深淵の様な深み暗さが広がれバルトロメウス一行は背中合わせに警戒する。


「レシ、これは精神干渉魔術の一種か?」


「......違う、これは......結界に近い.....違う.....隔離....!」


隔離という言葉を使うレシにそれは何だと聞こうとすると、セレナがムスッとした表情でバルトロメウスを見ていた。セレナが魔術に特化した団の副団長をしていた事を最近では忘れてしまう。いや、白兵戦最強だという伝説があるので先にそちらを想像してしまい、どうも考える人ではなく脳筋として考えてしまう。


「グアッ!!」


「頼む、助けてくれ!!ぐっ」


「うあ、ううううう、死にたくな」


悲鳴があらゆる場所から聞こえてくる。そして松明の燃える数が四つまでと減った。先程までは高松の光が見えるだけでもとうに100はあったのだが、


カツン カツン カツン


何者かの足音が聞こえてくる。そして、


「ミイツケタ」


銀髪の黒の装束を着た女が立っていた。


「ヒュラースが追ってたのって君達でしょうー、四肢を捥いで持ち帰るとしよう。」


表情をコロコロ変えながら首を動かし、こちらを見つめてくる。


「貴様、何者だ」


目の前から感じるそれは"神"と同じ、冷や汗を感じる。


「ふふふ、聞きたい?聞きたいー?」


此方の周りをぐるりとかけながら陽気にそう呼びかける。


「.......っ」


近くに寄るだけで吐き気と目眩が襲う。


「ならおしえよーかなぁー?聞いて驚くなよ、わっちの名はランパスじゃ!」ビシ


「くっ」


バルトロメウスの眼前で腰を曲げ敬礼のように手を額に当てる。隙だらけのように見え、全くと言って隙が無い。そして何よりこの空間に入ってから心臓を握られる様な感覚に陥る。


(バルトロメウス......私....捉える)


レシが手を握り意思疎通の魔術を使いバルトロメウスへと伝える。


(ああ、)


返事を返し、自分も肩にかかる槍へと手をかける。


「.....消えろ.....化物っ....!!」


レシはノーモーションでその女が立つ場所に結界を張り閉じ込めると同時に内部ではレーザーの様な光線がいくつも重なり女を細切りする。


「え、えげつないな、レシ殿は.....」


セレナが若干引いた顔をするが、


「セレナ...前は....これよりすご「あー私の話は「ノオンノオンノオンノオーン!これじゃあランパスは倒せないぞー!」!?」


斬り刻んだ筈の女がバルトロメウスとレシの肩を組み無邪気に笑う。


「ふん」


「っ」


セレナとリディアが同時に心臓と頭を狙い貫通する。


「あれれー?頭を狙った君はぁー神血が流れてるでしょー?少しは遊べるのぅ」


セレナの方をエクソシストが如く、首を180度曲げそう述べる。突き刺さった剣は無視をしているので顔面が半分と切り裂かれている。丁度今は眼球に突き刺さった状態で余りにも無残な姿を表していた。


「神の....血...」


セレナが頭を押さえたのを見たリディアはすぐさま心臓部に刺した剣を引き抜き、蹴りで突き飛ばす。


「セレナ、貴方...」


「いや、大丈夫だ。敵の戯言だ」


レシとセレナを介抱しつつ、バルトロメウスが前線へと出る。


「風の精よっ、個の導きに従い我が槍にその魔を纏い蔵を抉りたまえ_」


槍を振るいながら詠唱を唱えていく、バルロメウス。女はその場を動こうとせず攻撃を受けても棒立ちのままだった。肌、服はボロボロに破れてなおも笑い続ける、不気味過ぎるとしか言いようがない。そしてレシが女の両足を二つの結界で弾き飛ばした。体勢を崩した女はバルトロメウスへと倒れるが


一陣の風よ(アエーマ)!!」


心臓に槍が突き刺さると同時に大きく肉が抉れ風による恩威もあり、突き刺す周りの肉も削り取り胸から腹へと大きな穴を開ける事になる。


「まだだっ、噴き上げろ_風よ!!」


槍の中心からさらに風圧が増し、ランパスと言う女の肉片が周囲へと飛び散った。


「だから無駄だとなんども言うたじゃろうに」


肉片一つ一つが一箇所に集まり再生していく。再生している最中、攻撃を四人で仕掛けるも攻撃が透ける様に当たらない。そして再び人の身体を戻したランパスは、


「あきたのう、ヒュラースは連れて来いと言うたが、面倒くさい。こっろそー!」


ランパスの手にはいつの間にか松明が握られ、火が灯る。そしてバルトロメウス達の上空で火を灯していた四つの松明は火を消した。


「感覚を研ぎ澄ませのう」


より一層、深淵の闇へと近づていく。見えるは彼女の握る一粒の光のみ。










「くっ、何故当たらない!!?」


空に浮かぶ天宮の一つでアタランテーは敵と対峙していた。この天宮は既に神域としての機能は失われ地へと目指している筈なのだが未だに堕ちる気配は無い。


「諦めないのですね、良き事です。」


対峙している女は言葉こそ礼儀正しいが、戦闘に置いては礼儀など微塵にも感じさせない程、過激で酷く、卑しい行動をとる。


「貴様になど言われても嬉しくはない、な!!」


アタランテーは弓を三本同時に放つが、


ガシ「流石はギリシア一と呼ばれる程の女狩人、ですが」


左手指先の間に器用に挟み受け止める。


「それだけでは終わらぬさ、」


押さえる弓が振動したかと思えば連続して爆発を上げる。爆発の風で周りに転がる無数の死体は弾き飛ばされる。


「あの至近距離ならば.....」


今この場に残るはアタランテーのみ。ともに天宮へと上がった仲間達も目の前の襲撃者により殺された。そして爆発による煙が晴れその場には先程と同じ様に凛とした顔で立つ女がいた。


「所詮は人間」


ゆっくりとこちらへと歩いてくる。その女が歩くとその場所から月桂樹が生まれ水がすーと流れていく。


「この程度ですか。」


地面は水が徐々に張り巡らされ一部では地上へと流れ落ちていた。


「水精か海精なのだろう、貴様は?知っているぞ、この地に流れる水は貴様の領土だという事を。」


アタランテーは先程までは城であっただろう瓦礫の上に立つ事でその湿る地へとは触れていないのだ。


「私が海精ですか、あまり笑わせないで下さい。」


笑わせないで下さいと言いつつ顔が笑っていない女は自らは水精である事を明かす。


「ネーレーイスの様に私は質量に任せた戦術はしません。そう」


歩きを止め両腕を上げ天へと仰ぐ様に言葉を出す。


「私の戦いは美しくあり、残虐でなければならない......それこそがヒュラース様に認め愛される香辛料なのです。はぁ」


ヒュラースと言葉が出るとともに頰を染め光悦とした表情を形どる。


「出来ないだけではないのか?」


ふふっと笑いながらアタランテーは水精の女へと挑発をかける。


「......ああ、愚かなる人間には私の"魅せる"と言う意味は理解されないでしょう。もっともオリュンポスに従属していたというだけで嘆かわしい事なのですが。」


哀れむ様にアタランテーへと視線を向ける。


「うぅ.....」


床に転がる兵の一人が呻き声を上げた。


「生きていましたか、彼も"資質"があったのかも知れませんね。」


水精の女がそう言葉に出すと倒れる男は暴れる様に身体中を掻きむしる。


「あははは、うひ、ああう、はははははは、あははははっ」


今度は狂った様に身体を曲げたりして笑い声を上げていた。


「笑えませんか?」


唇を釣り上げる女に殺意が膨れ上がる。そしてアタランテはその暴れる兵へと一弓を放つ。


「あうあう、いひひひ、あははっ」ブシュッ


脳へと着弾し兵は残す言葉も無く即死する。


「はぁこれこそ歓喜、祝福、救いというのでしょうかぁ?とても心地がいいですよ、アタランテー」


アタランテーは再び数十発の矢を連続で放つが矢は肌に当たるがその皮膚には傷一つつけられない。


「何度も言う様ですが人は神に傷をつける事は出来ないのですよ。「黙れ!!」


神性を帯びていなければどれ程の名剣、矢だろうと神を傷をつける事は不可能なのだ。その身を傷つけるは神の血を流す者のみだと太古の昔から世界の理で出来ている。


「そうですね、せっかくのお話相手になって頂けると思ったのですが、時間の無駄使いの様です。皆さん、立って下さい。」


城の残骸に残る玉座へと身を下ろし足を組むと水の精はそう言った。


「..........」


倒れていた百を越える精鋭の屍が身を起こす。その眼には精気が無く虚ろな眼をしていた。アタランテーは水の精を睨みつけると水の精は口を釣り上げ小さく笑う。


「貴様ァーーーー!!!!」


一矢を再び水精へと放ち、強化をかけ最高速で瓦礫を跳躍し、一振りの剣を顕現させる。そして頭上へと姿を現し剣を突き刺すべく身を落ろす。矢と剣はほぼ同時に水精へぶつかる筈、なのだが。


「私はここから貴方の死を視るだけですよ。」


矢は仲間だった一人に着弾し、剣は大気に流れる水の操作により軌道をずらされる。


「一ついい事を言っておきましょう、アタランテー。貴方の仲間は生前と同じ様に力を出す事が可能でしょう。」


そう彼女が口にすると、何かしらの衝撃により仲間達であった筈の者達の中心地へと弾き飛ばされる。


「「アタ....ランテー様....お逃げ」」「「ごめん....なさい....」」「「ううう.....許さぬ...許さぬぅ...」」


仲間達であった者達は武装の解放をしていく。中には魔術を放とうとしている者までもいる。アタランテーは身を立ち上がらせながら歯軋りをしていた。が途端に牙を出し、にぃと笑いだした。


「下衆がぁ.......まぁいい、此奴らを皆殺しにした後は貴様だからなぁ、水精ぇ!」


アタランテーが両腕を地につけ獣の体勢をとる。もちろん手には弓を持っており、握る形で地面へと手を置いている。


「お仕置きの時間だ」


冷たい視線を仲間に向けるアタランテーを水精は見下す様に笑みを浮かべ眺めるのだった。


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