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Episode16 "強化の修得"

アテーナ、デーメーテール、ペルセポネー:

挿絵(By みてみん)

「....きな.い...」


女性の声が聞こえてくる。


「おきなっさい。」


ドンッ!!


「いってぇ!!!」


瀬名は眠るべッドの上でのた打ち回り鼻からは血が流れる。そして周りを見渡したらリディアがそこにいた。


「リディア?.....てか痛ぇ!!...あれ、オレ何でこんな処に?」


瀬名は頭を抑え自分の現在の居場所について疑問を感じる。


(オレは確かバルトロメウスに強化を教えて貰って...)


「二日よ。」


「二日?」


「そう、貴方が寝ていた日数よ。貴方がまったく起きないから私が誠意を込めて起こしに来たのよ。満足しながら感謝しなさい。」


瀬名は自身に起きる鼻血の原因を理解し、苛立ちを覚えながらツッコミを入れる。


「ホントいい性格してるよ、お前。」


「あら、ありがとう。」


「褒めてねぇ!!」


こうして初日の日から二日間眠っていた瀬名はリディアの顔面ビンタにより爽快的な朝を迎える事になった。


二日目(四日目)の修行の師事はリディアとセレナとなり、魔力の制御を行うこととのこと。バルトロメウスはその姿を遠目から傍観する。レシはと言うと何故か家の主である妻さんと仲良くお茶をしながら雑談をしていた。


て言うか、息子さんとそのお父さん普通に外で畑や裏にある動物小屋にて作業しているのですが、大丈夫何ですかね。


「自分の心配をした方が賢明だと思うぞ。それよりも夕飯は肉料理が良いとは思わないか?」


セレナはそう言うと瀬名の頭を撫で今晩の夕飯の提案を申し出ていた。


(褒めれば何でもしてくれるハングリー精神かな?でも女の子に頭撫でられるのって地味に嬉しんだよね。)


最初は嫌悪感を出していた瀬名の表情が柔らかくなるのを感じリディアが口を挟む。


「いい加減にしなさい、セレナ。ジョイント、貴方は精神力の制御に集中しなさい。」


「ジョイントってオレの事?」


「.....」


「これは確信犯ですわ。」


「.....」


「リディア、お前、絶対オレの名前覚えてるだろ。」


リディアは紅茶をすすりながら白花広がる窓へと顔を向けた。


(この女.....)


ジト目でリディアを見ていると横に座るセレナが先程と同じアドバイスをしてきた。


「今回の強化は肉体的強化ではないから精神力は一気に使いきることはないけど、配分を間違えれば痛みが生じる事になるから気をつけてくれ。」


「いや、もう何回も失敗して気絶しかけたから。ムズイよ耳に微弱な精神力を流すのは、」


そう、今自分は聴力の強化を行いながら外にいる息子とその父親の会話を盗み聞く訓練をしているのだが、精神力の耳への過剰な注入でひどい頭痛を伴っているのだ。


「聴力や視力の強化は身体の強化に比べ比較的使うエネルギー量は軽いわ。けれども何度も消費を繰り返せば二日前と同じ結末になるのは理解できるかしら?」


「わかってる。でも、水滴感覚で流す感覚が掴めねぇーんだよ!」


するとセレナは立ち上がり瀬名に対してアドバイスをする。


「何故わからんのだ!!こう胸の中にある、もわってしたものをこうトンと言う感覚で流すんだ!」


(テンプレ見たいな感覚派で説明しやがって、)


「まず、そのトンって感覚がわかんないんだよ!この脳筋女!!」


セレナはセレナなりの説明をしているのだが、あまりにも大雑把かつ擬音で説明する為、瀬名が理解するにはあまりにもハードルが高かった。


「貴方は精神力を水に例えるのだったわね。なら一気に流そうとするのではなく適量とは言わないまでも最小限に抑えてから流して見なさい。それでも聴力が足りないならそれを繰り返せばいいわ。」


リディアの師事は最高に分かりやすいが彼女は余り口を挟まなかった。何故なら彼女曰く、行き先は教えるけど道筋は教えないとのこと。先ずは自分で試し本当に限界に感じた時にだけ彼女は的確なアドバイスをくれる。


(出来る限りの最低量を意識して流す........)


「......が.....す.........よ.......」


声がボヤけて聞こえる。が先程よりも数段前進したと思う。何せ先程までちょっとでも流そうとすれば過剰な程流れていくので頭には騒音が鳴り響き具合がものすっごく悪くなったのだ。


「その様子だと、少しはマシになったようね。私達からは以上よ。後は毎日寝る前にでも練習しなさい。」


「リディア殿は教えるのが上手だな!私はこう身体で覚えるタイプだからどうも説明が下手で余り助けにならなかったなぁ。」


リディアはそう言うと席を立ち二階へと向かって行った。セレナはと言うとテーブルに置かれている林檎を掴みひとかじりしながら今晩の飯について瀬名へと提案していた。すると先程までレシと婦人の対面側へと座って傍観していたバルトロメウスが席を立ち此方へと向かって来た。


「外に出ろジョン。コツを掴んだ今ならば少しは肉体強化の制御をこなせる筈だ。」


「確かに今なら精神力全部を注ぎ込むヘマはしないと思う。」


「面白そうだし、私も行こう!」


三人は家を後に先々日倒れた森林へと向かった。


森林へと着くとそこには痛々しい破壊後が残されていた。


「これを強化初日に行うとは才能を感じるな!バルトロメウス殿もそう思わないか?」


「ああ、こいつは英雄と迄はいかないにしろ常人でこれだけの精神力......ジョン、貴様まだ何か隠していないか?」


バルトロメウスは視線を鋭くし瀬名を睨む。


「してねぇーよ!!精神力って要は忍耐力だろ?煽り耐性が強かったり一つの事に諦める事なく打ち込める努力をしてるみたいな?」


要するにアイドルオタクが一人のアイドルを長年追い続け、結婚してもファンでい続けれる精神を持てればそいつはオレと同じ程の精神力を持てるって事だ。スポーツマンで言うと諦めずその道を極めるとか漫画家ならネームを何回落ちても再戦し続けれるだけの根性を持ってるとかだ。


「ああ、その通りだ。だが外面をどんなに偽ろうと内面は偽る事は出来ない。」


そう、バンドマンでも将来絶対に有名バンドになると言う決意、根性がある奴となんちゃってバンドマンでは天と地程の精神力の差が生まれる。


「それにしてもこれをオレがやったって信じられないな。」


「必殺の一撃と言う感じだな。」


セレナがそう言うと続けて恐ろしい事を口走った。


「そして驚くべきは魔術初心者が私達の半量くらいの精神力を持つ事だ。それにこれから成長すると来た、」


「へ?」


頭への理解が追いつかなかった。この紫ヘッドはこの森林の惨状を自身の半分くらいの威力と言ったのだ。


「驚かなくったてよかろうよ、私達は一応元団長副団長だったのだからな。ジョン、君が異常なだけだ。」


「オレ達は肉体的強化は最小にして精霊や独自の技術加護で戦闘をしているからな。説明すると肉体的強化で戦闘をするのは三流のする事だ。精神力をガツガツと削るからな、対人戦や魔の者との戦闘では自身の危機になり兼ねない。」


(確かにバルトロメウスに会った時に強化が使えたとしても精々倒せて五人くらいだなぁ。精神力を一気に放出すればの話だけど。)


「なら何で教えるんだよって言うのは野暮だな、これが初段回で行使出来る魔術なんでしょ?」


「その通りだ。貴様がどれかの精霊や加護があるのならば我らが多少は師事出来ただろうが、現状貴様に教え使える事が出来るのは強化だけだ。」


「.....」


「落ち込む必要はないぞジョン!何せ一部の伝承ではヘーラクレースの強化は限度無しに秒を追うごとに増して行くそうだ。要するに底なしに膂力が秒を追うごとに倍増して行くって事だ。」


(それ何ステッドギア?)


「落ち込んでないし励ましになってませんよセレナさん。それ絶対ヘラクレスが特別なだけだから!」


ヘーラクレースがバルトロメウス達のトップなのは既に説明を受けているが彼の能力が此奴らの能力よりも大きく凌駕する代物なのは確かなのだろう。


「始めろ、ジョン。」


「分かった。」


セレナさん、そんなキラキラした眼で見ないで下さい。また倒れるのか?倒れるなよ!今晩の飯が!とかぶつぶつ言っているし。どうやらバルトロメウスの飯はそんなに評判は良くなかったようだ。


(流す.....流す.....これくらいか?)


拳を確かめると先程よりも漢らしい拳になっている事に若干、感動するがすぐさま意識を拳に乗せ木を捉える。


「行くぜえええええ!!!衝撃のおおおおおおおお○○ーストブリットおおおおおおおお!!!!」


ドオオオオンン!!!!


殴りつけた拳は木を貫通し後ろの木へと拳の形が彫り上がる程になっていた。


(一度やって見たかっただよコレ!!マジで気持ちが良いわ!!今度する時は○ッドフィンガーだな。)


ドヤ顔をした後鼻息が強く出る。


「凄いじゃないかジョン!これなら第七師団にはギリで入れるよ!技術も備われば第三師団も夢じゃないぞ!」


セレナが肩を掴み頭をワシャワシャして来る。オレはガキか!今年で19だぞ!!


「セレナって何歳?」


「私は今年で21だぞ!」


そんなに歳は離れてなかった。オレが高1の時、この人は高3って計算になるな。


「よし、後は自身で鍛錬あるのみだ。残りの日は教えられた事を繰り返し練習しろ。」


(修行ってこんなに放任主義なの?いや、教えられたは教えられたけど.....)


「戻るか、お腹も空いた事だし。ジョン!君は今夜も先々日の昼の様な異国の料理を振舞ってくれるのだろう?楽しみだ!」


いつ俺が料理をすると決まった。とりあえず、前みたい倒れる事はなかったけど本当にこれで良かったのだろうが?


その晩はテリヤキソースを造作しリディアが捕らえて解体した七面鳥らしき鳥をオーブンで焼いてからソースをかけて振舞ったら大好評でした。デザートにリディアに頼んだ魔術で氷を出してもらい特製練乳をかけ皆んなに配ると頰を緩ませ全てを平らげてくれた。この家、素材が豊富なんだよなぁ。


そんな平和な日が3日は続き一週間が立ってしまった。勿論、自主練もしっかり行い、ある程度の強化はこなせる様になったけど発動にはまだ時間がかかってしまう。


「そろそろ行くぞ、ジョン。」


バルトロメウスとその一団が待つ外から声がかけられる。


「いや、お前らも手伝えよ!!朝食の後片付け!!」


今日が北の地への旅立ちの日なのだが朝食を食べ終えたら直ぐに荷物を背負って外に出る一行。瀬名は直ぐにお皿を洗いトボトボとバルトロメウス達の元へと行くのだった。


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