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Episode14 "美味な朝食"

ベーコンとソーセージが朝食に出ると嬉しいよね。

変態と呼ばれてから早一時間、自分は何処までが変態と言う定義なのかを熟考していた。


セクハラ発言は果たして変態と定義されるのか。決して彼女の身体に猥褻な行為をした訳でもなく自身にとっては自然の摂理と言ってもいい現象あるいは妄想なのだ。


それをつい言葉に出してしまっただけのオレに非はあるのか?答えは否だ。男性に取ってこれはどうしようもなく自然な事で前の座席へと座るバルトロメウスも自分と同じ状況に置かれたら同じ事を思うのではないかと考える。


「おい!ジョン!聞いているのか?」


(そう、オレは間違えてなどいない。正直な話、リディアにしろバルトロメウスにしろ美男美女が揃っている事こそが間違えなのだ。いや、異世界は大抵そう言った物なのか?こいつらどう見ても主要人物見たいな面しているしぶべッ!?


「いきなり何しやがる!!」


隣に座るリディアは自身の椅子の下に置くエストック型の麗剣を掴み瀬名の頰へとその柄を使い軽く殴ったのだが何時もの凛とした表情へと戻り口を開いた。


「貴方、さっきからこの男が貴方へと言葉を向けているのに上の空なのは関心しないわね。任務についての話であれば構わないけど、貴方自身の話についてはしっかりと聞きなさい。」


先程見たいに茶化さずしっかりと指摘する所は仲間との合流もあり気が引き締まったのだろうと理解する。


「ああ、すまないバルトロメウス、それで確か?これからのオレの立ち位置だったよな?」


「ああ。これからオレ達はそこの国境を越え北の大地の最果てへと進む。」


「同盟関係とやらで複雑な三重結界が施されてるんじゃないのか?」


「ああ、それは問題ない、何故なら」


「私.....いる.....変態.....心配....いらない」


バルトロメウの横にちょこんと座るレシは紅茶をずずっと飲みながら自慢気な顔で言う。


「さっきについてはゴメンってば、オレも腹に剣が突き刺さってて思考が麻痺してたんだからさあ。」


あの出来事の後、家へと向かう二人の背を追い自身も民家へと入り事の転末を事細かく交換したのだ。勿論自身が異世界出身である事も説明し最初はバルトロメウス同様の冷たい視線で自分の事を見て来たがバルトロメウスが壊した携帯を見せた事で信憑性を上げる事が出来た。


最初はレシとセレナは自分を汚物を見るような目線で見てきたがこれまでのあらすじをバルトロメウスの口から説明されたことにより同情の目線へと変わっていった。レシは未だに変態と言ってくるがそれだけだ。


「まぁ、それについては良いが北に行く以上、戦闘が必須となってくる。そしてお前は戦闘能力が皆無に近い一般人だ。少しは身体が引き締まっているようだが戦闘に関してはど素人だとオレ達の誰が見ても言うだろう。長い旅になる以上、戦かえぬ者は足手まといだ。だから、」


「この一週間、君に私達が基礎を教えよう!!精霊契約ももしかしたら出来るかもしれないぞ?」


テーブルの中央へと座るセレナは立ち上がり瀬名へと提案をする。バルトロメウスに視線を向けると顔を縦に振りうなづいた。


(これが欲に言う修行パートと言う奴だろう......................待ってましたよ!)


「ああ、よろしく頼む!」


「バカなのかしら、一週間程度での成長なんてたかが知れるわ。」


(はあ、モチベーションが下がる事ばかり言うな、この女......でも何か親近感を覚えるんだよなぁ。何処かで会った事がある様な感覚なんだけど........)


短くもあり長い修行が始まるのであった。ちなみにこの民家の住人には一階にある一室へと閉じ込めレシが結界を張って逃亡不可能にした。だが流石に食事時には可哀そうだと結界を解きリビングで食を共にする。トイレや浴室などはその一室にもある為、心配不要だった。


「はあ、長い一日だったなぁ。」


瀬名は二階の一室で横になっていた。薪を焚き水を湯にする事で擬似的なシャワーシステムを完備するこの民家に驚きつつもこれが西東同一の技術だとバルトロメウスに聞かされた時は驚きの声を上げてしまった。


水を押し上げるレバーを押すと水が流れてくる仕組みだ。勿論ここにも精霊技術は含まれている様だが難しくて理解不明だった。


服も風呂に入る前に洗い、外に干している。今はこの家の主人である老人の息子の棚を勝手に漁りそれを身につけているがファンタジーチックな服を着た事で少し興奮したのは内緒だ。無駄に広いこの民家はバルトロメウス一行に各部屋一室与えられる程の部屋を所持し自分にも一室を与えられた。


(今日は疲れたな、眠気が凄い。)


少しづつと瀬名の瞼が沈む。


(ふわぁ、ヤバイ、もう限界...........)


瞼は完全に閉じられた。


「.....月?おわあああああああああっゴボゴボ」


意識が覚醒したと思えば眼前に巨大な月と星々が広がる夜空、世界が広がっていた。月はどうやら月食の第一接触の様に少し影が月にかかりかかった状態のようだ。そんな世界を夜風(落下)に当たりながら眺めていたのだが、下に広がる海洋へとその身を叩きつける。


「ごボゴボ.....ぐがああああ......」


上へと上がろうとするがその距離は縮まらない。その身は海底の深淵へと沈んで行く。海中に指す月明りは徐々に暗くなりとうとう暗闇の中まで来てしまった。


(何で......オレは溺死してないんだ.....?それに.......この頭に鳴り響くギチギチとした痛みは何だ.......)


体が無と同化してしまいそうな恐怖へと駆られる。


(身体が溶けていく感覚........何だ........アレは.......?)


深淵の中、一つの波紋が生まれていた。


「これは........」


その波紋へとあるかもわからない手を感覚を信じて伸ばす。


ポチャン ポチャン ポチャン ポチャン ポチャン


触れたと感じた瞬間その波紋を起点に周りにも無数の波紋が出来る。自分はただ驚くことしか出来ない。


「......い..........き.....ろ....」


男とも女とも分からぬ声が心へと呼びかける。不思議と安心した気持ちになる自分に不気味さを感じたが恐怖はなかった。


「誰なんだ?」


そう言葉を口にすると共に自身の体は温もりに包まれ現実の世界へと戻る事を予期する。


「あんたはいったい!」


それを最後に自分は眼を覚ました。昨晩寝むる前に見た天井と同じで身体には違和感がなかったがむしろ昨日の疲れと痛みが抜けた様な感覚だった。


「取り敢えず、起きるか。」


顔を洗う為、浴室へと行こうと階段の手すりへ触れた時、二階の奥の部屋からリディアが顔を出した。


「あら、早いのね。もう身体の調子はいいのかしら?外的な傷は治したにしろ心身まではそうは行かないでしょうに。」


「普通、そう言う事を聞くか?」


「ええ、何しろ貴方の首を切り裂いたのは私ですもの。」


(怖いな、この女)


「ひっ、そんなに睨むなよ!」


「貴方が邪な視線を向けるからよ。」


(何で分かるんですかねぇ?)


「何はともあれオレは元気だ!アンタのおかげでもあるし感謝感激だよ。もっとも一つの要因はアンタなんだけども。」


両腕をぐっと伸ばしストレッチのポーズをして元気アピールをする。


「そう、ならいいわ。私は今から浴室を使うわ。退いて頂戴。」


階段で立っていた瀬名に申し付け、通ろうとするリディア。


「あ〜、オレも使う予定だったんだけど、」


「変態なのかしら?」


「ちげーよ!確かにアンタは美人だし、男なら覗きたくもなるがオレは唯、顔を洗いたいだけだ。アンタが先に水浴びする前に使わせてくれないか?時間はそうかからねぇ。」


「美人...何て呼ばれたことは今までに一度もないのだけれど複雑な気持ちね。貴方、その端麗な容姿でどれ程の数の女性を抱いて来たのかしら?汚らわしい。」


プレイボーイの諸君、どうやら君達は汚らわしいようだ。


「オレはなぁ言いたかぁないけど童貞ですよ。そういうのは婚約するまではしちゃあダメだって育ってきたからどんな誘いが来ても全て跳ね返してたんだ。それに以外だなそんだけ美人なのに言われた事がないなんてな、周りの男には見る眼がないのかもなアンタ。」


「口説いているのなら勘弁してほしのだけれど、童貞風情が。」


(この女は....大変だなこいつを好きになる奴わ。あれ、でもこれって何か新鮮だ、女子とこんだけ長話をして強姦されないなんて。あれ?オレってイケメン何だよな?)


自分の容姿について困惑している瀬名をよそにリディアは先に浴室へと向かって行った。


それから一刻の時が過ぎリディアが浴室から出てくる。オレは中学の頃一時期入部していた料理研究部で習ったスキルを使いこの家に置いてある素材からエッグベネディクトに近い物を作り、続けてポテトサラダなるものを作った。飲み物は湯を蒸しコーヒーとも紅茶とも選べるようにした。


時間の感覚で言うと今の時刻は大体午前六時くらいである。朝日も上がりリビングからその日差しが家の中へと入る。窓から見える景色は本当に美しく一面が雪のように白く染まっていた。これだけでも異世界に来て良かったと思う瀬名であった。


「ほう、いい匂いだなジョン!それにおはようリディア殿!」


セレナのクセっ毛にさらに寝癖が加わりすごいことになっていた。


「あら、おはようセレナ。昨夜はよく眠れたかしら?」


既にリディアは席へ座り紅茶へと手を伸ばしていた。


「ああ、勿論!東国でも北に近い家をわざわざ調べに来るような輩はいないだろうしな!」


(フラグですよセレナさん。)


「そうね、それにレシさんの結界も貼ってあることだし。そういえばレシさんは?」


「あぁ、もうじき来るよ。今、この家の主達の結界を外してる処だから。」


自分も席に着きパン(ハムとレタスと卵焼きが乗っている)に特製のソースをかけようとスプーンをパンに近づけると二人は奇妙な顔でそれを見てきた。


「何見てるんだ?」


「貴方は何をしているのかしら?」


セレナもリディアに便乗し同じように質問をして来た。


「いや、エッグ....異世界でしたね。このソースが気になるんでしょ?」


「ああ、」


セレナが相槌をうちリディアも黙って話を聞こうとしていた。


「これは溶かしたバターに卵黄を入れて混ぜた後にマヨネーズと、これはオレの世界で流通する香辛料なんだけど工夫すれば手持ちの素材だけで作れるんだけどそこはメンドクサイので省略。そしてそれにレモン汁を少量加えて塩胡椒を振るうだけの簡単?なスープ見たいなもんだ。これをオレが用意したパンとハム、卵焼きにかければ完成何だけど、結講美味しいよ?」


「まるで本当に異世界から来たみたいだなジョン。」


唐突にその声が階段の方からかけられる。バルトロメウスは昨日とは違い鎧を外し黒の長袖のTシャツとジーンズ見たいな衣服を身に纏っていた。勿論この場にいる皆も昨日よりは軽い服装をとっているのだが。


「うぅ...いい...匂い。」


リビングと同じ階層の奥の部屋から眠そうな表情を浮かべたレシがこの家の家族を引き連れ姿を現した。レシとその家族も席へと座り少し気まずそうな顔をしていた。息子は自分を見て“あ、僕の服”と小声で言う始末。まぁこいつらは美男美女とは言え実体は怖い集団だし同情もしますがこれ戦争なのよね。一度は言って見たい台詞だよね。


「よし、それではそろそろ頂くとしよう!」


「...待って...」


パチンッ!


指をパチンとしたレシはテーブルにある食べ物を出来たての物と同じ状態まで戻した。


「へ?どうなってんだ?」


唐突な魔術のそれも時戻しの魔術を行使したレシに一同は驚きの表情を挙げる。するとバルトロメウスが口を開いた。


「クロノスの聖女だったか。」


「知ってはいたけれど此処までとはね。人に使ったら凄い事になりそうね。」


リディアがそう言うとレシはそれを否定した。


「無機質...物..だけ...上限...ある」


「せっかく温めてくれたんだ!さっそく頂こうではないか!この黄色いソースあるいはスープをパンにかければ良いのであろう?ではさっそく」


そう言うとセレナは容器から瀬名特製ソースを掬い自身のプレートに置いてあるパンにポテトサラダに当たらぬようにかけ、実食をした。ちなみに瀬名特製ソースと言う言葉に対し反応した貴方は変態と言うても過言ではないだろう。


「何だこれは!!王都でも食した事がない味だ!それにこの潰した芋も独特な味付けがされていて正に美味!!」


それを合図に皆が自身のプレートの食べ物へとソースを流し込、食を始めた。


「あら、美味しいわね。」


「以外な...才能...変態...だけど」


「お、美味しい!だがこんな調味料我が家にあったけ?」


「是非とも教えて貰いましょう!」


「母さん、父さん...」


「何と言う美味、この口から広がる濃厚な甘酸っぱさは癖になる一品だ!この未知なるソースは食材の旨みを最大限に引き出していると言っても過言ではない!そしてこの潰したポテトは何だ!!初めてだ、こんな感覚は、オレは今まで何を食して来たのだ!!......あ〜ごほん、すまん。」


バルトロメウスの弁舌な感想にドン引きする一同。勿論嬉しいが少しと言うよりもかなりキモかったぞ今のは。そしてそうこうとしている内に朝食は終わり後片付けを皆で協力して行なった。


皿洗いをしているとバルトロメウスが食器を運んで来て、今日の修行の担当はオレだと伝えて来た。そして修行は一刻後に行うそうなので皿を洗い部屋へと戻り運動のしやすそうな服を息子のタンスから拝借させて貰った。


「よし、準備も出来た事だし行きますか!」


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