Episode12 "異世界より”
異世界と言えば勿論皆さんは主人公無双系を想像すると思いますがそれは唯の幻想でしたね。どこかの某ラノベ主人公の決め台詞が‘そのふざけた幻想をぶち壊す’って言うのにも同感して頷けますね。
おかしいなぁ?どう見ても容姿は乙女げーに出るイケメンヒロイン(男(攻略対象))なのに異世界よりも現実世界の方がモテるってのは少し違う気がするんだよなぁ。
そういえば新しいと言えばこんなタイトルはどうだろうか、“僕は男が好きなのにハーレムを築いてしまった件について”とかはどうだろうか?興味が沸くタイトルだし売れそう予感がするのはオレだけだろうか?勿論オレはゲイじゃないことだけは言っておこう。
などと無駄な思考をしていたのですが、皆さんオレが今どのような状況なのか覚えているでしょうか。
_今オレはまた死にかけております。
「アンタらの言う‘機創’って言うのは....」
此処で選択肢を間違えればオレはそのまま昇天するようなので慎重に答えを考えなければならない。
「まず最初にアンタらの言うクロノスって神は何で‘機創’なんてもんを持っているんだ。そこにオレは疑問を感じるな。何度でも言うぞ、オレは異世界からその機創とやらを持ってきた。そしてお前らの国民一人ひとりが魔術を使えるようにオレ達の国々でもほとんどの確率で携た...機創を所持している。」
リディアの眉間に皺が入る。
「クロノスはオリュンポスの神々より一階層上の存在よ、彼の司る権能は'時'っ「それだ!異世界や未来に行ける奴が技術をこっちに持って来てるだけってのは今ので分かるだろ?開放してくれ!第一、バルトロメウスのせいで携た..機創も壊されて今の所持品が身につけているものと財布くらいしかないのは見てわかるだろ!それでもまだ疑うならアンタらの使う魔術って奴でオレの全身をくまなく調べてもてらっても構わない。」
「貴方の言い分には確かに一理ある。だけど、」
言葉を詰まらせるリディアにバルトロメウスは口を挟む。
「リディア=ヴァンディ、もう満足だろう。この男は死に体だ。そうにも関わらずこいつは異世界からの使者だと言っている。相当のバカか精神病を患っている以外にないだろう。」
「......ええ」
(ええ、じゃねえ!バルトロメウス!!お前も信じてねぇじゃあねぇーか!!)
ジト目でバルトロメウスを見ているとバルトロメウスは瀬名の元へと近づき手を差し出す。
「立て、ジョン」
「お、おう」
バルトロメウスの手を借り立ち上がるが首元から血が垂れ出る。あれ?何で痛くないんだろう?
「そろそろ治療してやらないとこいつは数秒で死ぬぞリディア=ヴァンディ。既にこいつにかけた魔術は切れかかってるいるのに対し如何やら痛覚が麻痺している様だ。顔色が青みを帯びている、急いでくれ。」
(おいいいいいい!!早く治してくれえええええ!!)
「貴方こっちに来なさい。ああ、動けないのだったわね。」
「.......」
「ん?って来ないのかよ!!」
ヤバい!!叫んだ反動で物凄い量の血が身体から離れるのを感じる。待て、この女、笑っていやがる!!
「ほら、肩を貸せ!」
「おう、ありがと」
木にもたれ掛かっていたバルトロメウスだが前に仁王立ちをする魔女の所まで送ってくれる様だ。と言うか最初からやれ。
「ほら、終わったわよ。感謝しなさい。」
(まず傷口を作った本人が誰なのか考えて下さい。)
傷口は数秒で塞がった。何というか便利な魔術だ、しかも血も輸血された様で、何処でその血を入手したのかを聞いたら現地調達だそうだ。その先は聞かないでおいた、怖いので。
「よしそろそろ休憩を終えて先を急ぐぞ。」
バルトロメウスは治療の間、木に持たれかかり眼を閉じていた。治療を終えると同時に眼を開き今後の合流地点の変更場所について話をしてきた。
「此処へと向かうが道は覚えたな?それとリディア、一つ報告がある。」
(このつはアホなのか?そんなお茶目な落書きじゃあ誰も理解なんて出来ねぇーよ。)
バルトロメウスは木の棒を使いこの森から目的地への道のりを地面に描いてくれたのだがピカソ張りの芸術品を完成させたのだ。
「そんなお茶目な落書きでは誰も理解は出来ないわ。」
包み隠さず自分の気持ちを暴露するこの女に一種の歓心が生まれウンウンと顔を振っていると睨まれた。
「気持ち悪いわね」
(....酷い!」
言葉に出ていた事に気付き何時も通りのポーカーフェイスに戻す。するとリディアが此方に視線を向け自身の腰に刺さるレイピア状の麗剣へと手をかける。
ビクッ!!
思わずびっくりしてその場に女の子座りをしてしまった。先程斬られた事もあり反射的に恐怖を感じてしまっていた。鳥肌が立っているのも感じられる。こんな駆け出しハンター見たいなカッコ悪い自分は自分ではないと言い聞かせ意味不明な行動に出てしまった。
女の子座りからのブレイクダンスを披露してから直立へと繋げた。ドヤ顔もついでに決めてしまった。バルトロメウスは何やってんだこいつ?見たいな顔で此方を見てくるがリディアは口元を手で隠し失笑をしていたが我慢が出来ず吹き出してしまったようだ。
(うううう、恥ずかしい!!!)
瀬名は恥ずかしくなりバルトロメウスへ助けを求めるべく視線を移したが此方はリディアを見つめながら静かにブツブツと独り言を言っていたが何やらリディアが笑う?馬鹿な的な事を言っていた。
「ふふ、そんなにびっくりするとは思っふふ」
(リディアさん?笑ってますが貴方に首元を叩っ斬られたんですよ。)
「ってかバルトロメウス!さっき何か報告があるとか言ってなかったか?」
今度は何やら自慢の絵を見つめながら独り言を呟いていたので肩に手をかけ揺すって見る。
「貴様、本当に男色じゃあないだろな?」
「おいいいいいいい!!!!何時までそれ引っ張ってるんだよ!!!逆に触れただけで男色とかお前は如何やって暮らして来たんだよ!!」
何時もの外面はぐしゃぐしゃに壊され素が出る瀬名。そのツッコミにバルトロメウスは
「ふっ、冗談だ。」
(如何やらこいつらはオレを虐めて楽しんでいる様だ。)
ヘラヘラと笑う2人組にジト目の涙目になる瀬名。そんな姿を見てリディアは再び吹き出す。
「ともう一つの報告だったな、」
バルトロメウスは真剣な表情へシフトしリディアへと真実を告げる。
「レヴァンが死んだ。」
笑っていた顔が徐々に真剣味を浴びた顔になっていく。
「何故、彼は死んだのかしら?」
「星鴉の報告によればアルゴタウナイの一員が一人テーゼースとの戦闘で自壊の双手を使ったそうだ。」
「両腕が無くなる程度ではあの男は死なないと思うのだけれど。」
「ああ、レヴァンは腹に剣が突き刺ささった状態でアレを行使したそうだ。」
「それで有翼の英雄は堕ちたのかしら?」
「いや、死んではいないがメレアグロスがカレイス共々捕獲したとの報告だ、そして王都へと帰還するとの事だ。」
「それでは此方と合流するのはメレアグロスとレヴァンを除く第八の団員のみという事かしら?」
「いや、ヴァシリスもメレアグロスと共に王都へと戻る。」
「そう」
その後、二人の間にしばしの沈黙が続いた。オレはと言うと何が何やら訳ワカメな状態でとりあえず仲間の一人が死んだ事だけは理解した。が二人は涙を浮かべる訳も無くその場で何やら思考している様だった。
「悲しくないのか?」
「私は特に彼と仲が良かった訳ではないから何とも言えない気持ちね。そこの男はこの一月彼と行動を共にする事が多かったから思う処があるのでしょう。」
リディアは片目を閉じクイと顔をバルトロメウスを見る様に合図する。視線をバルトロメウスに向けるとバルトロメウスは自身の槍に手を掛けそれを地面に降ろし片膝をついていた。
「これも運命ならば仕方がないとは言わない、お前の実力と運がそうしたのだ。だが安心しろ、この任務は必ずオレ達が成功して見せる。我が友レヴァン、其方はただ天から我らの帰還を祈ればいい。」
森の木々や葉をすり抜け日光がバルトロメウスのいる場所のみに照らし出される。その姿は絵画にように美しく主への祈りを捧げる騎士の様だった。
(茶々を指す様だけどさ、こう言う演出って如何やって起きてるの?)
それからしばらく二人は黙祷するとバルトロメウスが立ち上がり目的地へと向け歩みを始めた。その姿を確認したリディアは自馬へ乗り込みバルトロメウスの後を追う。
(え?何この現状を察して何も言わず後を追う的な展開?)
「何をしているの?置いていくわよジヨン」
何処の韓流スターですかね?瀬名も治ったばかりの身体に鞭を入れ後を追う。
後ろに着き数分は無言の時が続く。会話をしていると気付かない事でも静かにしていると気づくことはあるよね?何処かのぼっち系主人公も観察眼に優れているのはこのせいでもあると自分は思う。ただし視聴者がたまに"あ、こいつオレに似てる!"とか言うとちょっとイラつくよね。お前の事なんか如何でも良いから!
と話が脱線してしまっんだけど実際に何もしてないと虫や自身の身体について敏感になるよね。で現在ワタクシの口の中が凄い事になっております。血の味が凄い!イヤマジで!あんだけ死に掛けたんだから当たり前っちゃあ当たり前なんだけどこの匂いが吐き気を生み出すんだよなぁ、
「あのぉ、浸っている所申し訳ないんだけど何か飲み物は無いかなぁ〜なんて?」
オレはKYな行動に出た。自分でも分かるほどの口に広がる血の味、そして食欲がオレを襲っているのだがすごく口の中が気持ち悪い。せめて飲み物で流しこみたいと思い聞いてみるとバルトロメウスが答えてくれた。
「ああ、それなら」
バルトロメウスの台詞を遮りリディアが口を挟む。
「そのポーチに入る水袋(水稲)をしまいなさいバルトロメウス」
「リディアさんがくれるのか?」
正直な話、不安しか無い。この女の顔を覗き込むと面白い事を見つけた子供の様な表情を作っていた。本人は多分気付いて無いだろうけどこの人表情豊かだな!!バルトロメウスの言うこの人の人物像が如何にも合ってないよ!
「やっぱしバルトロメウ「私から貰いなさい」いや、「私から貰いなさい」はい」
この女ものすっごい美人なのにメッチャ怖い!!あの剣幕だけで人一人殺せるんじゃないのか。
「私が節約として水の魔術で(以下略)」
(もうこの人の説明長い上に魔術の使用と来た。黒だよこの人、それに説明良く聞くとそれっぽい説明してるけど全部屁理屈だけじゃないか!どんだけオレを虐めたいんだよ!!)
「屁理屈だな」
(バルトロメウスススススススススウ!!!!君、天然だったのおお!!??言っちゃったよ!!)
「それでは始めるから受け取りなさいジイオン。」
(それは変態さんの思考回路で行くと自慰onにも聞こえるか止めて下さい!ん、受け取る?)
「水の精よ_大地の恵み_原初の理にて_分け与え給え_球の雫スタゴーナ」
リディアは人指し指で宙に三角形を描きそれをトンと突くとガラスが割れた様に周りへと散らばり瀬名はそれに眼を奪われる。その光景に眼を奪われていると上空から大量の水が溢れ落ちてきた。そして滝の様に瀬名を襲った。
「.......ねぇ、」
「ふふ」
「......ねぇーてば」
「ふふふ」
「おい!!!!いい加減にしろよ!!」
堪忍袋の尾が切れ叫ぶ瀬名を見てリディアはとうとう吹き出してしまった。
「ぷっあははははははははは!可笑しいわ!貴方その端麗な容姿でその相違、道化師にでもなるつもりかしら!!ふふ、あははははははは!!」
「本日二度目だよ!馬鹿野郎!!せっかく乾いた服がぁ.......」
バルトロメウスはポーチから小さなタオルを出しそれを瀬名へと受け渡す。その瀬名を見る眼は哀れな者へ向ける眼だが前に向き直した途端肩が震えているのを確認する瀬名。
(こいつも笑ってんじゃねーか!!)
瀬名はジト目で前にいるバルトロメウスを見る。しかし今だ横の馬の上にいる女は声を上げて笑っているのだ。そっちを睨むとこっちの視線に気づき又しても吹き出す。
(もう、嫌だ!)
「ねぇ、特典は何処ですか神様?」




