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Episode7 "決断と目覚め"

森林内部へと進み三刻程の時がたった。


(流石に休まないと、戦闘になった時足でまといになるな。)


バルトロメウスはリディアへ休息を取る事を提案する。するとリディアがこの先に細い川水が流れる場所があると言うのでそこへ目指す事になった。


「さすがに三刻程歩くのは治療を受けたからと言って楽なものじゃないな。」


「........」


「どうした?」


リディアが答えないのでリディアの方へと顔を上げると、男が寝ぼけてリディアの胸を揉んでいるのだ。揉まれる彼女は無表情の顔にさらに深みがかかり今にも異界の男を八つ裂きにしようと言う雰囲気を放っていた。そしてリディアは我慢の限界を感じ、


ドンッ!! ドザザザ


蹴りを入れ馬から叩き落とした。男の身体は地面にぶつかり数回転した後木にぶつかり動きを止める。


「痛って!!」


そして、ぶつかった衝撃で瀬名ジョンは眠りからその眼を覚ます。哀れな美男こと瀬名ジョンは異世界へ状況が把握出来ないまま飛ばされ、さらには死にかけると言う不運が重なっていた。そして今新たに馬から突き飛ばされると言う不幸な現状に見舞われる。


_眼を覚ましたんだけど腰のあたりがめちゃめちゃ痛い。


「....」


銀髪の美女は無言で睨みつけてくる。何でこの美女が自分を睨むのか不明だが取り敢えずその睨みを睨み返す事にした。すると銀髪が少し驚いた表情を浮かべ口を開いた。


「貴方、加護は受けていないのかしら?」


混乱する頭の中で‘加護’と言う単語に該当する答えを考える。そして漫画大好き青年でもある自分はファンタジーな返しで返してみる事にした。


「神の加護って意味か?」


リディアは驚いた顔でバルトロメウスの方へと眼を向ける。瀬名もそれに釣られてバルトロメウスへと顔を向けると、


「おい、貴様!オリュンポスの神から、いや何処ぞの神から加護を授かっていたのか!」


地面へと座る瀬名の首元を掴み、立ち上がらせて加護を受けた受けてないかの有無を問うバルトロメウス。


「ちょっ!苦しい、」


掴む手にポンポンと手を伸ばし離すように仕草するが、


「オレの質問に答えろ男。」


今度はドスの聞いた声で瀬名を脅す。


「受けてないから離してくれないか。」


首元の引っぱられる力が弱くなり解放される。


「どうやら嘘はついてないようね。それで、貴方は何者なのかした?」


リディアがそう尋ねると瀬名はバルトロメウスの方へと眼を向け、


「この人はアンタの仲間か?なら聞いてないのかこいつから、」


瀬名はバルトロメウスを指差、自身の情報についての開示をしてないのかと疑問をぶつける。


「ええ、聞いているわ。貴方は異世界からこの世界へと迷いこんだとか言うデタラメをそこの男に吹き込んだようね。そして不可解だけど貴方は‘機創’を所持していた。本来の持ち主であればクロノス含めるティターネス神族とオリュンポスのみの筈だけど。」


「待て待て、オリュンポスは分かるけどその‘機創’って何だ?こいつもその言葉を携帯を見てそう呼んだけど。」


(オリュンポスって事はギリシャ神話系統の異世界ってのは分かる...やべぇ...神様とか精霊とか化物がうじゃうじゃしてんじゃん.......ん?待てよ、オレってニートでも非リアでもないのに異世界ってデメリットしかなくね?)


瀬名は台詞の途中で考えこんでしまい手で顔を覆っていた。


「おい?」


そんな姿の瀬名を見てバルトロメウスは声をかける。


「ん、あぁ。機創ってのも気になるけどアンタらが誰なのかの方が気になるんだが、」


瀬名がそう言うとバルトロメウスは少し考え込むように片目を閉じ何かを決心した表情を見せる。


「ああ、オレは西国と言う国で八ある師団の内の八番目の団で師団長の役職に就いている。そしてこいつは「アナタ!この男がもし東国の密偵ならどうするつもりなの!素性を明かすなんて馬鹿げているわ!」


リディアは声を上げバルトロメウスの言葉を遮る。そしてバルトロメウスは視線をリディアへと向ける。


「安心しろ、こいつは魔術を使えない。それに仮に出来たとしても何故先の戦闘で使わなかった?使えないからだろう。そして機創の件についてはオリュンポスの神共とは関係ないことが加護から分かっただろう。」


(こいつらの話しを聞く感じだとオリュンポス関連のもんは敵っぽいのか?)


瀬名は二人の会話を聞き思考する。


「という事だ。これからオレ達はお前を任務に同行させる。」


(一体どういう事なんですかねぇ?まぁ、さっきみたいな戦闘に巻き込まれて死ぬよりはこいつといた方が生存率は高そうだし此方としては好都合だけど。)


「その任務と言うのが何なのかわかんないけど、正直に助かる。それとさっきは助かった....ありがとう。」


バルトロメウスはふっと笑い左手を差し出す。


「オレはバルトロメウス=ラエルンティオス、名で呼んでくれて構わない。」


瀬名は差し出された左手を右手で掴み自己紹介を返す。


「よろしくな、バルトロメウス。」


数年ぶりの男友達?的な交流が出来て少しはしゃぐ瀬名。


(そうそうこれだよ!これ!ファンタジー世界で友情から始まるアレだよ!.....出会いは最悪だったけど、)


不幸の長続きで少々思考が麻痺している瀬名はメルヘンな事を考えていた。


「オレは瀬名ジョン、あ、ここはジョン=瀬名って名乗った方がいいのか。」


( ....てか何で言葉が通じるんだ?)


「ジョン=セナ?珍しい名前だな、貴様の国では皆そういった珍妙な名をしているのか?」


「いや、みんながみんなそうじゃないけど。あのさ、この大陸の文字を見せてくれないか?」


「....ああ、わかっ」


バルトロメウスが言葉を話そうとした時、馬から降りたリディアがバルトロメウスを押しのけ瀬名の前へと立つ。


シュ シャキ


「貴方達の茶番劇はもう結講。機創の出処を言うか死ぬか、選びなさい。」


リディは瀬名の首筋へ剣先を当て少し血が出る。


「は?ちょ?待てよ!?」


唐突な恐怖により某イケメンアイドルグループのモノマネをしてしまう瀬名。しかしそのグループも今や解散状態。


「おい、リディア!!止せ、」


バルトロメウスが止めるようリディアの肩に手を掛けるが。


「気安く触れないで下さるかしら。それにさっきも言ったけど貴方に名を呼ぶ許しを上げた訳ではないことをお忘れなきよう、に!」


身体を蹴り瀬名は後部へと倒れる。


「いっ、は!?アンタ...ふざけん、ぶふぉっ、はぁ...はぁ」


蹴った衝撃により首筋へと当てられた剣は首筋を大分深く切り裂いていた。そこからは血が流れ口からも血が溢れる。


「答えなさい、悪化させる事も傷を治すことも私の自由。勿論、治すかは貴方の返答次第だけど。」


冷徹な目指しで瀬名を見下すリディアは続けてこう質問をする。


「‘機創’の入手方法を嘘偽り無く言いなさい。」


その一言を言った後、リディアは後ろにいるバルトロメウスへ向け目でアイズする。


(この女....)


バルトロメウスは風の魔術を使い呼吸器官の正常を施すがこの魔術の効果はそう長くは続かない。


「はぁ...はぁ....むちゃくちゃな奴だな...アンタの仲間は...アンタらの言う‘機創’って言うのは....」


(このサイコパス女をどうにかする説明は....)


瀬名の姿を後ろで眺めるバルトロメウスの表情を暗くなっていく。何故なら星鴉からの思考共有による意思疎通でレヴォン=エスケナージの死亡を‘確認’したという報告が入ったからだ。


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